岩手県の産業連関表の作成状況
岩手県では、2005年以降、
2005(H17)年
2009(H21)年
2011(H23)年
2013(H25)年
2015(H27)年
という間隔で産業連関表を作成・公表しています。
本マガジンで実施しているマテリアルフロー分析を各年で行うためには、各年の産業連関表を作成していく必要があります。
今回は、以下の学術論文での方法を用いて、作成対象年以外の年における産業連関表を作成を紐解いていきます。
産業連関表作成のアウトライン
産業連関表作成のアウトラインについて、Tachibana et al.(2008)では、以下のように言及しています。
ふむふむ。
「最初に、公式の産業連関表における各産業の生産額を、作成対象年の統計分析から得られる生産額で代替する。それから、生産額を公式の産業連関表の投入係数によって中間投入額に分割する」
大まかに訳すとそんな感じでしょうか?
方法の詳細を以下に見ていくことにします。
各年の産業連関表の作成方法
県内生産額
Tachibana et al.(2008)では、以下のように言及しています。
本論文では、公式の2000年愛知県産業連関表を元に、2001年の産業連関表を作成するケースを想定して、方法を詳細に説明しています。それを念頭に入れて訳してみると…
「最初に、我々は2001年の愛知県を対象としたいくつかの統計資料を使って、愛知県の各産業の県内生産額を調査した。さらに、統計資料における分類が産業連関表の分類とは同じではないので、統計のいくつかのために生産額を調査し、それらを産業連関表に調整した。選択と調整のプロセスは完全に前例がないので、我々の研究において最も困難な部分であった。紙面の都合により、Table 1.では、全ての産業での生産額に対する産業連関表の参考文献(リファレンス)に比べて、主な統計資料しか掲載できていない。結果として、選択した統計資料はほとんど日本国の産業連関表で用いられている統計によって統治されている。この結果は、他の地域において本手法を応用する際のデータ収集に役立つとともに、本手法が世界の他の多くの地域で使用可能であることを暗示している」
という感じでしょうか?
Table 1. については、以下に示します。
本マガジンでは、岩手県の県内生産額を推計する際に使用した統計資料名について、できるだけ公表していければと考えています。
作成した産業連関表と公式の産業連関表における県内生産額の相関
「本研究で分析するマテリアルフローの精度を評価するために、1995年の公式の産業連関表を元に作成した産業連関表の県内生産額と、2000年の公式の産業連関表の県内生産額とを比較した。比較した結果をFig. 2.に示す。X軸は公式の産業連関表における各産業の県内生産額を表し、Y軸は本研究で作成された産業連関表の県内生産額を表す。推計値と統計値の相関係数は0.9より大きい。これは、我々の方法が高い精度を持っていることを示唆している。Fig.2. のプロットは、産業の2次分類である。しかし、われわれは、3次分類で計算を実行し、その結果を2次分類に基づいて足し上げた」
本マガジンでは、精度を評価するために、2005(H17)年の産業連関表を元に作成した2011(H23)年産業連関表における県内生産額と、2011年公式の産業連関表の県内生産額を比較することにします。