🍆nasneはチューナーではなくてテレビだった：テレビ今昔な物語 ⑴

📡 ［事の発端］テレビが突然映らなくなる

事の発端は，関東に雪が降った先週，わが家のテレビが突然映らなくなったことでした。

テレビが急に観られなくなると，まずはテレビ受像機（液晶画面の付いたテレビ本体）を疑いますが，カラーテレビが三種の神器の１つだった昭和の昔とは違って，令和を生きる私たちは，平成23（2011）年に始まった地上デジタル放送（いわゆる地デジ）の洗礼を受けています。

今ではテレビの標準は地デジとなり，さらに最近になって2023年12月から一歩先をいく4K放送も始まりました（地デジは2K）。テレビ受像機の中には，地デジ開始当初から4Kを宣伝していた製品もありましたが，あくまでもそれは液晶画面の解像度が4Kということであって，搭載されていたチューナーは地デジ用でした。地デジが始まったばかりですから，まだ始まってない4K放送の電波は受信できない「4K」テレビだったわけです。

今のテレビ受像機というものは，画面の大きさだけでなく，受信できる放送の規格がセットになっていて，それを制御するのがテレビチューナーの役割です。地デジ以外にもBS・CSとさまざまな放送信号がある昨今，テレビとはテレビ受像部とチューナー部から構成されているというのが，今では家電の常識です。

地デジからこっち，昭和の頃とは違って，家電量販店に並ぶカラーテレビを選ぶにも，今はいろいろ基礎知識が必要になってきています。

📡 ［なにを今更］VHFとUHFをご存知ですか

地デジ以前，テレビはアンテナをつなげば映像が映るというシンプルなものでした。放送信号にはVHFとUHFがありますが，テレビの黎明期を除けば，VHFとUHFはアンテナから1本のケーブルで受信することができました。

当時はNHKや民放の主要局テレビ放送のキー局（東京周辺にある主要局）では，VHF帯の電波が利用される一方，地方局や地域局はUHF帯を利用することが一般的でした。

VHFは波長が長いため，信号が遠くまで届くという特性があります。そのため，都市部や広域に放送信号を送るのに適していました。一方，UHFはVHFよりも周波数帯域が広いため，地方局や地域局が周波数の混雑を避けることができ，新しい放送局に使われました。

地デジではUHF帯が利用されていますが，それは以下のような理由になっています。

1．周波数帯域：
UHF帯はVHF帯に比べて周波数帯域が広く，より多くのチャンネルを収容することができます。地上デジタル放送では，複数のチャンネルを同時に送信する必要があるため，周波数帯域の広さが重要であり，UHF帯が適していました。

2．電波の特性：
UHF帯の電波は，建物や地形に比較的影響を受けやすいですが，その代わりアンテナのサイズが小さくて済むので，アンテナを設置する場所を取らず，取り扱いが容易であるという利点があります。また，UHFの電波は高い周波数を持つので，デジタル信号の伝送に適しています。

3．国際的な標準化：
地上デジタル放送の標準化において，多くの国がUHF帯をデジタル放送に利用しており，国際的にUHF帯の利用が採用されました。

📡 ［ネット配信］スマホ・タブレットはテレビになるか

一方，今やネット配信全盛期でもあります。テレビが突然映らなくなっても映像を観る手段はあります。私たちは，地デジ以降もう1つ，スマホ・タブレットの洗礼も受けています。

昭和の昔から，世の映像マニアを始めとした方々は，ビデオデッキやDVDプレーヤーなど，様々な映像機器をテレビ画面に映して楽しんで来ました。そのため，皆映像や音声の配線の迷宮に足を踏み入れることになったのだと思います。

その頃と比べると，令和の私たちは，スマホ・タブレットの画像をテレビ画面に映す方法もそれなりに心得ているようになりました。時代は変わって有線の配線だけでなく，Wi-Fiも含めて無線で映像を飛ばす方法も登場し，利用するスマホなどの種類に応じて，私たちはApple TVやFire Stick TVやらなどを駆使してテレビを楽しむようになって来ています。

有料の Netflix や Amazon Prime などのネット配信はとくに有名ですが，前者の2つとはサービス内容が少し違いますが，無料のサービスでテレビ番組の見逃し配信に特化した TVer も人気です。

今回私も，突然テレビが映らなくなって，真っ先に試したのがApple TVやFire Stick TVからテレビに映像を映すということでした。今ではこれらの機器を通して，私たちはテレビ番組をネット経由で観ることができます。
アンテナ経由でもネット経由でも，テレビチューナーの役割を果たしているかがわかれば，それなりにテレビに映像を映せる時代になったので，またテレビを利用するアイディアはいろいろ浮かぶようになって来ました。

🍆 ［nasneとは］nasne とtorne が入れ替わっていた

そこで，冒頭のテレビが急に映らなくなったという話に戻るのですが，Apple TVやFire Stick TVから番組が視聴できることを確認して，テレビが映らないのはアンテナ経由の場合で，故障はチューナー関係かと見当をつけました。

わが家のテレビは，実は前述の4K放送が受信できない「4K」テレビだったので，既にBS4Kチューナーを別途購入して視聴しています（BS4Kチューナーの映像はHDMI経由で映されます）。今回映らなくなったのは地上波とBS/CSだけで，BS4Kは問題なく映るので，故障はやはりチューナー関係かと思われました。

それならば，チューナーを取り替えたら映りそう，と考えて今回はそのチューナーが以前から話にだけは聞いていた「nasne」という機器でした。
今思えば，このnasneという機器は実は奥様は魔女だったのです，みたいな感じでした。

果たして，nasneはテレビチューナーなのでしょうか。

「チューナー代わりに購入した」といっておきながら，こんなことをいうほど，nasneはその名前からしてなかなか不思議な機器でした。そもそもnasneとはどんなものか。

これが長年Googleで検索していてもよくわからなかったので，Microsoftの人工知能 Copilot（コパイロット，Chat GPT−4が使える）に質問してみました。

nasneはテレビチューナーですか？

「nasneはテレビチューナーです。nasneは、地上デジタルとBS/110度CSデジタルチューナーを搭載し、テレビ番組のライブ視聴や録画視聴が宅内、宅外から楽しめるネットワークレコーダー&メディアストレージです。nasneは、PlayStation 4やスマートフォン、タブレット、パソコンなどと組み合わせて使うことができます。nasneは、バッファローがソニーから引き継いだ製品で、2021年3月に新モデルが発売されました。」

nasneはテレビチューナーでもあり，「ネットワークレコーダー&メディアストレージ」というとことですが，これって何という人工知能にありがちな煙にまかれるという感じがありありですが，実は昭和以来のテレビマニアである，私の脳裏には「SONY」や「torne」という名前も浮かびました。

そこんところはどうなのでしょう？

PlayStation用の製品の時は「torne」という名前でしたが，いつから「nasne」になったのですか？？

「「nasneは、2012年にソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE)から発売されたネットワークレコーダー＆メディアストレージです。torneは、2010年にSCEから発売されたPS3用の地デジチューナーです。

nasneとtorneは別の製品ですが、nasneを操作するためのアプリケーションもtorneという名前になっています。nasneとtorneの違いについては、こちらの記事が参考になるかもしれません。nasneは、2019年にSCEからバッファローに引き継がれ、2021年に新型が発売されました。新型のnasneはPS5にも対応しています。

nasneは、PlayStation製品やスマートフォンなどとつなげてテレビの録画・視聴を楽しめる便利な製品です。」

そうでした，そうでした。いつのまにか「nasne」と「torne」が入れ替わっていたのです。

トピック「nasne」と「torne」の違いをまとめた

https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/546763.html

今思えば，昭和のビデオデッキに始まり，放送以外の機器からも映像を映し出すのもテレビでした。テレビが登場して以来，ビデオ，DVD，ネット動画という問題解決が，それぞれの時代と技術革新と共に登場しては消えて（？）いきました。いえいえテレビの問題解決はいつの時代にもあって，実は死屍累々と残っているともといえます（その時代を生きた人には消せなかったり💦）。

テレビに映像を映すという目的は同じでも，今ではテレビ番組のネット配信も盛んになっています。
それならテレビとネットはもうとっくに融合しても良いのに，とずっと思っているのですが，なぜかテレビは相変わらずテレビのまましぶとく生き残っています。だからまだ当分はテレビがネット配信に置き換わるようには私には思えません。

［追伸］
nasneにはHDMI端子がありませんでした。HDMIという規格はデジタル・テレビのために考えられたようなものなのに。
実は今回のnasne話がここで終われないのは，HDMIケーブルで接続できないことが大きく関わっています。

HDMI端子がなく，アンテナ経由でしか映像が送れない、というのはどういうことなのでしょうか。単に製造コストを下げるためとも思えません。そういう時代だったのかな。
nasneは今も便利なデジタル家電ではありますが，最新というわけでもないので，もしかするとひと時代前のデジタル・テレビの考え方なのかもしれません（続く)。