一級建築士試験延期について。
先週の日曜日、東京都をはじめとする中部・東日本の一部地域における一級建築士試験が延期になりました。私もその地域に住む一人ですので、受験生の方々が無事に受験できるか心配でした。結局中止になってしまいましたが試験元はもう少し判断を早くした方が混乱が少なく済んだのではないかと思います。
しかし延期になってしまったのでこれからのことを考えましょう。今後行われる再試験では以下のことが考えられます。
・試験の難易度アップ
・作図量の増加(微増かと考えられますが)
・建築基準法への対応の厳格化
そしてこれらに対応するために今後どのように勉強していくか。
受験生は是非ご一読してくださればと思います。
1.合格へ必要な力を一つ上を目指す。
以前沖縄地区が(課題:道の駅)延期になりました、その時は課題の難易度が上がり合格率が全国平均よりも低くなりました。
今回は延期地域が広い上に、一番多くの受験生を抱える東京都が延期になっていることからそこまで課題の難易度は上げづらいのでは?とも思いますが沖縄の一件に合わせて考えると、これから2ヶ月程度勉強できる時間が伸びるわけですから課題は難しくなると考えられます。
ですので今のエスキス力・作図力・要点を書く能力すべてを一段階も二段階も上げていく必要があります。
では具体的にどのような勉強が必要か書いていきたいと思います。
2.作図力は上げといて損はない
まずは作図力。
作図時間が短くて損することはありません。
練習時間が出来たわけですから、二時間半以内で完成できるように作図力の強化を図りましょう。
練習内容は今までやってきたもので構いませんが、線を引くスピードを上げる、手を止めない、間違えないという3つの事をしっかり意識して練習してください。
また通常の作図方法とエスキスの時間が伸びてしまった場合の時間を短縮できる(ちょっと手抜き)作図方法の2種類を準備しておくと安心です。
下の作図時間の短縮も参考にどうぞ。
加えて自分の苦手な部分・時間がかかってしまう部分を集中して練習しておくと良いと思います。断面や階段・植栽、苦手な人多いと思います。また断面図等の寸法がまだ頭に入っていない人は目分量で作図できるようにしっかり作図練習をやっていきましょう。
あと注意ですが、これからまた作図練習を行うと腱鞘炎になる人もいるかも知れません。しっかり自分の体のケアをしながら作図練習を行ってください。
3.構造・設備・省エネ関係の復習と強化
構造・設備・省エネ関係の理解に自信を持っていますか?要点に書けますか?特に初受験の方。
今まで”なんとなく”で進んで来てしまった人、チャンスです。どんな条件でも図面として成立させることが出来るように基礎知識を復習をしていきましょう。まずはお手元のテキストを再確認。
構造はパターン化している方が多いと思いますが、条件を変えられても要点をかけるように、要点に書けるボキャブラリーを増やしておきましょう。
設備も同じです。設備は空調だけではありません。給排水・電気(照明)非常時の設備。どれも重要な設備です。ここもなんとなくでやっている方は、本試験でちょっとしたミスをしてしまいがちです。今のうちにボキャブラリーを増やして、要点の図示にも対応できるよう復習です!
4.建築基準法の再確認
今年は課題発表時に、”理解して”とありました建築基準法部分。これは上記の構造と設備等と同じで復習を必ずしてください、これも必須です。移動円滑化基準など曖昧ではいけない部分もふくまれています。
建築基準法の確認は基準ギリギリを狙えるようになるためではありません。理解して試験に望んでおり、基準法の中に見るからに収まっているということをアピールするためです。
時々高さ制限にはどうにか収まっています!と自信満々にいう人がいますが、試験はギリギリにならなくても解答できるように問題が作られています。余裕を持った計画が出来るように、エスキス時に基準法も意識できるように早めに基準法の総復習を。
5.エスキスは手順だけではなく考え方も鍛える
私なりの見分け方ですが、エスキスが出来る人はプレゼンをしてもらっても答えられる事が多く、その答えもテクニック的なことではなく内部の使われ方を考えた答えが帰ってきます。
ネット上にはエスキスのテクニックが数多く書かれています。
しかし一番重要なのは試験の時に課題文に合わせた人々が利用しやすい建物になっているかということです。
ですのでこれからエスキス勉強時にはどうしたら利用者が利用しやすく、管理側が管理しやすく、業者さんがメンテナスなどの作業を利用者・管理者の邪魔にならずに出来るかという点を考えることが重要です。
あくまでも優先順位が高いのは利用者が利用してかつ設計趣旨に記載されている機能です。しかしバックヤードが使いにくい建物はあまり良くありませんよね。だから優先順位は守りながらも、建物全体が使いやすい計画を目指してエスキスしていきましょう。
6.つまり合格への総合力を上げる
つまりはすべての合格に必要な能力全体を底上げしないといけません。
必ず試験は難しくなります。
弱点補強はもちろんのこと、今まで自信があった部分も復習してしっかり身につけ、延期された本試験への時間はすべての能力の向上につなげましょう!