#70 2009(H21)年岩手県の製造業の物質フローと環境効率評価指標を推計
ほとんどの都道府県では、2005(H17)年・2011(H23)年・2015(H27)年という間隔で産業連関表が作成されます。
一方、岩手県では、上記以外でも、2009(H21)年と2013(H25)年の産業連関表も作成されています。
また、産業廃棄物実態調査については、毎年度公表されています。
今回は、2009(H21)年岩手県における製造業の物質フローと環境効率評価指標を推計していきます。
結合小分類一覧表の作成
手始めに、H21年岩手県産業連関表の結合小分類一覧を作成します。
いわての統計情報には、H21年部門分類表が記載されていなかったので、産業連関表から作成していきます。
重量単価初期値は2005(H17)年のものを援用
次に、各産業が産出する製品の重量単価の初期値を推計していきます。
といっても、今回は、直近の暦年である2005(H17)年の重量単価初期値をそのまま援用することにします。
重量単価初期値における廃棄物発生量の推計
推計方法の流れは、下記の投稿を参照してください。
重量単価初期値における推計値と統計値の廃棄物発生量
重量単価初期値における、2009(H21)年岩手県の製造業24業種別の投入量・産出量・大気放出量・廃棄物発生量推計値(Ey)・報告書(Sy)の推計結果は、以下のようになります。
8業種で推計値が負の値となり、特に石油・石炭、窯業・土石、化学が統計値と大きくずれています。
重量単価初期値における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関
重量単価初期値における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関を見ると、以下のようなグラフになります。
なお、上記の8業種と、統計値が0である業種はグラフから除いています。
なぜか近似直線を引くことが出来ず、近似曲線になってしまいましたが…
相関係数は0.075となり、相関は全くみられません。
重量単価を最適化
続いて、以下の式の評価関数を用いて目的関数zが最小となるような重量単価の再設定を行います。
最適化した重量単価における、2009(H21)年岩手県廃棄物発生量の推計値と統計値
再設定した重量単価における、2009(H21)年岩手県の製造業24分類の廃棄物発生量の推計値は、以下の表のようになります。
石油・石炭は推計値が負の値をとっています。
最適化後の重量単価における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関
最適化後の重量単価における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関を見ることにします。
推計値が負の値をとる、または統計値が0である業種はグラフから除いています。
相関係数は0.989となりました。
2009(H21)年の岩手県の製造業の物質フローを推計
岩手県の製造業の物質フロー(H21)
2009(H21)年の岩手県の製造業全体の物質フローを推計すると、図70−3のようになります。
投入52608ktに対して、廃棄物発生量432ktであり、全体の0.8%が廃棄物になっています。
また、産出51796ktに対して、消費1706kt、移輸出28514kt、他産業12103ktより、県外に多くの製品を出荷していることがわかります。
次に、2009(H21)年の岩手県の製造業の中で、廃棄物発生量が高い食料品と輸送機器の物質フローを示します。
岩手県の食料品の物質フロー(H21)
食料品の廃棄物発生量は、製造業の約19%を占めています。
岩手県の輸送機器の物質フロー(H21)
輸送機器の廃棄物発生量は、製造業の約18%を占めています。
2009(H21)年の岩手県の製造業の環境効率評価指標を推計
本記事の最後に、2009(H21)年の岩手県の製造業の環境効率評価指標を推計していきます。
本研究における環境効率評価指標の考え方については、以下の投稿を参照してください。
また、環境効率評価指標の推計の流れは、以下の投稿が参考になります。
GDPデフレーターによる補正
2015年を基準年としたGDPデフレーターで補正を行います。
GDPデフレーターは、こちらのサイトの値を用いました。
# GDPデフレーターによる補正
df_added_value_amount['added_value_amount'] = df_added_value_amount['added_value_amount'] * 100.9/100
df_added_value_amount
環境効率評価指標の推計結果は、表70−4のようになります。