見出し画像

#36 マイナス投入方式(ストーン方式)における投入、産出の計算についての考察

#35にて、マイナス投入方式(ストーン方式)を考慮に入れる必要性について書きました。

その中で、

本研究では、主生産物の重量単価を設定して、副産物は考慮しないことにしようと思います。
投入量を算出する際には、マイナス表記となっている生産物は、投入量に計上しません。
また、算出する際にも同様に、マイナス表記となっている生産物は、産出量に計上しません。
上記の例(「石油化学部門が主生産物として合成樹脂原料を 100 単位、副産物として LPG を 10 単位生産し、石油化学製品を樹脂部門に、LPG を家計部門にそれぞれ販売している場合」)にあてはめて考えてみます。
石油化学産業における投入量(列方向)を算出する際には、LPGからの投入額-10は、投入量の計算式に含まないこととなります。
また、LPG産業における産出量(行方向)を算出する際には、石油化学産業への産出額-10は、産出量の計算式に含まないこととなります。

というルールを設定しました。

「マイナス表記となっているのは計上しない」のは間違い!?

上記のルールの元、最適化計算を行い、物質フローの推計を行ったのですが、腑に落ちない結果が得られました。

そこで、改めてマイナス投入方式(ストーン方式)における、物質フローの推計について考えることにします。

#35で取り上げた例をもう一度、引っ張り出してきます。

画像1

以下、「石油化学部門が主生産物として合成樹脂原料を 100 単位、副産物として LPG を 10 単位生産し、石油化学製品を樹脂部門に、LPG を家計部門にそれぞれ販売している場合」を例にして、マイナス投入方式の計上方法を見てみる。
この方式では、石油化学部門の生産は合成樹脂原料の(100)であるが、副産物として発生したLPG(10)を、LPG 部門からマイナス投入(つまり販売)したこととする。さらに LPG を実際に投入した家計消費部門と LPG との交点に(10)計上する。これにより LPG 部門の中では、副産物の発生と投入が相殺され、生産額はゼロになる。それとは別に、再生資源回収・加工処理に LPG の回収経費等を計上し、LPG の需要先である家計消費部門へ産出する。つまりマイナス投入方式によりつつ、回収・加工経費部門を別の部門として追加した形になっている。

列方向でみた場合と行方向でみた場合を考えてみると

まず、産業連関表を列方向でみた場合を考えます。石油化学産業の列に注目した場合、

石油化学産業で副産物として生産されたLPGは、石油化学産業での産出として捉える。よって、LPG10単位は、石油化学産業における産出量を計算する式に計上する

と、考えるのが自然ではないかという気がしてきました。

加えて、というか、逆に

LPG産業からの産出を考える(LPG産業を行方向でみた)場合、マイナス表記となっている石油化学産業、つまり、

列が石油化学産業、行がLPG産業としてみた場合の交点である-10は、LPG産業へ10単位LPGが投入されたと考える。つまり、LPG10単位は、LPG産業における投入量を計算する式に計上する

と考えるのがよいのではないかと感じています。

皆さんは、どう思われますか?

いいなと思ったら応援しよう!

在野研究者トシヤ
サポート、本当にありがとうございます。サポートしていただいた金額は、知的サイドハッスルとして取り組んでいる、個人研究の費用に充てさせていただきますね♪