#71 2013(H25)年岩手県における製造業の物質フローと環境効率評価指標を推計
今回は、2013(H25)年岩手県における製造業の物質フローと環境効率評価指標を推計していきます。
結合小分類一覧表の作成
手始めに、2013(H25年)岩手県産業連関表の結合小分類一覧を作成します。
いわての統計情報には、2013(H25年)部門分類表が記載されていなかったので、産業連関表から作成していきます。
重量単価初期値は2011(H23)年のものを援用
次に、各産業が産出する製品の重量単価の初期値を推計していきます。
といっても、今回は、直近の暦年である2011(H23)年の重量単価初期値をそのまま援用することにします。
重量単価初期値における廃棄物発生量の推計
推計方法の流れは、下記の投稿を参照してください。
重量単価初期値における推計値と統計値の廃棄物発生量
重量単価初期値における、2013(H25)年岩手県の製造業24業種別の投入量・産出量・大気放出量・廃棄物発生量推計値(Ey)・報告書(Sy)の推計結果は、以下のようになります。
7業種で推計値が負の値をとっています。その中でも木材、電子部品、飲料・飼料、鉄鋼が統計値と大きく乖離しています。
重量単価初期値における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関
重量単価初期値における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関を見ると、以下のようなグラフになります。
上記の7業種および統計値が0である業種は、グラフから除いています。
相関係数は、0.387でした。
重量単価を最適化
続いて、以下の式の評価関数を用いて目的関数zが最小となるような重量単価の再設定を行います。
2013(H25)岩手県における重量単価の再設定での出力結果
最適化計算において、他の年では、以下のような制約条件を設定していました。
# 制約条件を定義
model.CONST = pyo.ConstraintList()
for i in model.ITEMS:
if i == '0131':
model.CONST.add(model.u[i] == 0) # 0131(農業サービス)は製品の産出がないので、重量単価は0
else:
model.CONST.add(model.u[i] >= 100) # 0131(農業サービス)以外の産業の重量単価は、100[円/t]以上
そして、最適化の状態において、以下のような出力結果を得ることができていました。
Solver:
- Status: ok
Message: Ipopt 3.12.13\x3a Optimal Solution Found
Termination condition: optimal
ところが、2013(H25)年において、上記の制約条件のもとで最適化計算を実行すると、以下のような出力結果となりました。
Solver:
- Status: ok
Message: Ipopt 3.12.13\x3a Solved To Acceptable Level.
Termination condition: optimal
これまでとは異なった出力結果が得られたので、記載しておくことにしました。
最適化した重量単価における、2013(H25)年岩手県廃棄物発生量の推計値と統計値
再設定した重量単価における、2013(H25)年岩手県の製造業24分類の廃棄物発生量の推計値は、以下の表のようになります。
最適化後の重量単価における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関
最適化後の重量単価における廃棄物発生量の推計値と統計値の相関を見ることにします。
統計値が0の業種は、グラフから除いています。
相関係数は、0.985となりました。
2013(H25)年の岩手県の製造業の物質フローを推計
岩手県の製造業の物質フロー(H25)
2013(H25)年の岩手県の製造業全体の物質フローを推計すると、図71−3のようになります。
投入73116ktに対して、廃棄物発生量775ktであり、全体の約1.1%が廃棄物となっています。
産出71536ktに対して、消費5869kt、移輸出19036kt、他産業43219ktであり、県内の他作業へ多くの製品を出荷していることがわかります。
次に、2013(H25)年の岩手県の製造業の中で、廃棄物発生量が高い窯業・土石、輸送用機器の物質フローを示します。
岩手県の窯業・土石の物質フロー(H25)
窯業・土石の廃棄物は、製造業全体の約28%を占めています。
岩手県の輸送用機器の物質フロー(H25)
輸送用機器の廃棄物は106ktで、製造業全体の約14%を占めています。
2013(H25)年の岩手県の製造業における環境効率評価指標を推計
本記事の最後に、2013(H25)年の岩手県の製造業における環境効率評価指標を推計していきます。
本研究における環境効率評価指標の考え方については、以下の投稿を参照してください。
また、環境効率評価指標の推計の流れは、以下の投稿が参考になります。
GDPデフレーターによる補正
2015年を基準年としたGDPデフレーターで補正を行います。
GDPデフレーターは、こちらのサイトの値を用いました。
# GDPデフレーターによる補正
df_added_value_amount['added_value_amount'] = df_added_value_amount['added_value_amount'] * 96.3/100
df_added_value_amount
環境効率評価指標の推計結果は、表71−4のようになります。