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2024年8月実施 第2回東大本番レベル模試 スタッフによる所感【日本史】


全体概観:標準

四問すべて、学習が一通り済んでいれば比較的取り組みやすい問題だったと思います。本番に出題されたら、40点以上を狙いたい問題でした。一方で、暗記が不十分だと手の付けにくい問題もありました。「論述だから」、「条件文があるから」と暗記を怠らずに、共通テストレベルの単語は頭に入れておくようにしてください。また、過去問にも積極的に取り組み、頻出分野の対策をしていってほしいと思います。
思うようにいかなかった方も、受験まであと半年ほどありますので、あきらめずに勉強を続けていってください。日本史は必ず伸びます。

第一問

問題文で解答するよう指示されている条件がとにかく多いので、一つも逃さないよう気を付けたいです。律令制下の納税法や国司の権限拡大は東大ではよく出題される内容ですので、解答冊子をよく読み流れを押さえてほしいと思います。

A:やや易

問題文で組み込むように指定されている解答の条件が多いので、うっかり忘れないように注意しましょう。ただし、指示が多い分、見落とさずに一つずつ解答できれば得点の取りやすい設問だったと思います。
解答材料は(1)、(2)だと考えられます。(1)の文章から、「原則」は陸路である、と判断しましょう。(2)は、東大お気に入りのヤマト政権と郡司の関係、それが律令制下にも残存していることに関する文章です。とはいえ、この内容にあまり詳しくなくても、文脈をよく読めば解答できたでしょう。

B:やや易

様相と戦乱、どちらも記述してあげましょう。戦乱に関しては、思い出せるかが勝負です。東大日本史は論述とはいっても暗記しているだけで点数が取れる所も多いですから、しっかり覚えておけるといいと思います。受領の租税納入も、東大ではよく出題される内容です。詳しくなかった人はこれを機に身につけましょう。

第二問

中世の用語暗記・時代の流れの把握がどれだけできているかが問われたと思います。特にBが厳しかったという方もいるかもしれませんが、社会は最後まで伸びるので、自分を信じて勉強を続けていってください。

A:標準

解答材料は(1)、(2)になるでしょう。(1)では、1185年に何が起きたか? を考え、守護・地頭の設置を導き出しましょう。また、土地紛争の裁定についても知識で補いましょう。(2)からは、幕府が朝廷と協調路線を取っていること、独裁体制がしかれていることを読み取りましょう。
なお、(1)、(2)において幕府の創設者の名前がずっと伏せられていますので、解答で源頼朝と指摘してあげるといいでしょう。

B:やや難

2段階目の政治と3段階目の政治について事前知識を持っていれば書きやすかったと思います。ただ、夏の段階では少し難しかったかもしれません。
連署、評定衆、時宗の子・貞時などを指摘してあげられると、少し点数が稼げたと思います。

第三問:標準

まずは、河村瑞賢、寛永文化、元禄文化などの用語を忘れずに指摘しましょう。(5)「江戸時代の文化は、いずれも三都と深い関係を持った」という文章から、拠点となった都市は三都である京都、大坂、江戸だろうと推測します。19世紀前半が江戸中心の文化だというのはいいでしょう。17世紀の前半と後半がどちらか、ということになりますが、これは(1)の流通ルートか(2)の人名から推測するほかないと思います。
「流通経済と関連づけつつ」とあるので、(1)、(3)から西廻り海運、江戸地廻り経済圏、といった用語も思い出してあげたいところです。

第四問

第四問では暗記が特に重要になることが多いです。まだ学習が追いついていない人もいるでしょうが、暗記さえすれば点数が安定しやすい設問でもありますので、ぐっとこらえて暗記を頑張ってほしいと思います。

A:標準

(1)から幣原喜重郎の協調外交、統帥権干犯問題、満州事変などを思い出せるとよかったでしょう。やはり用語暗記は大切です。満州事変を思い出せれば、「1933年に日本が受けた勧告」について書くのは容易だったでしょう。あとは字数制限を意識して全体の流れをコンパクトにまとめられればよかったと思います。

B:標準

近現代史がしっかりと定着している人には、基本的な知識で解答できる書きやすい問題だったと思います。ただ、夏の時点でここまでは手が回っていない、という人も多いでしょう。そんな人も、国連の意思決定方法は分かると思いますので、そこだけでも書いて部分点を狙いましょう。

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