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股関節と腸腰筋と走行フォーム
こんにちは。
今回は股関節の動きに関わる腸腰筋について解説していきます。
腸骨筋、大腰筋の二筋で構成され、大腰筋は浅頭と深頭に分けられます。
付着位置
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起始
腸骨筋:腸骨内面の腸骨か
大腰筋浅頭:Th12-L4の椎体、肋骨突起
大腰筋深頭:全腰椎の肋骨突起
停止
全て小転子
になります。
腸骨筋は体の前面から後面に付着します。
腸骨かとは腸骨前面に存在する窪みを指します。
大腰筋はASISと恥骨結合を結ぶ鼠経靭帯を潜り、小転子に付着します。
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右大腿骨を背面から見た図
作用
股関節屈曲、股関節外旋、腰椎前弯、骨盤前傾になります。
骨頭の求心化
大腿骨を寛骨臼に押し込む方向に働く作用を持ちます。
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主に立位時に求心化に働きます。
2D的な絵で付着位置を見ると、押し込む方向よりも前方に骨頭が突出する方向に働きそうですが、如何にして求心化に働くのでしょう。
筋の形状にヒントがありそうです。
鼠経靭帯を潜り小転子に付着する大腰筋ですが、恥骨稜付近で角度が変わり小転子に付着しています。
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横から見て頂けると分かり易いですね。角度が鋭角になり骨頭へ潜り込む形で付着しています。
角度が付くことで、立位時骨頭の求心方向へ働きます。
股関節が軽度屈曲する事で角度が消失し、骨頭求心化よりも椎体の前弯方向へ作用します。
股関節屈曲作用の特徴
大腿直筋と同じ股関節屈曲作用を持ちます。
大腿直筋は股関節屈曲0°-30~40°の範囲で強く働きます。
腸腰筋の股関節屈曲作用は自分の股関節屈曲角度に問わず、平等に働くと言われています。
言い変えるとそれ以外、伸展位からの屈曲などに強く作用するのが腸腰筋の屈曲作用になります。
腸腰筋の屈曲作用は伸展位からの屈曲がメインになります。
体幹と下肢
腸腰筋は体幹と下肢を繋ぐ数少ない筋肉の内の一つです。
(もしかしたら唯一かも)
そういった観点からも重要視されやすい筋肉の一つです。
腸腰筋のサイズとランナー
ここからは余談です。
日本人をはじめとするアジア人の多くの腸腰筋サイズを1だとすると、ヨーロッパは2、アフリカは3倍サイズに違いがあると言われます。
生まれつきの差なのか、腸腰筋が働きづらいアライメントが原因なのかは定かではありませんが。
とは言えアジア人よりもアフリカ人選手の方が骨盤の前傾や腰椎の前弯は強い傾向にあります。
アスリートらしい脊柱をしています。S字を描くような。
ここからよく言われる違いは、アフリカ人選手はつま先着地するのに対し、アジア人選手は踵着地する選手が多いと言われます。
つま先着地は骨盤前傾や腰椎前弯が強くないと出来ない走行フォームになります。
骨盤が後傾し脚を着地する際、身体よりも足が前に出ていたらつま先着地は不可能です。自然と踵着地になります。
つま先着地が可能な選手は、着地の瞬間には体が足を乗り越えており次の動作に素早く移行可能なフォームになっています。
骨盤が後傾し重心位置が低いとつま先着地は不可能です。
骨盤前傾・腰椎前弯している事で重心位置が高く、つま先着地が可能になります。
重心位置が後方に傾いていては、着地時に体が足を乗り越えられませんからね。