#67 重量単価初期値におけるH27年度岩手県製造業の廃棄物発生量の推計
#66では、H27年度の岩手県の物質フローを推計するにあたって、各産業の重量単価初期値を推計しました。
今回は、重量単価初期値におけるH27年度岩手県の製造業24分類の廃棄物発生量を推計し、統計値との相関をみてみます。
産業連関表の金額フローを物質フローに変換
物質フローの算出方法
改めて、物質フローを推計する式を記すと、以下のようになります。
石油製品、石炭製品からの投入分は燃料として用いられ、炭酸ガスとして大気へ放出されるものとして廃棄物発生量の対象から除きます。
ただし、石油製品から石油化学系基礎製品、脂肪族中間物・環式中間物・合成染料・有機顔料、合成ゴム、その他の有機化学工業製品への投入分は、燃料としてではなく原材料として投入されているとみなし、大気放出量の計算対象から省きました。
単一産業での、投入量・産出量・大気放出量・廃棄物発生量を推計
単一産業での投入量(input)・産出量(output)・大気放出量(fuel)・廃棄物発生量(waste)を推計するコードは、以下のようになります。
# 単一産業での投入量、産出量、大気放出量、廃棄物発生量の算出
# x産業を0110(米)に固定
x = 0
# 投入量を計算
input = 0 # 投入分
fuel = 0 # 燃料使用分
output = 0 # 産出分
df_index = df_price_per_ton.index
for i in range(len(df_iotable.index)):
for k in range(len(df_price_per_ton.index)):
Ui = df_price_per_ton.iat[k, 0]
input_amount = df_iotable.iat[i, x] * 10**3
if Ui == 0:
continue
if df_index[k] == df_iotable.index[i]:
if input_amount >= 0:
input += input_amount // Ui
if df_index[k] == '2121': # 石炭製品の燃料使用分
fuel += input_amount // Ui
'''
石油化学系基礎製品、脂肪族中間物・環式中間物・合成染料・有機顔料、合成ゴム、その他の有機化学工業製品への
石油製品投入ではない場合
'''
if df_index[k] == '2111' and df_iotable.columns[x] != '2031':
fuel += input_amount // Ui # 石油製品の燃料使用分
else:
output += abs(input_amount) // Ui
# 産出量を計算
iyunyu = 0 # 移輸入
iyushutsu = 0 # 移輸出
consume = 0 # 消費
fixed_capital = 0 # 固定資本
stock = 0 # 在庫
Ux = df_price_per_ton.iat[x, 0]
if Ux == 0:
output = 0
consume = 0
fixed_capital = 0
stock = 0
iyushutsu = 0
iyunyu = 0
else:
for i in range(len(df_iotable.index)):
if i == x:
continue
else:
if df_iotable.iat[x, i] >= 0:
output += df_iotable.iat[x, i] * 10**3 // Ux
ctuple = ('7111', '7211', '7212', '7311', '7321')
for c in ctuple:
consume += df_iotable.loc['0110', c] * 10**3 // Ux
ftuple = ('7411', '7511')
for f in ftuple:
fixed_capital += df_iotable.loc['0110', f] * 10**3 // Ux
stock = df_iotable.loc['0110', '7611'] * 10**3 // Ux
iyushutsu = df_iotable.loc['0110', '8120'] * 10**3 // Ux
iyunyu = -(df_iotable.loc['0110', '8720']) * 10**3 // Ux
input = input + iyunyu
output = output + iyushutsu + consume + fixed_capital + stock
waste = input - output - fuel
print('投入分:' + str(int(input)) + '[t]')
print('産出分:' + str(int(output)) + '[t]')
print('燃料使用分:' + str(int(fuel)) + '[t]')
print('廃棄物発生量:' + str(int(waste)) + '[t]')
必要な統計資料をcsv形式で保存する
産業廃棄物実態調査のデータを整理する
最初に、岩手県の産業廃棄物実態調査等平成28年度調査(平成27年度実績)のデータを整理していきます。
H27年度岩手県の産業廃棄物のデータは、「表I-16 業種別の発生及び処理状況 〔全種類〕〔全地域〕〔平成27年度〕」から抽出します。表67-1、表67-2で赤枠で囲んだ部分が抽出するデータとなります。
データを抽出すると、表67-3のようになりました。
表67-3は、単位が「百t」なので、「t」に変換します。
表67−4から、発生量を抽出し、CSV形式で保存します。
産業連関表の産業コードと産業廃棄物実態調査の製造業24業種の対応表を作成
次に、産業連関表の産業コード(code)と、産業廃棄物実態調査報告書の製造業24業種(sector)との対応表を作成します。対応表の一部を以下に示します。
こちらもcsv形式で保存します。
重量単価初期値におけるH27年度岩手県製造業24分類の推計値と統計値の廃棄物発生量
表67-5をもとに、各産業の廃棄物発生量Wxを、産業廃棄物実態調査報告書の製造業24業種の廃棄物発生量Eyに対応させて、照合します。
重量単価初期値におけるH27年度岩手県製造業24業種別の照合結果を、表67-6、図67-1に示します。
H27年度岩手県では製造業24業種のうち、6業種で推計値が負の値をとっています。その中でも、窯業・土石、木材、電子部品が大きくずれています。
また、相関係数は0.178と低い値となり、推計値と統計値の相関はほとんどみられません。