🧡とことんユーミン🧡天国のドア

こんばんは。今朝は寒いくらいの朝でしたね。

22枚目のアルバム【天国のドア】 は
1990年11月23日リリースで、
キャッチコピーは「永遠をお探しですか。」でした。

さて、1990年にタイムスリップしてみましょう。
バブル景気最後の年。
東ドイツと西ドイツが経済統合したのもこの年です。
ティラミスが大流行り。

郷ひろみとの出会いと結婚を綴った
二谷友里恵「愛される理由」がミリオンセラーになり、

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3、
プリティ・ウーマン、
ゴースト〜ニューヨークの幻などが公開されました。

さて、この「天国のドア」を酒井順子さんは
「永遠と刹那、聖と俗」と表現しています。

🧡Miss BROADCAST

Miss BROADCASTは女性キャスターをテーマにしています。
1991年テレビ朝日の報道番組の番組スポットに使われました。

Sweetな夢見る夜明けを ひき裂く国際電話

彼と過ごしたかもしれない明け方、
国際電話に叩き起こされて、
主人公はタクシーを急かして
放送局へと向かいます。

メイクもスーツも中途で資料室にまっしぐら
うでいっぱいファイルかかえて Wow wow wow

たすけていつもの Studio
待ってて衛星(そら)からの Video

やり甲斐のある仕事を
バリバリこなす独身女性である主人公は、
当時すでにブームが到来していた女子アナではなく、
自分で資料も集め、
自主性が必要とされるキャスターです。

「本番1秒前でもすべり込んで来るニュース
考えもしないところへ ドミノが倒れてゆくわ
何が来ても落ちつかなくちゃ Wow wow wow

事実が過ぎてゆくときに
ふるえる ふるえる私のハートが

ニュースが消えてゆく前に
つかんで つかんで熱いメッセージ

このように一刻、一刻すぎてゆく情報戦を争う職場で、
彼女はストレスでなく、
なんとも言えぬ興奮を感じています。

この歌は異性への愛でなく、
仕事への愛を歌っている
この時代にふさわしい一曲だと思います。

💓時はかげろう

せわしなく「今、この時」を
送り続けるニュース番組の世界を描いた後、
雰囲気は一転して、
二曲目の「時はかげろう」へ。

この転換は見事というほかはありません。

日没の合図とともに 砂漠におこる風よ

静かに歌い出し、

目を閉じて深く吸い込む この星のエナジーを

滅びゆく種族のうたを おぼろげに口ずさむ

と歌います。
歌の世界の光景がありありと浮かんでくる
Miss BROADCASTに対して、
この曲は精神世界、イメージの世界へと誘います。

時はかげろうは1990年に
カルロス・トシキ＆オメガトライブに提供した曲のセルフカヴァーです。
壮大なバラードナンバーですね。

Illusion 時はかげろう
揺れる海の色
Solitude 別れではなく
もっと強くなって 君を迎えにゆくよ

俗っぽさと聖なるものの落差が
とてもユニークな展開になっていく
予感を感じる出だしでした。

❤️Aはここにある

さて、三曲目のA(エース)はここにある
は軽やかな恋の歌です。

「はやくひいてよ　aha 欲しいなら　Baby
私だけしか　aha　満たせない　Mighty Love

ほらほら、私を欲しいなら、
このカードを引いてちょうだい！と
まるで「私に手を出してよ」と言わんばかりに挑発している女の子の心情。
これも言うならば「俗っぽい」歌でしょうか。
これがいやらしくないのがユーミンらしい
ポップなサウンドだからだと思います。

特に、間奏でのサックスソロはすごく良くて、
歌詞やメロディーもさることながら、
サウンドが良いなあと思います。

❤️満月のフォーチュン

そして、4曲めの　満月のフォーチュンも
また、恋の歌です。

銀色のエンジェルが
矢を放つ前の
永遠の一瞬が 二人のはじまり

「永遠の一瞬」という言葉に注目します。
「永遠」と「一瞬」という反対語と言っていい関係の
言葉を絡ませることで、
「恋の出会いを特別な、運命的なもの」という、
恋愛初期には誰もが感じるときめきを
表現していると思います。

じっとこのまま　aha　抱きしめて　Baby
空光らす　aha　この恋が　Mighty Love

友達が恋人になる瞬間、
恋の一番良い一瞬を切り取った感じですね。
永遠には続かないことを知っていてもね。


この歌も三菱自動車「新型ミラージュ」のCMに使われました。

チャイナドレス姿のユーミンが歌う
プロモーションビデオは有名ですね。

💓Glory Bird land 

Glory Birdlandは永遠ソングです。

むかし昔　目も眩む金色の鳥が
深い深いバンブーの森にいたと云う

夜明けの晩しか咲かない百合の
雫を吸うのを見た者は戻って来ない

と言う神秘的な場所がどうやらGlory Birdland 

さあ行こう　あの禁断の　Holy Island
見つけよう　勇気を出して　Glory Birdland

禁断の場所へ行こうと誘います。そしてその後には

遠い昔　私達　タブーを侵して
高いビルとハイウェイの森で　又逢った

なるほど。
この二人は異なる時代に異なる場所で
出会っては別れの輪廻転生を繰り返しています。
ゆきずりとか一過性のものでなく、
聖なる結びつき。

酒井さんは

〜恋だの愛だのに関しても、「我々は、偶然につがったのではない」「これは永久の時の流れの中での必然である」ということを、この時代の人は思いたがっていました。そういった欲求が強まったのは、この時代がバブル絶頂、すなわち極めて刹那的、物質的な時代であったその反動だと思います」と語っています。

ユーミンの罪

ここでクイズです。
この曲はAORのテイストを感じさせるラブソングの仕上がりですが、
意外な場所で作詞されました。

さて、そこはどこでしょうか？

1988年に運行を終了した青函連絡を眺めることのできる青森のホテル

💔ホタルと流れ星

これが最後のデートね Honey

いきなり始まるこの言葉。
推測するには少なくても別れの修羅場でなく、
落ち着いて別れる二人

優しい日々が無口にする
こんなふうになるなんて

美しくも、切なくもある
雨の日の別れ。

別れ際の心の微妙な揺れを描けるユーミンの感性に脱帽！
隠れた名バラードと言える一曲です。

🧡Man In the Moon

Man In the Moonはこのアルバムの中でも、
もしかするとユーミンのすべての曲の中で一番俗っぽいと
酒井さんはいい「ザ・刹那」と呼びました。

まわりまわるステップでふわりふわり無重力さ
昇り昇る昇れれば世界中が脈打ってる

メロディが歌詞に追いついていかないくらいにアップテンポの曲。

明日からもハイなまま明日からも波に乗って
明日からもこのセンで明日からもクールでゆく

さらにくるくる感が続きます。
さてこの歌の主人公はといえば、珍しく成功を夢見る男性。

彼の夢は白いロールス プール付きの家
他人の鍵を腰で鳴らして クロークに戻す
ジムで鍛えた肉体にどんな女もイチコロ

なんて男でしょう！
「ゆとり世代のまったりした感覚」の今どきの男子から見たら、
ちょっと引きたくなるキャラですね。
「ハイ」「クール」「イチコロ」といった言葉は最近聞かれないけど。
1990年の雰囲気にはぴったり。
「こんな人いたよね〜」って思い出しますね。

ところが彼はチャンスを求めて焦っています。

めぐりめぐるチャンスからひとりひとり脱け出してく
かないかなうかなえればふかしだって本当になる

1990年にくるくると生きていた人は、
その場その場を「波に乗って」「調子良く」「強気に」
乗り切っていく時間は永遠に続くと思っていたのです。
でも、ユーミンはそんなことが永遠に続くわけもなく
幻想は消えると見抜いていました。
それでもくるくる回る甘美さを捨てないゆとりが
ユーミンのすごさだと思います。


ちなみに
「Man In the Moon」とはイギリスで古くから
「月には薪を背負った男が住んでいる」という言い伝えがあります。
1990年「苗場プリンスホテル」CMソング。

マザーグースにも歌があります。
「安息日なのに薪を集めていた男が罰として月にとらえられてしまった。
まだ刑期があるのに早々に地上に戻って来たその男がman in the moonだ」
とする説があるようです。
日本では、「月ではうさぎが餅つきをしている」と言われますが、
国や文化が違えばその見え方も様々なようです。

💔残暑

残暑は、夏特集でも取り上げましたね。
熊本・有明海の干潟がイメージの歌です。
しっとり聞かせるバラードナンバー。
いぶし銀のようなギターの淡い音色がたまらなく好きです。
気だるい夏から、透明感のある秋へと移りゆく時期を
美しく描いていますね。
心から感傷に浸れる私の大好きな一曲。
まだまだ暑さの残る今年は、
いつまでも残暑って感じでした。

写真は有明海ではなく、朝日を浴びる横浜臨港パークです。
先日、朝、家から散歩に行った時、「残暑」が
頭の中でずっと聞こえていました。

❤️天国のドア

酒井さんは「ユーミンの罪」254ページにこのように書いています。

「聖」で「永遠」な歌と「俗」で「刹那」な歌が折り重なっている「天国のドア」
ラストの前が、アルバムタイトル曲である「天国のドア」となっています。
「天国」などとあるので、死の世界をも視野に入れた永遠ソングなのかと思いきや、
これは意外に俗っぽい恋愛の歌です。曲調も明るく、脳天が開く感じ。
サビの歌詞は

Knock したいのはやく
Knock したいの天国のドア
二人 何度も急降下するたび
もっと私を呼んで
もっとあなただけの呼び方で
そうよ今まで恋した誰かを
忘れるくらい

というもの。下世話な私は改めて歌詞を見ていて、
「も、もしやこの歌のモチーフは性行為？そして天国とはすなわち……」などと
思ってしまったわけですが、まあそんなわけは無いでしょう。

もっと私を変えて
もっとあなただけのやり方で

という歌詞を読めば、さらに下世話な想像が広がりそうになりますが、しかし、これは
ユーミンの歌に良く出てくる、男性に「連れていってもらう」とか何かを「してもらう」ことが好きな助手席パーソナリティーのあらわれ。
それに続く歌詞は

そうよ今まで帰れた世界を
断ち切るくらい

ということで、やはり彼女は、男性にうんととおいところに連れていってくれ、と願っているのです。が、その願い方がほとんど脅迫的というか、彼のことを既に彼女が追い越し気味の感じがするのが、また、この時代らしい。

ユーミンの罪

酒井さんらしい解釈ですね。

💖SAVE OUR SHIP

大いに盛り上がって「天国のドア」が終わった後の、
このアルバム最後の曲はタイトルからして
もっと大きなものを歌っている様子

永遠に漂流する魂だから
せめて今は強く抱いて
遥か未来を乗り越える
SAVE OUR SHIP
それぞれの光めざし

ということで、この歌にも出てくる「永遠」。
ここで歌われているのは、永遠の成就というよりは、魂の救済といったことなのでしょう。
ゆらゆらと揺れる船のような不安定間を残したまま、この曲は静かに終わるのでした。」

さてここでクイズです。

この歌は初の日本人宇宙飛行士としてTBSの秋山特派員が乗ったことで有名になった宇宙船打ち上げを取材したTBS系「ロシアの風・宇宙の風・ユーミン」の主題歌でした。
さてこの旧ソ連の宇宙船の名前はなんですか？

ソユーズでした。

TBSの同宇宙プロジェクト『日本人初!宇宙へ』のテーマソングとなりました。
レポーターとしてユーミンがバイコヌール宇宙基地や星の街を訪れました。
この曲は番組のための書き下ろしで詞は旅の後書き上げたそうです。

後に「返事はいらない」のB面曲の
「空と海の輝きに向けて」
にも繋がっている作品である、とも述べています。
良い歌ですね。

このアルバムを聴いていて、
またまたプリンセスの恋を
連想してしまいました。

全てを捨てて、彼と新しい生活を送る決意、固いですね。

天国のドアを開ける10月26日が刻一刻近づいてきます。
ふたりの乗った船が遥か未来を乗り越えて、
SAVE THEIR SHIP!
幸せを掴んでくれると良いなあと思います。

ユーミンはこの恋をどういうふうに見ているかなあと
ふと思いました。

では、最後に酒井さんの言葉で締めくくります。

思い切り俗っぽい歌の、カリッとライトな歯触り。
そして永遠なるもの、聖なるものについての歌の、とろりとした食感。
両者が交互に重なり合うことによって、このアルバムはとても美味しく、とても食べやすいものとなりました。これもまたよく売れて、売り上げは200万枚を突破。売り上げ面でも天国のドアを開けたわけです。
　刹那的空気に満ちたりていたからこそ、永遠を求める気持ちも強くなった、この時代。
ユーミン自身は、中年期に差しかかりつつある中で、人気の絶頂を迎えていきます。人気がもたらすものは、決して幸福ばかりではないはずで、尋常でない人気が不安に感じられたこともあったのではないでしょうか。ユーミンもまた、「Man In the Moon」の主人公のようなハイでクールな日々を送りながら、自分の中に永遠を探していたのではないかと思うのです。

ユーミンの罪

ユーミンはバブルの象徴のように語られていますが、それで終わることなく、
今も尚、永遠と刹那を私に見せてくれます。
やっぱりすごいなあと思います。

♪ あさこちゃんタイム

今夜の一曲は「ホタルと流れ星」
なんとなくふわりふわりとホタルが飛んでいるイメージの
Ⅰ-Ⅳ進行をささっと教えてくれてさすがでした。
途中で挟んだのがSweet Thing 

お聞きくださいね。

あさこちゃんは　Miss BROADCAST を聴いて
マドンナを連想したそうです。
面白いですね。

💌　紙ヒコーキコーナー

clubhouseでは最近、直接のメッセージを
送る事ができます。
番組最中に紙ヒコーキに乗せて
お便りが届くのも楽しみの一つとなっています。

●いつも楽しく聴いています！
「Man In the Moon」思い出の一曲です。
1990年に一度目の結婚。
そして翌年の秋に出産。
地元の産婦人科に幼馴染が看護師で勤めていて初めてお産、微弱陣痛で不安な私に幼馴染はラジオをかけてくれて、その時にユーミンの天国のドアのアルバムから数曲が曲が流れてました。
歌詞に思い出、ではなく（笑）、曲のリズムとユーミンの力強い歌い方が陣痛で不安な気持ちを紛らわせくれました。聞く側の状況で一曲の歌にも色々なドラマがありそうですね。

●今夜もよろしくお願いします。
天ドアは、珠玉！
かげろうも、残暑も、セイブアワシップもいいけど、やはり満月！
セゾンカードCF。一緒ならうまくいくね、のキャッチコピーと、月と星の動画イラスト。間奏の後半部分も好き！
京劇衣装も^ - ^


●Aはここにある
トランプ繋がりで
リインカネーションのオールマイティーを思い出します。


●こんばんは
今日も楽しく聴いています。

「天国のドア」の思い出です。
ツアーに誘った女性に
チケットを渡す際､
「天国のドアを開ける鍵をあげる」
と言った自分に照れました😅😅

遠い昔の思い出です😂😂😂


●こんばんは！
今夜も好きな一曲でのご紹介ありがとうございます♪
昨夜は川口でのコンサート鑑賞してきました♪
私は3年ぶりのユーミンで、やはりライブはいいですね‼︎
ぜひ今回のコンサートのclubhouseルーム開催いただけると嬉しいです😊
皆さんの感想や解説をお聴きしたいです♪
ネタバレになるのであれば、
コンサートに行った人だけの鍵部屋とかで、いかがでしょうか？
どうぞよろしくお願いします！



●この部屋でユーミンをきくと、、(これはすでに30才…〜31の時なのに)
何故かいつも24.25.くらいの時代の自分を思い出します。
東横線、自由が丘、サーフィンの🏄‍♀️海など。
茅ヶ崎だけでなく千葉の月の砂漠海岸、、etc
彼の乗ってた白いbeetle
そのくらいまでは、まだ男性に強さを感じてられたからかなあ、、と自己分析。
今や強い逞しく頼れる男なんて幻想だと、、諦め切ってますから、
男性をみても、、なんの気持ちも湧かないけど。笑

だから、優しい女に戻れ、
感傷にひたれる唯一の時間かもです。笑

●今夜も楽しく拝聴しています。
ありがとうございます。

天国のドアがリリースされた頃、
私は日本におらず、ドイツフランクフルトで働いていたのですが、
当時日本から出張で来た方からカセットテープの新譜を貰って、
それこそテープが擦り切れるほど聴いたきとを思い出します。
まだカセットでもリリースされていたなんて感慨深いですね。

このアルバムでは満月のフォーチュンが好きです。
今聞くと逗子でのシンクロしか思い出せないけど（笑）。

●天国のドアのリリースは1990年なんですね。ベルリンの壁が崩壊し、私が身を固めたのが1989年。ソ連が崩壊したのが1991年。世界が激動した頃に出たアルバム。バイコヌール宇宙基地のソユーズの打ち上げをわずか１.5kmのところで見たユーミン。その感動と衝撃はTVでの表情を見ても大きかったと思います。宇宙をテーマにした曲が多いのもそれが原点になっているのでしょうね。人類みんなが宇宙船地球号のクルーなのに近隣諸国が仲違いしてるのはどうかなあと常々思ってます。地球は一つ、アジアは一つですね。

みなさん、このお部屋でユーミンの曲を聴いて、
当時を思い出して、お話してくれるようになって、
とても嬉しいです。

今夜はシュンミンリクエストタイムはおやすみです。
緊急事態宣言が解除され、リアルライブが始まっていき、
忙しくなってきました。
シュンミンの声が聞けないのは寂しいですが、
本来のお仕事ができるようになったのは嬉しいですね。

では、また来週！

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