スナック年増園　第一夜

あら、いらっしゃい。

さぶちゃん、ちょうどよかったわ。そこ塩まいてちょうだい。さっきまで地球にやさしくない男がそこに座ってたのよ。
どんな男かって？

よくいるアレよ。ほら、仕事しかできないオ・ト・コ。

どんなに仕事ができても、オスという生き物として魅力がない男なんて、過渡期の電化製品と同じくらい使い勝手が悪いわけ。

その分野に長けているのは素晴らしいけど、スナックで素人相手に中東経済の躍進語ってどうするの？　だったらドバイのバージュ・アル・アラブで
ロマネコンティをご馳走してくださったほうが百聞は一見にしかず、ってもの。

しかも、謙遜という名の俺様的自慢話が見苦しい。周囲を落として自分を底上げするんじゃないわよ、まったく。

「まぁご立派ね」と微笑んでみせるのは、それがわたしの仕事だからよ。ムダにCO2吐きまくるなら、せめて“ダジャレ”と“オヤジギャグ”の違いくらいお勉強してらして。

仕事以外に趣味を持ちましょうとかって話じゃなくて、要するにバランスの問題ね。殿方にはかっこいいオスでいてほしいもの。

で、さぶちゃん、今日は何飲むの？
聞いておいて悪いけど、今日も角ハイしかないけど。

はい、今日も一日お疲れサマ。

カンパイ～！