トーチトワリングマニュアルの本質的な欠陥 演舞中に身にまとう推奨素材 綿100パーセントの不合理さ 改訂版

トーチトワリングマニュアル これは西山豊氏が入手しておりこれを参照する。

今回このマニュアルでフォーカスするのは、推奨着衣の文言についてである。

【1、衣類は綿製品とし、長袖長ズボンを着用させる。2.化繊のものは、トーチが当たった時に燃えたり、溶けたりすることがあるので着用させない。3、溶けると肌に密着しひどい火傷になる】(番号は筆者)

の文言に着目した。

1の長袖はリスクから肌を守るリマネジメントであると推測される。

2の文言についてはどうだろうか?化繊のものはトーチが当たった時に燃えるとある。これは、どうゆうことだろうか?1の文言では綿製品を着用推奨しているので、つまり、綿製品はトーチが当たっても燃えなく、溶けないということになる。着用視点がそこにある。化繊は着用させるな、なぜなら燃えたり、溶けるからだとある。 燃えると同時に溶けるのではなく、燃えたり、溶けたりとしているので、それは別々に事象が起こると解釈できる。

つまり、Aを着用させる。Bはトーチが当たった時に燃えたり溶けたりするのでとなれば、Aというものはトーチが当たっても燃えたり溶けたりしないと解釈するのが文言的解釈ということだ。

綿製品は燃焼しても溶けないということはあるだろう。しかし、トーチがあたっても燃えないということはない。

つまりこの文章が、化繊の燃焼の仕方が木綿とは違うということは言えるにしても、化繊が燃えて、木綿が燃えないというのは全く事実に反するということが言える。


その根拠は京都市消防局サイトにある。


【一般に,ポリエステルは,炎の広がりは緩やかで,溶融しながら徐々に燃焼するという特徴があります。】

ポリエステルは言うまでもなく化繊である。

【繊維の燃焼性は様々ですが,マネキンによる実験ではポリエステル100%のもの以外は燃焼を続けるという結果が出ました】

もう一度いう、ポリエステルは化学繊維だ。


2の文言において化繊は溶けるとある、つまり化繊が溶けて肌につくという火傷のことを示している。化繊が溶解することは真実だが、火の燃え広がり方は緩やかであることが京都市消防署サイトにより示されている。

つまり、このマニュアルの作成者はどのような視点でこれを書いたかといえば、化繊が燃焼により溶けることがイメージとして先行してあり、その燃え広がり方については言及することなくその結論を出した。




着衣着火実験の動画をここでご紹介したい。

実験したのは、滋賀県の江南広域行政組合

タイトル未設定


前半は、化学繊維混合素材、後半は綿素材である。


両方とも確実に燃えている。




では、なぜ、綿製品がよくて化繊が良いなどという、合理に基づかない信仰ができたのだろうか?確かに、綿と化繊の混合素材についてはその燃え広がり方等は、その混合割合等によるので、一概には結論できないが、綿とそのたの化繊を比較した場合に、綿が圧倒的に防火の素材であるとはいえない。





化繊が溶けると肌についてやばくね?という一念で化繊はやめろということだ。でもそれは違う、燃え広がり方を総合勘案しないと、溶けた状態のみをもって判断はできないからだ。

火傷の因子というのは岩崎らの研究によれば、燃焼温度と燃焼速度で決定されるとしてる。(https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/111H0000001-34-5.pdf)

この論文で、易燃性である綿織物(単独、重層)が最も高い燃焼温度を示している。綿単体では771度であるのに対して、綿とポリエステルの混合素材については745度である。つまり今回の事故の綿ポリのシャツにおいては、燃焼温度が低い可能性があることが判明した。


室崎益輝 関西学院大学教授もこのことを指摘している。

【ここで注意していただきたいのは、「化繊は危険で、天然の綿や麻は安全」という思い込みが、一部の皆さんにあるということです。確かに、燃え上がってから発生する有毒ガスのことを考えると、化繊は青酸ガスやホスゲンなどの有毒ガスがでるので子どものパジャマなどには天然素材を使う配慮が必要です。しかし、着衣の燃え上がりということでは、天然素材である綿も危険性が高いということを知っておいて下さい。】



トーチトワリングマニュアルに記載している衣服の推奨の綿の素材は燃焼することが判明し、手首の返しが弱い学童初においては常にトーチトワリングの火の玉が体のそばを通り、着衣着火の危険性が存在していることを鑑みれば、綿素材の演舞推奨は極めて危険であることが結論できた。

トーチトワリングの先端に、綿のタオルを巻きつける。生徒には綿で演舞させる。この矛盾にお気づきだろうか?

なぜ、同じ素材で、灯油と火というものを媒介させ、公教育で児童に演舞させるのであろうか?

そしてそのマニュアルの核ともいえる、衣服のリスクマネジメント方針が、まったく科学的根拠がない、思い込みというもので経年にわたり実施されてきたことに強く失望するものである。

そして事故を受けての豊橋市トーチマニュアルにおいても、同じ綿素材で演舞するようになっており、その愛知特有の文化は根本から病んでおり、合理の眼というものが全く感じられず、同じような事故を引き起こす可能性が強く存在する。


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