★ブギーポップというか上遠野作品の話をします
ここから先、ネタバレあります。
まあ取り敢えずここが入り口です。
それは君の身近にも確かに存在する、非日常への入口……。
紙木城直子の持つ優しさが、地球外存在の虚空牙であるエコーズに「"善"いもの」として判断されて受け入れられたから、ブギーポップ世界の人類は存続できているに違いない、と僕は信じています。
初版は1998年……1998年かァ〜ッ!いつの間にやら長い付き合いになってたんだなあ。
「ブギーポップは笑わない」シリーズは1998年から刊行開始されて以来、
・電撃文庫「ブギーポップ」シリーズ
・電撃文庫「ビートのディシプリン」シリーズ
・電撃文庫「ヴァルプルギスの後悔」シリーズ
・電撃文庫「螺旋のエンペロイダー」シリーズ
・講談社ノベルス「戦地調停士」シリーズ
・徳間デュアル文庫(後に星海社文庫から)「ナイトウォッチ」シリーズ
・祥伝社ノンノベル「ソウルドロップ」シリーズ
・富士見ミステリー文庫(こちらも後に星海社文庫から)「しずるさん」シリーズ
・ハヤカワ文庫「製造人間」シリーズ
といった感じでいわゆる「シェアードワールド」作品が多数存在していて、なんなら単行本未収録作品もめちゃくちゃある。
メフィストとか流石に追えないからいつかまとめて出版して欲しい。
ビートのディシプリンはブギーポップシリーズに出て来る「統和機構」に所属する人造人間「ピート・ビート」が主人公だったり、講談社ノベルスの「戦地調停士」シリーズの主人公エドは時空を超えて辿り着いた著作「霧の中の一つの真実」を愛読して行動の規範としているが、この「霧の中の一つの真実」は実はブギーポップシリーズに登場する超重要人物である霧間凪の父親、「霧間誠一」の著作だったり、そもそもブギーポップの最初の超重要人物「エコーズ」とソウルドロップシリーズの主人公(?)「飴屋」は、ナイトウォッチシリーズに登場する外宇宙に進出した人類の脅威そのものである地球外生命体「虚空牙」が人類に接近するための端末であるし……と、各作品が密接に絡み合ってゴチャゴチャに繋がっている。
こんな感じで複雑で多数存在する上遠野作品群だが、しかし上遠野作品に共通して言えるのは、「テーマは基本的に人類讃歌である」ということだ。
絶望的状況に追い込まれた人類たちが、足掻いて藻搔いて文字通り血反吐を吐き泥水を啜り心を打ち砕かれても、最後の最後に残されたひと雫の人類の善性によって絶望的状況は辛うじて打破され、それからまたありふれた日常が続いていくのだ、という流れは一貫している。
上遠野作品の良さはそれなのだ。
だって僕たちの日常も大抵はそういうもんだろう。
僕たちの日常の中にある、フィクション作品によく登場するような非日常にも似た大ピンチは、僕たちが諦めずに前に進んで状況を今よりもほんの少しだけでも良くするぞ、という固い意志を持ってしか打破できないのだ。
そしてそれを邪魔するものたちは、自動的に浮き上がってくる「死神」に倒されて然るべき「世界の敵」なのだ。
それが良いし、それで良い。
そういうところが上遠野作品たちの愛すべきテーマなのだ。
まとまりのない散らかった文章ですけど、以上。
(まとまりがないのはいつものことじゃん)
(まあいいじゃん)
(という締めが、作者後書きの定番なんです)
それじゃあ、またね。