#11 『Blue Energy』
『Blue Energy』
ライカは研究所の薄暗い廊下を歩いていた。手元には、古びた設計図が握られている。それは偶然見つけたもので、コアリアクターの最初のプロトタイプと書かれていた。だが、注目すべきはその隅に記された言葉――「代償」。その一言が、ライカの好奇心に火をつけた。
深夜、ライカは設計図を片手に、研究所の端末を操作する。データベースにはアクセス制限がかかっていたが、技術者としての知識を駆使して制限を回避した。その先に現れたデータは衝撃的だった。現在のブルーエナジーが、人間の生命力を少しずつ奪うことで成り立っているという事実が記されていたのだ。
ライカは驚愕し、すぐにデータを保存して研究所を後にした。だが、その帰り道で、彼女は誰かにつけられていることに気付く。振り返ると、背の高い青年が路地の暗がりから現れた。
「君、危険なものを手に入れたな。」
青年――カイロは口元に薄く笑みを浮かべていた。
ライカは後ずさりしながら言う。「あなたは誰?」
「俺の名前はカイロ。オーバーチャージの一員だ。ブルーエナジーの真実を知ってしまった君を守るために来たんだよ。」
ライカは彼の言葉に戸惑いながらも、真実を守るためにこの人物の助けが必要だと直感した。
数日後、ライカとカイロは秘密のネットワークを駆使し、市長リリアンのオフィスに忍び込んだ。ライカはデータを提示し、真実を明らかにするようリリアンに訴えた。だが、リリアンは冷静な表情で首を振った。
「この街を守るためには、この真実を隠すしかないの。」
「でも、そんなことは間違ってる!」ライカは声を荒げた。「みんなの命を犠牲にして、どうして繁栄を語れるの?」
リリアンは一瞬目を伏せたが、やがて厳しい声で答えた。「君はまだ若い。街全体を守る責任の重さを知らない。」
その言葉に、ライカは反論できなかった。だが、背後からカイロの声が響いた。
「だったら街を変えよう。俺たちはそのためにここにいる。」
その一言に、ライカは勇気を取り戻した。
夜明け、二人はアズールシティの中央広場に立ち、真実を知った市民たちと共に声を上げた。
ブルーエナジーのタワーが光を放ち、空が青く染まる中、ライカは決意した。この街を、そして未来を変える力を持つのは彼女たち自身だと。
「私たちは何かを犠牲にしなくても、きっと希望を見つけられる。」
その言葉が、街全体に新しいエネルギーをもたらした。
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