日本全国の工場巡り〜愛知一宮のスーツ工場〜
こんにちは!ファクトリエ代表の山田(tocio_yama)です。
ファクトリエは「語れるもので、日々を豊かに」をミッションとしているファッションブランドです。日本各地のこだわりを持った工場と一緒に「良いものを長く着る」をテーマに商品を作っています。
"長く愛用して頂く"ため、
-縮み、色あせなどの品質
-シルエットにこだわったデザイン
-適切な修理(交換)
を心がけています。
日本各地へ
さて、日本のアパレル工場は、染めや織りの伝統と手の込んだ技術によって、世界に誇る高品質な商品を生み出しています。毎月、様々な地域を訪問し、素晴らしい技術を持った工場を紹介してきました。
これまで訪問した秋田、岡山、長崎、石川・富山、熊本、大阪、福岡を訪問し・・・今月は「愛知(一宮)」です!
ウールの日本最大産地「尾州」
ウールの国内生産量の約6割を占め、日本最大の毛織物産地として知られている尾州(愛知県一宮市)。その一宮市木曽川町に佇む葛利毛織工業は、1912年(大正元年)に創業された老舗の毛織物メーカーです。その歴史は、木曽川のほとりに織物の輝かしい伝統を紡ぐ小さな工房から始まりました。
職住一体の経営形態を伝える歴史的な建物群です。国の登録有形文化財にも指定され、ドラマや映画「海賊とよばれた男」のロケ地としても知られています。
創業当初から、この地で受け継がれてきた技術と情熱が、葛利毛織工業を日本の繊維産業の中心的存在へと育て上げます。
あえて旧式織り機で勝負する
1950年代、日本の繊維産業は急速な変化を迎えました。その中で、葛利毛織工業は新たなる挑戦に立ち向かいました。当時、日本国内で普及したションヘル織機を取り扱うことで、他社には真似のできない高付加価値のテキスタイルを生み出す道を見出したのです。
織機の近代化において、葛利毛織は危機感を覚えました。日本の繊維産業が高度な自動化と生産性の追求によって均一化されつつある中、自社の独自性を失わずに確立するにはどうしたものか。
3代目の葛谷幸男さんは、「生産性を追求する中で失われつつあるウール素材の風合いを最大限に生かした独自のものづくり」を会社の方針として打ち出したそうです。古いションヘル織機がその役目を果たすのです。それは葛谷聰現社長にも引き継がれています。
ションヘル織機とは?
ションヘル織機とは、生地を織る際に緯糸を左右に運ぶために「シャトル=杼(ひ)」を用いる旧式のシャトル織機の一種です。この織機は、多くの機屋が近代化の波に乗り、生産性の高い革新的な織機に置き換える中で廃棄されました。しかし、葛利毛織は上述したように旧式の織り機に特化し、新たな可能性を模索することを決意したのです。コロナ前に訪問した時から織り機が増えていたのも、廃業する工場から譲り受けたそうです。
その結果、高度な技術と職人の手によって、繊細かつ高品質なテキスタイルを生み出すことに成功。工程はすべて手作業で行われ、織り始めるまでには約10日もの時間がかかります。
最新の高速織機が1日に数百メートルを織り上げるのに対し、ションヘル織機はわずか50メートルを織るのに3〜4日を要します。
しかし、その品質と風合いは顧客の心を捉え、国内外のデザイナーズブランドやトップメゾンのバイヤーたちから高い評価を受けています。
あたたかな日差しに包まれる工場内
昔ながらの木造建築が織りなす神秘的な雰囲気が漂っています。ノコギリ屋根から差し込む自然光が、年期の入った織機たちをやさしく照らし出します。そこには、ガチャンガチャンと音をたてながら12台のションヘル織機が静かに稼働し、一台一台が独自のリズムで機音を奏でています。その様子は、まるで生き物が息づいているかのように感じられます。
この特別な生地でオーダースーツを一着仕立てたい!という方はこちらより(10万円ほどです)。
製造風景はこちら(動画)
以上、今回は愛知(一宮)からお伝えしました。現場からは以上です。
最後までありがとうございました!^^
また来月も、よろしくお願い致します。
山田
《これまでの記事》
1.D2C創業、最初の壁を超えるための5つの基本
2.ものづくりについて
→D2Cブランドの99%はプロダクトで決まる
3.ファンづくりについて
→お客様をファンに変える。熱エネルギー型のブランド論
■ファクトリエ《ベストバイアイテム》
(最後に)
私自身がアトピー性皮膚炎であることから、肌悩みを持つ方向けの商品を開発しています。
現在は主にレディース中心ですが、もし洋服に困っている方がいましたら、ぜひ気軽に私のSNS宛(山田のTwitter)にご連絡ください。繊維の面から情報も記載しています。
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