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将来の夢


初めて将来の夢を意識したのは幼稚園の時だった。
幼稚園のお誕生日会で、ステージに上がって発表する場があったのだ。

『将来の夢は、獣医さんになりたいです!!』

"動物のお医者さん"とか、もっと可愛らしい言い方もあったろうに、なんだか生意気な幼稚園児だなぁと今更思った。

そこから、暫くの間はずっと獣医さんになりたかった。

小学校3年生の頃には漫画を沢山読むようになって、絵も沢山描くようになって、将来の夢は"漫画家"に変わった。

漫画は相変わらず読んでいたけど、いつからかミステリー小説を愛読するようになっていた。
色々な作家さんを読んだけれど、一択して大好きで読みまくったのは赤川次郎先生だ。

気付けば中学生の時には、わたしの将来の夢は"殺し屋"になった。
殺し屋に憧れが募り過ぎて、よく妄想をする日々だった。

わたしの理想の殺し屋は、組織に属さない一匹狼。
昼間はメガネをかけた冴えないOL。
お茶汲みやコピーをして目立たずひっそりと仕事をする。

夜は華麗な殺し屋に変貌するのだ。
殺しの手筈も鮮やかで、成功率は100%
メガネを外すと実は目を見張るほどの美人と言うのもポイントである。

殺し屋になる日々を毎日妄想しては、いつ夢が叶うかなぁ?
どうやったら殺し屋になれるのかな?と、考えていた。

その願いはいずれ焦燥感へとなる。

が、あんなにも憧れていた想いは月日の流れと共にすっかり流れていった…
うっかりトイレにでも流してしまったのだろうか?

だが、トイレに流したはずの憧れはふとした瞬間にわたしの元へと帰ってきた。

夫と将来の夢ってなんだった〜?なんて、他愛もない会話をしていた時だった。

その日から『殺し屋になりたい』熱が再発しているのだ。
某知恵袋で検索していると、夫に言われた。

『すじこちゃん…?某知恵袋で殺し屋になれる方法は分からないよ…?』

クソっ!!
そんなことはこちとら百も承知だ。

わたしの叶わないであろう将来の夢。
だが今も尚、虎視眈々と狙っている。
その夢を実現させる日を。

因みに…夫の幼稚園の頃の将来の夢は"ぶどう"

…お前の夢、ぜってぇー叶わねぇかんな!!

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