ChatGPTはロシア語の勉強にはなるが、誤訳も多い。
こんにちは!
ある生徒さんのおすすめで最近は人工知能であるChatGPTで色々と遊ぶのにはまっています。無料なのに、噂通り、本当に自然な文章を即座に生成してくれるし、ましていわんや一瞬でロシア語の翻訳や要約もしてくれるので、本当に恐ろしいです。
ロシア語で色々とためしてみたのですが、「日本で今後成長が期待できる経済分野は何ですか?根拠を含めて40単語以内で教えて!」と打ってみると、本当にロシア語で生成してくれ、しかも生身のロシアンネイティブと遜色のない文章を作ってくれました。
これは使い方によっては、ロシア語能力検定試験の2級や1級の口頭作文の自学用対策としてかなり有用になりそうです。
一方で、文法規則のレールから離れがちな口語のロシア語は、まだまだな印象を受けました。
例えば、Быстро показала! は直訳すると、文法規則上は「早く見せてくれた!」になりますが、文脈によっては「早く見せなさい!」になります。
相手に対する強い命令は、時によっては動詞の過去形を使うことがあります。ChatGPTは高度な知能をもつのですが、さすがに「Быстро показала!を和訳して」だけだと、直訳だけであって、可能性としてありえる、口語的な訳のバリエーションまでは提示しませんでした。
ただ、画像の通り「命令された」と条件を与えたら、きちんと訳してくれました。ChatGPTはそれを使う人が質問するロシア語の文脈を理解していれば有用になるし、逆の場合は誤訳しやすいということになるかもしれません。
парень как парень もまた同じで、”A как А”という口語表現は文脈によって、「Aといっても、どこにでもいるようなAだ」というニュアンスになります。парень как парень ならば、「そこらへんにいそうなごく普通の男子だ」となります。Городок как городок ならば、「変哲もないありふれた田舎町だ」となります。
こちらも、Ничего особенного (特徴的なところが何もない)と補って初めて、ChatGPTはこの文脈をインターネットで検索し、最も正解になる可能性が高い訳を提示してくれたという印象を受けました。
総合的に判断すると、予想通り、「その分野である程度の知識・経験がある人がAIを支援ツールとして使うなら『鬼に金棒になる』」ということで、殊にロシア語に関して言えば、最初の文法から習いたい人は古典的な方法で文法書を読んで理解する方が効率が良いように思われます。
また、語学は忍耐力・継続力を土台としたルーティンワークがきちんと管理できる人しか上達できないので、すぐに飽きがきて独学ではできない人は、いくらChatGPTの機能が開発されていっても、ロシア語の上達は見込めない気がします。
ちなみに私は仏教徒で、800年間続く寺院の菩提寺の檀家ですが、その仏法の教義や奥義についてchatGPTに何問か単純な知識として尋ねてみたところ、ほとんど全ての項目で間違っていました。所詮は背後にインターネットのデータが入っているだけなんだなと改めて感じました。