流行は糸屋さんが作るらしいよ
「トシヤくん、流行って糸屋さんが作るらしいよ。」
まさか、大学時代のバイト先で聞いたこの言葉が自分の人生に大きく作用するとは。。。
自分でやっていた目黒のお店を閉めて、転職活動の結果、採用を頂いたのが美容関係の生産管理と紡績会社の営業マン。正直、前者の方が待遇も良かったのですが、決め手になったのが今日のタイトルです。おそらく”Pitti Filati"の事言ってたんでしょうけどね。
そんなこんなで始めた紡績の仕事。予備知識は番手と双糸とか3子がある事くらい。同じ業界のはずなのに全く知識がない事に驚愕しました。「よくまぁ、こんな事も知らずにオーダーしてたなぁ。。。」と。
組み合わせは自由
幸せな事に、入社した工場は”特殊梳毛”という他とは原料構成も違えば、紡績方法も特殊。大手紡とは違い多品種小ロットな上に、織物用もあれば手芸糸用も。作れない糸は紡毛くらい?(すぐに紡毛の代わりも出来てしまったわけですが。。。)
兎にも角にも初めての事が多くて、1年くらいはHPを作成したり、展示会のプロデュースをしたりで1から10まで覚える事ができました。原料の事、紡績の事、撚糸の事、編みの事、加工の事。表現のための組み合わせは自由!!
見よう見まねでやってみた結果、ある事に気付きました。
作った編み地が人の顔の様に全部違うんです。
目鼻立ちがスッキリしてたり、ロングヘアだったり、まん丸だったり、しわしわだったり。ニットは糸で表情が大きく変わるので、使い方次第で何もかもがオリジナルになるんです。
発信を発信!?
シーズンの初めにデザイナーさん達とお話する機会があります。所謂プレゼンってやつ。
売れた物、売れなかった物、次のテーマやイメージ、気になる物、ほとんど世間話ですね。そこから僕が感じ取れた物を話します。ただ一方的に糸を紹介するだけではなく、会話の中でアイディアを積み上げていきます。これ出来たら凄い!!売れる!!って。
これってバイヤー時代にやってた事と一緒なんですよね。生み出す作業なんです。
アパレルと一緒に発信できるんです。
所詮糸屋でしょ?って思われがちですが、
流行を作る中に糸屋がいるんです。
形の無い物からいろんな人の手を借りて形にしていくのですが、まず最初に選定するのが糸なんです。
これがニットの糸の醍醐味なんでしょうね。