#102 一時撤退と鞍替え
これまでを少し振り返ってみると…
本マガジンでは、公表されている都道府県の産業連関表を元に、以下の都道府県における製造業のマテリアルフロー分析を行ってきました。
和歌山県
大阪府
岩手県
次に、岩手県を対象とした各年のマテリアルフロー分析を行うことを目標に、公表年以外の年の産業連関表推計に着手しました。
壁に直面して撤退を決断
産業連関表推計にあたり最も重要である、県内生産額の推計を長らくやってきました。
が、ここ最近、壁にぶち当たっている感覚を覚えることが増えてきました。
鉱工業に関するデータにおいて、岩手県内に立地する事業所が少なく生産数量や出荷金額が秘匿処理されているケースが多く見受けられました。それに伴い、県内生産額の推計が困難な部門が出現するようになったのです。
なので、岩手県における各年の産業連関表の推計、ひいては、各年のマテリアルフロー分析を行うことから一時撤退することにしました。
調査対象地域の鞍替え
その代わりと言ってはなんですが^^;
対象地域を大阪府に鞍替えすることにしました。
以前に実施したマテリアルフロー分析
大阪府については、以前に2014年度(平成26年度)のマテリアルフロー分析を実施したことがありました。
その時は、大阪府が公表している平成25年大阪府産業連関表(延長表)と、直近年度である平成26年度に実施された「大阪府産業廃棄物処理実態調査報告書(平成26年度実績)」を元にマテリアルフロー分析を行いました。
産業連関表の作成対象年と産業廃棄物実態調査の実施年度が異なっていますので、精度的に疑問を感じていました。
産業連関表の年と産業廃棄物実態調査の年を合わせる
そこで、この度は産業連関表の年を、産業廃棄物実態調査の実施年度に合わせるようにします。
*産業連関表は暦年(その年の1月〜12月)で、産業廃棄物実態調査は年度(その年の4月〜翌年の3月)となっていて、完全には一致しないのがこれまたもどかしいですが…
各年度実施されている岩手県とは異なり、大阪府の産業廃棄物実態調査は各年度ではなく、おおよそ5年周期で以下の年度にて実施されています。
2010年度(平成22年度)
2014年度(平成26年度)
2019年度(令和元年度)
上記の年度(正確には暦年)におけるマテリアルフロー分析を行うために、上記の暦年の産業連関表を作成していこうと考えました。
産業連関表推計方法の詳細をレポート予定
ありがたいことに、大阪府は作成基準年(西暦末尾が「0」もしくは「5」)以外の年において、「延長表」という形で産業連関表を推計しており、推計方法の概要を公表しています。
そこで、まずは推計方法の概要を元に、公表されている「平成25年大阪府産業連関表(延長表)」を逐一確認しながら、自分の手で平成25年大阪府産業連関表(延長表)を作成することから着手します。
その過程で、作成方法の詳細を本マガジンでレポートしていく所存です。
後に続いていく人のためにも、そして自分自身のためにも。
また、推計した産業連関表と公表されているそれを比較することで、精度の評価もできるのではないかと考えています。
3時点での物質フローを比較
推計方法の詳細が判明し、推計の精度が許容範囲に収まったならば、以下の年の産業連関表を推計し、産業廃棄物実態調査と合わせることで、3時点での物質フローを解明できればと考えております。
2010年(平成22年)
2014年(平成26年)
2019年(令和元年)
また、3時点の物質フローを比較するために、#57で提唱した環境効率評価指標を始めとした各種の環境指標(environmental indicator)も推計できればいいなと考えています。
そうすることで、大阪府の循環型社会形成度合いを評価できるのではと期待しています。
まとめ
今回の投稿をまとめてみました。
岩手県での毎年の産業連関表推計から一時撤退します。
マテリアルフロー分析の対象地域を、岩手県から大阪府に鞍替えします。
2013年(平成25年)大阪府の産業連関表を自身で推計し、公表されているそれと逐次比較しながら、推計方法の詳細をレポートしていきます。そして、自身で推計した産業連関表の精度評価を行います。
大阪府が産業廃棄物実態調査を実施した3時点の産業連関表を新たに推計します。それらと産業廃棄物実態調査をもとに、3時点での物質フローを把握します。
上記4.で判明した物質フローを比較するために、環境効率評価指標等の環境指標(environmental indicator)を推計します。
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