ロシア語文法解説NO.4 状態動詞と一瞬の動作を表す動詞の使い分け~
こんにちは!
本日は、「状態を表す動詞」と「一瞬の動作を表す動詞」の違いについて、具体例を挙げながら解説していきたいと思います。区別な曖昧なままだと間違った解釈に繋がってしまうため、大変重要な項目となります。それでは宜しくお願いします。
ロシア語には動詞を「状態動詞」と「一瞬の動作を表す動詞」の2つに分別するときがあります。
状態動詞とは、継続的な状態や性質を表している動詞のことで、一瞬の動作を表す動詞とは、ある瞬間や一回だけの動作を表す動詞のことです。本日は、基本動詞спатьを例に見てみましょう。
спатьを「寝る」と訳す人が割と多い印象を受けますが、正確なニュアンスを強調して言うと、「ねむっている」という意味になります。
つまり、本来は寝ている状態を表している動詞なのに、就寝する、寝入る、といったあたかも一瞬の動作であるかのような動作として間違って受け止めているということです。
中には、この二つの違いを完全に混合してしまっているパターンもあるでしょう。では、例文を使ってспатьの正確な意味を考えてみましょう。
(1) Я обычно сплю на кровати. (私はいつもベットで寝ています。)
(2) Вчера дочка спала всю ночь. (昨日、娘は夜中ずっと寝ていました。)
例文から見てわかる通り、спатьは明らかに寝ている状態を表す動詞であり、就寝する・寝入るといった、起きている状態から眠る状態に入るための一瞬の動作ではないことが分かります。
では逆に、就寝する・寝入るという一瞬の動作を表すためにはどういった単語を使えばよいでしょうか。
まず日本語の問題ですが、就寝するとは、人が故意的に寝ようと思って床に就くことをいい、寝入るは、眠くなってしまい結果として寝てしまった、という区別があるものとします。
就寝するはлечь спатьを使うのが一般的です。動詞лечьとは、横たわる・臥すという意味の一瞬の動作を表す動詞です(※ちなみに、лежатьは横たわっているという状態動詞です)。
лечь спатьというこの熟語は、直訳すると「寝るために横になる」となり、”就寝する”が適訳になるでしょう。
(例文)
(3) Когда сын лёг спать, он вернулся к своим занятиям. (息子が床に就くと、彼は自分の作業に戻った。)
(4) Я очень часто ложусь спать поздно. (私はしょっちゅう遅くに寝ます。)
「横たわる」という動詞ですが、(3)は完了体のлечьを、(4)は不完了体のложитьсяが使われています。
寝入る・寝付くは、заснуть、もしくはуснутьという動詞を使うのが普通です。両者の違いですが、何人かのネイティブに尋ねたところ誰も知らなかったので、寝付くという意味では同義とみなしてよさそうです。
(例文)
(3) Дедушка уснул в кресле. (おじいさんは安楽椅子で寝てしまった。)
(4) Водитель заснул за рулём и врезался в автобус. (ドライバーが運転中に寝てしまい、バスに突っ込んでしまった。)
(5) Мой ребёнок не засыпает без чтения книжки . (私の子ども本を読んであげないと寝付けない。)
(3)(4)は完了体を、(5)はзаснутьの不完了体(習慣的な動作)засыпатьを使用しています。(5)に関して言えば、(1)のようにзасыпатьをспатьに置き換えることも可能です。ですが、(5)の場合、起きている状態から寝つくという一回(一瞬)の動作のニュアンスを強調するのであればзасыпатьを使用した方がよさそうです。
(1)の文の場合だと、眠るという人間的な営為のことを問題にしており、そして、そもそも、”どこで” 寝るかという情報の方がより重要なので、同じ不完了体動詞でもзасыпатьではなく、спатьが用いられています。
いかがでしたでしょうか。次回は「状態動詞」と「一瞬の動作を表す動詞」のそれぞれの完了体と不完了体の区別について、ひも解いていきたいと思います。ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?