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#90 産業連関表の作成対象年次を変更する
#72において、毎年のマテリアルフロー分析を行うためには、作成対象年以外の年での産業連関表を独自に作成する必要性について触れました。
本マガジンで実施しているマテリアルフロー分析を各年で行うためには、各年の産業連関表を作成していく必要があります。
そして、作成対象年以外の年における産業連関表作成について、以下の学術論文での方法を紐解いていきました。
Junzo Tachibana, Keiko Hirota, Naohiro Goto, Koichi Fujie. A method for regional-scale material flow and decoupling analysis: A demonstration case study of Aichi prefecture, Japan.Resources Conservation and Recycling 2008;52:1382-1390
その中で、独自に作成した産業連関表の精度を評価するために、2005年(平成17年)の産業連関表を元に2011年(平成23年)産業連関表を作成し、その県内生産額と、2011年(平成23年)公式の産業連関表の県内生産額を比較することについても言及しました。
本マガジンでは、精度を評価するために、2005(H17)年の産業連関表を元に作成した2011(H23)年産業連関表における県内生産額と、2011年公式の産業連関表の県内生産額を比較することにします。
#73からは、具体的に2011年(平成23年)における岩手県の各産業の県内生産額を推計してきました。
2011年(平成23年)の推計の難しさに直面
ここにきて、2011年(平成23年)における県内生産額の推計の難しさに直面する機会が増えてきました。
調査年次が2011年(平成23年)のデータがなかったり、調査対象である事業所の減少でデータが「X」と秘匿処理されていたり…。
2011年(平成23年)3月に発生した東日本大震災の影響が伺える事象に遭遇する機会が増えてきました。
2011年(平成23年)の必要性の有無について
そこで、改めて県内生産額を推計する経緯をふりかえってみると、独自に作成する産業連関表の精度を検証するためでした。
独自に作成する産業連関表の県内生産額と、公式の産業連関表の県内生産額を比較することが目的で、その目的を果たすために、作成する産業連関表の対象年次が2011年(平成23年)である必要性はありません。
独自に作成する産業連関表の対象年次が、公式の産業連関表の年次と合致していればそれで事足ります。
それなのに、データの入手が他の年次と比べて難しい2011年(平成23年)に拘ってしまうと、産業連関表の作成が滞ってしまう危険性があります。
作成対象年次を変更する
なので、ここで方針を転換することにします。
独自に作成する産業連関表の対象年次を、2011年(平成23年)から2015年(平成27年)に変更することにします。
よって、県内生産額推計の対象年次も2015年(平成27年)となります。
それに伴い、県内生産額の推計に使用するデータも2015年(平成27年)のものになり、2011年(平成23年)に比べると入手が容易になることが期待できます。
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