#42 各都道府県の産業廃棄物実態調査の実施状況について調査してみた
#41まで、和歌山県を対象として、製造業の物質フローを推計してきました。
次は、調査対象地域を変えて物質フローを推計しようと思いました。
そこで、まず、各都道府県の産業廃棄物実態調査の調査年度について調べてみようと思い、作業を開始。
作業の過程で、見えてきたことがいくつかありました。
最初に、和歌山県を対象に選んだ理由
そもそも、なぜ最初に、和歌山県と対象として選んだのかと言いますと、
1.産業廃棄物実態調査報告書が、エクセル式でダウンロードできる
2.(産業連関表の作成年である)2015年に対して、もっとも直近である年度、つまり2015(平成27)年度に、産業廃棄物実態調査が行われている。
3.業種中分類別(例えば、「鉄鋼」といった産業中分類で)の産業廃棄物のデータが、産業廃棄物実態調査報告書に記載されている。
といった理由が挙げられます。
もっとも、理由1と3については、今回の作業を通じて、「和歌山県を対象にして良かったなあ」と改めて実感したことなのですが…
理由1:産業廃棄物実態調査報告書が、エクセル形式
理由1について補足します。
ほとんどの都道府県では、報告書の様式がPDFです。
PDFだと、まずデータをエクセルに転記することが必要になってくるので、それが面倒です^^;
また、表示単位(「百t」とか「千t」)に満たない項目だと、「0」表示となる点が少し困るなあと感じています。
和歌山県の場合、様式がエクセル形式なので、まず、データの転記が不要です。また、表示単位未満の項目も小数点以下の値まで入力されていて、精度が上がることが期待できるなと感じました。
理由3:業種中分類別のデータが記載されている
理由3について補足します。
都道府県によっては、「鉄鋼」といった産業中分類でのデータがなく、それよりも分類が粗い産業大分類でのデータしか記載がない実態調査もあります。
分類が粗い場合ですと、製造業全体でのデータはありますが、鉄鋼といったより細かい分類でのデータがなく、本手法(産業中分類での廃棄物発生量を元にした最適化手法)が使えない懸念があります。
各都道府県の産業廃棄物実態調査の調査年度
ここで、各都道府県の産業廃棄物実態調査の調査年度について、一覧にしたもの(一部分)を掲載します。
調査日は、2021年10月25〜26日です。
グーグル検索で、「〇〇(都道府県名) 産業廃棄物実態調査」と検索した結果となります。
検索結果の「●」「▲」「×」については、
●:その都道府県の産業廃棄物実態調査報告書がヒット
▲:(産業廃棄物実態調査報告書に内容が近い)別の資料がヒットした
×:本手法が適用できるデータが記載された資料はヒットしなかった
ということを意味しています。
また、調査年度における「○」「△」については、
○:業種中分類別のデータあり
△:業種中分類別のデータなし
ということを意味しています。
各調査年度の都道府県の数をみてみると
各調査年度における、調査を実施した都道府県の数は以下のようになります。
毎年度実施している都道府県もありますが、5年毎に実施している都道府県が多い影響で、H30年度がもっと多く、次いでH25年度となっているのかと考えられます。
個人的には、先述の理由2で言及した、H27年度のデータが欲しいと思っていたので、この結果には少し残念に感じてはいます。
特に、(毎年度実施していると思われる)静岡県については、H27年度のデータの公表を終えているのではないかと思われ、公表が終わる前にデータをダウンロードしておけばよかったなと感じました。
次回やること
次回は、各都道府県の産業連関表について調べてみようと考えています。
特に、本手法を適用できる産業連関表の部門分類が結合小分類(部門数が概ね190前後)なので、部門数について注目することになると思われます。