第3回東大本番レベル模試 地理所感
総評:標準
地理を解く上で必要なマクロな知識・ミクロな知識双方を問いながらも、図表の読み取りを的確に行い、状況について多角的に考察する能力を問う問題セットでした。秋になり、社会の勉強も進んできた時期です。どれほど勉強しても知識というのは常に足りないものですから、知識を補充しつつも図表の読み取りによって可能な限り問題に食らいつけるようになる訓練を積む必要があります。その点で、本問は知識と読み取り能力の両方がバランス良く問われる良問揃いでした。よく復習して、今後の学習に活かしてください。
第1問
設問A:標準
(1)統計処理に基づいて知識を使う問題。百万人あたりの死者数と全体の死者数が与えられているから、そこから国ごとの人口規模を求めればよいでしょう。
(2)与えられた語句を何に用いるか明確に意識した上で、複数の災害に言及できたかがポイント。
(3)複数の理由を多面的に考えることが必要。
(4)地形的要因と社会的要因のそれぞれに語句が与えられているから、何を書けばよいか比較的わかりやすい問題といえるでしょう。
設問B:やや難
(1)堤防の様子に注目すれば、上流・下流はすぐに判断できます。堤防の複数の機能について知らなかった人は、これを機に学習しておくとよいでしょう。
(2)実際の土地利用の変化だけでなく、社会的な困難にも目を向けることが必要。できなかった人は、地理を解く上で必要な多角的な視点の一つとして学んでおいてほしいです。
第2問
設問A:やや易
(1)与えられた2つのデータを用いれば容易に解ける問題。
(2)違いを生んでいる直接の各要因を書くと同時に、それらの要因の背景にある事柄が何であるかも考える必要があります。あまり得点できなかった人は、自分の解答が十分な理由になっているかを振り返りましょう。
(3)ア・イとウ・エには大河川の有無という決定的な違いがあるから、棚田の場所に関する知識を持っていなかったとしても自力で解答したい問題です。
(4)2つの理由についてそれぞれ語句が与えられているから、非常に易しい(優しい)問題。
設問B:やや難
(1)あまりなじみのない国名の多い問題だが、地図上の知識と輸出農畜産物とを組み合わせて解答してほしいです。できなかった人は、普段から世界地図を眺めて、どの位置にどのような国があるかを観察しておきましょう。
(2)ブラジルに対するコーヒー豆のイメージからcをコーヒー豆にしてしまった人が多いかもしれません。できなかった人は、近年の農業の傾向について再確認し、知識をアップデートしておきましょう。
(3)社会的要因について、多角的に論じることが重要。一つの論点を見つけて満足してはいけません。
(4)与えられた語句が論理の方向性を示してくれているので、書きやすい問題。
第3問
設問A:標準
(1)歴史的な背景に関する知識をもとに解く問題。知識の足りない地域があった人は、これを機に復習しておきましょう。
(2)この問題に限らず、地理を解く上では冷戦終結によって世界的にどのような動きがあったかを全体的に把握している必要があります。
設問B:標準〜やや難
(1)持てる知識だけでなく、与えられた情報から推測することが必要な問題。類似の問題でも解けるようになりたいです。
(2)A国とC国の男性の割合の違いを生み出す理由を考える問題。各国の労働内容の違いに思い当たれば、容易に解答できるでしょう。
(3)アラブ首長国連邦について知識がないと解けない問題。地誌の知識に抜けがあった人は、これを機に復習しておきましょう。
設問C:標準〜やや難
(1)歴史的背景に思い当たれば容易に書ける問題。
(2)日本における外国人労働者の質・扱いの違いに関する知識を問う問題。知らなかった人は、これを機に復習しましょう。