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12周年記念の特別アイテム

こんにちは!ファクトリエ代表の山田(tocio_yama)です。

ファクトリエは「語れるもので、日々を豊かに」をミッションに掲げるファッションブランドです。日本のこだわりを持った工場と一緒に「良いものを長く着る」をテーマに商品を作っています。※100%日本製です

"長く愛用して頂く"ため、

-縮み、色あせない品質
-シルエットにこだわったデザイン
-適切な修理(交換) 

を心がけています。

日本各地のアパレル工場へ

さて、日本のアパレル産業は、染めや織りの伝統と手の込んだ技術によって、世界に誇る高品質な商品を生み出してきました(今も生み出しています)。このnoteでは、毎月様々な地域を訪問し、「ぜひ知っていただきたい」と思う素晴らしい技術を持った工場をご紹介しています。

この一年、秋田岡山長崎石川・富山熊本大阪福岡愛知広島埼玉を訪れました。


12年の節目に新たな提案を

今回の新しい取り組みについて私自身の体験談を少しお話しさせてください。
コロナ禍でリモートワークになった際(ファクトリエではいまも絶賛リモートワーク推奨中)、身の回りにあるものに気を使うようになりました。せっかくであれば、どうせ長く使うから、と自分に言い聞かせながら、良いお値段する家具をひとつひとつ揃えてきました。

今回初めて取り組んだスツール

海外ブランドの家具も見ましたが、その中でも日本の職人が手掛ける家具は丁寧な技術で、長く愛用できるようにできていると感じました。特に木製は自然の風合いや温もりを感じられて、個人的に大好きでした。

どんな場所に置いても様になる一脚

また家具について調べるようになると、林業の課題も見えてきました。

日本の森林率は世界でもトップクラスにも関わらず国産材は家具に使用されず、ほとんどがチップ燃料となっていることもわかりました。効率的だからといって輸入材に頼るのではなく、林業に携わる方にきちんとしたお金を払う方法はないか。どうすれば国産材を使えるのかと考えるようになりました。

想いの共感する相手と取り組む

そんなある日(2年前の夏くらい)、東京ビッグサイトで開催されたインテリアライフスタイル展内でのカリモク家具副社長、加藤洋さんの講演(国産材への取り組み)を聞き、すごい!!と感銘を受けました。

講演後に名刺交換の列に並んだ際、私が名刺を差し出すと加藤さんは驚いた顔をされ、「ぼく、全身ファクトリエですよ!」と言われたのです。その後、加藤さんはファクトリエのヘビーユーザーだったことがわかりました。この偶然の出会いが、今回の特別な取り組みを始めるきっかけです。

カリモク家具の工場を訪問2022年(右:加藤さん)

後日、改めて西麻布のショールーム「Karimoku Commons Tokyo」を訪れました。このショールームは商売っ気をなくし、一階をギャラリーとして開放。同じ価値観や志を持つ人々が集まる場というコンセプトで設計されていました。ここには、ザハ・ハディッドと協業して作られた椅子の展示や、子どもたちが家具の端材で動物を作る「アニマルカリモク」など、ユニークでユーモアの溢れる取り組みを目にし、ますます興味が湧きました。

世界初の未利用材の活用

今回のテーマは「クラフトでサステナブルなものづくり」カリモク家具のブランド「KNS」から生まれたファクトリエ限定モデルです。
同社が取り組んでいる「虫食いナラ材」の有効活用と、新しい提携工場篠原テキスタイルが織り上げる「リサイクルデニム生地」を組み合わせ、「アップサイクルプロジェクト」としてスツールを完成させました。虫食いナラ材を採用した木工スツールの発売は日本初の試みです。

通常は廃材となってしまう虫食いナラ材

「虫食いナラ材」とは、カリモク家具が持続可能なものづくりを実現するために活用している素材の一つで、名前の通り、虫による穴や痕が特徴です。

通常、こうした木材は家具製造には不向きとされ、廃材として処理されることが多いですが、カリモク家具はこの「虫食いナラ材」に新たな価値を見出し、アップサイクルする取り組みを行っています。

世界に唯一の一脚(色味が一脚一脚、異なります)

木材に自然にできた虫食いの痕跡は、その木が生きてきた証であり、素材にユニークな個性を与えています。これらの「欠点」とされる部分を逆に魅力として捉え、家具に取り入れることで、自然の不規則さや多様性を感じられるデザイン(世界唯一の色味)を実現。虫食いがあっても強度や耐久性に問題がないことを確認した上で、木材としての可能性を広げています。

小さな傷のような穴がありますが、品質には問題ありません

こういった未利用材を使用することは、森林資源を無駄にしないサステナブルな取り組みになります。通常であれば捨てられてしまう木材を有効活用し、環境への負荷を軽減すると同時に、新しいデザイン価値を生み出すことができるからです。

クラフト感溢れるカリモク家具

同社は愛知県と岐阜県に7つの工場を持ち、それぞれが異なるカテゴリーの家具を専門に製造しています。その中で共通しているのは、どの工場も「品質至上」を基本理念とし、木材の選定から製造に至るまで妥協を許さない姿勢です。

以前は「俺のお尻と背中が決める」と職人たちが言っていたアナログな業界慣習もあったそうですが、同社は異業種や大学との共同研究を通して人間工学やデータを用い、数値から座り心地を科学して家具を開発しているそうです(すごい!!)。

職人が手作業で丁寧に作り上げます

国産材の節や木の太さのばらつきを生かしつつも品質には一切妥協せず、デザインなどでしっかりと付加価値をつける。そのためにも業績に左右されることなく、必要な設備投資はしっかり行っているそうです(私が訪問した際の発泡設備もすごく立派なものでした)。

お客様は環境にやさしいから買うのではなく、デザインと品質で欲しいから買う。まさに理想の循環だと思いました。

組み立ててから鉄の染料で染めます。染料と反応して独特のムラに。

今回の味となっているのが、虫害木の特徴である「タンニン」です。タンニンは虫害等にあった木が“自己防衛”のため作り出す成分で、鉄分に反応する性質があります。そこで、鉄分を含んだ特殊な塗料で染める古来からの染色方法「鉄媒染(てつばいせん)」によって、虫害木が持つタンニンと鉄分を反応させ染め上げる方法を採用。一般的に流通している家具用木材では表現することの難しい“深みと独特な味わい”を持つ木材が完成しました。

老舗デニム工場が作る”リサイクル”デニム

デニムの聖地は岡山ではなく、実は広島だということをご存知でしょうか?以前の記事でも書きましたが、広島県福山市はデニム生地で国内で約8割を占め、世界的にも高い評価を得ています

今回のスツールには、篠原テキスタイルが手掛けたリサイクルポリエステル100%の生地が使用されています。見た目はデニムのようですが、ペットボトルを再利用したリサイクル素材で、環境に配慮したエコフレンドリーな素材です。同社の高度な織りの技術力によって、デニムのリアルな風合いを再現しつつも、色落ちしない堅牢さと強度を兼ね備えた生地となっています。

デニムの風合いはそのままに、色移りしません

福山市でも有名な「篠原テキスタイル」は、1907年に創業した歴史ある織物工場で国内デニム産業の一翼を担ってきた企業です。当初は「備後絣(びんごかすり)」という日本の三代織物のひとつを手織りで製造していましたが、1970年代からデニムの製造に着手し、その高い技術力で世界中に知られる存在となりました。

大きな工場には古い織機が多数稼働していました

同社の特徴は、他の工場が手掛けないような極細の糸を使用したり、非常に高い難易度の織りを追求するなど、挑戦的な姿勢を貫いている点です。
年間500以上の試し織りを行い、その中から実際に商品化されるのは5%以下という徹底した品質へのこだわりがあります。この姿勢が、一流のデニム工場の証ですね。

糸一本一本の風合いにこだわって織っています

工場内では、ガタンガタンと昔ながらのシャトル織機とエアージェットの織機を使用し、職人が目視、耳、振動を通じて状態を確認しながら織り上げています。また、木製のシャトルは小さくなりますので、シャトルの大きさに合わせて機械を調整する必要があります。この手間暇を存分にかけた織りのプロセスが製品に独特の風合いをもたらし、他では得られない魅力を生み出しています。

本日より注文受付を開始(〜10/31送料無料)

商品名:Castor Stool Plus Pad Factelier Limited Edition
発売日:2024年10月15日
販売期間:2024年10月15日~11月30日
場所:ファクトリエオンラインサイト:https://factelier.com/contents/17378/本体価格:39,600円(税込)

※10月31日までのご注文に限り、送料無料でお求めいただけます

最後に

このスツール「Castor Stool Plus Pad Factelier Limited Edition」は私たちが初めてライフスタイル雑貨(家具)に挑戦する商品です。日本のものづくりの技術を活かしつつ、未利用材の活用・アップサイクルというサステナビリティに配慮し、今の時代に必要とされる新しいスツールとなっています

長く愛用していただける家具として皆様の生活に寄り添い、使うほど愛着が増す一品です。虫食いナラ材 x リサイクルデニムが融合したこのスツールが、未来のものづくりの一つの象徴となることを願っています。

最後に、この度は素敵な取り組みの機会をいただいたカリモク家具の加藤様、中内様はじめ、ご尽力いただきました皆さまに心から感謝申しげます。

山田

《これまでの記事》
1.D2C創業、最初の壁を超えるための5つの基本

2.ものづくりについて
→D2Cブランドの99%はプロダクトで決まる

3.ファンづくりについて
→お客様をファンに変える。熱エネルギー型のブランド論

ファクトリエ《ベストバイアイテム

(最後に)
私自身がアトピー性皮膚炎であることから、肌悩みを持つ方向けの商品を開発しています。

現在は主にレディース中心ですが、もし洋服に困っている方がいましたら、ぜひ気軽に私のSNS宛(山田のTwitter)にご連絡ください。繊維の面から情報も記載しています。

https://factelier.com/hadaomoi/


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