北九州市「2050まちづくりビジョン」を考える 第4回「まちづくりサロン」を開催しました!
北九州市 2050まちづくりビジョン note事務局の小倉地区担当です。
これまで3回にわたって実施してきた令和4年度の「まちづくりサロン」もいよいよ最終回を迎えました。
今回は、第1回で抽出したワークプレイスとして活用可能な場所で実際に働き、「まちごとワークプレイス」として機能するかどうかの実証ワークを体験しました。参加したのは、北九州市を中心に働くメンバーです。
【開催概要】
日時:2023年3月22日(木)13時~18時
第1回で抽出したワークプレイスで候補に上がった「まちなかワークプレイス」のうち、今回は以下の3カ所を巡りました。
・モノレール車内
・平和通駅改札口スペース
・本庁舎横リバーサイドベンチ
【参加者】
■株式会社インディスタウン 代表 長谷川繁さん
■株式会社インディスタウン 加藤綾さん
■フリーランス 坂田賢治さん
■株式会社ホーホゥ 橋口敏一さん
■株式会社北九州家守舎 清原裕也さん
■株式会社ディー・サイン 山本和明さん(企画・コーディネート)
■北九州市都市再生企画課 河野征一郎
■同 柳本理恵
■同 時本尚幸
最初に、株式会社ディー・サインの山本和明さんから、これまでの「まちづくりサロン」の活動報告と今回の実証ワークの目的や内容についてお話しいただきました。
実証ワーク体験@モノレール車内
オリエンテーションの後、さっそく1カ所目のワークプレイス「モノレール車内」へ向かいました。グループワークでは、「時間制限付きの“高集中ブース”になるのではないか」という意見が出ましたが、実際はどうなのか? モノレールに揺られながらどこまで仕事が捗るのか体験してみました。
13時。始発駅の小倉からモノレールに乗り込み、席に座ってパソコンやタブレット、資料を開きました。社内の乗車率は約4割。隣と1席分を空けて座れるくらいには余裕があります。出発とともに、各々で作業を開始。終点の企救丘駅に着いたら、折り返して平和通駅で下車するルートです。
(良かった点)
・片道20分なので、メールチェックや資料の確認、Webでのリサーチ、軽い打ち合わせくらいならできそう。
・そもそもモノレールに乗る機会が少ないから新鮮だった。
・つい景色を見てしまう。
・屋外に働く場所を確保したい人にとって、「モノレール」は新鮮。
(要検討)
・小倉駅・企救丘駅間が思ったよりも近い。
・揺れながらの作業で、少し乗り物酔いをしそうになった。
・片道320円・約20分での車内作業は、割高に感じる。
・膝上をデスクにしての作業は、苦ではないが快適でもない。
・社外秘など重要なファイルを見る場合などは、横にいる人の目が気になる。
実証ワーク体験@平和通駅改札口スペース
平和通駅改札口スペースは、「ちょっと作業をする」ことに適したワークプレイスとして候補に上がった場所です。窓側に面した机とカウンターチェア(10席)の近くには、自動販売機やコインロッカー、トイレが完備され、南側の出口を出るとすぐ近くにコンビニもあります。
ここでは約1時間の間、作業に取り組みました。
(良かった点)
・最も集中できた。
・モノレールの通過時に揺れがあるが、あまり気にならない。
・机があるので資料が広げられる。
・飲食ができる。
・座席が外向きなので、後ろを通る人や隣の作業者はほとんど気にならない。
・トイレが近くて便利。
・コンビニが近いので印刷ができる。
(要検討)
・夕方以降は若干寒いので、季節に応じて防寒が必要かもしれない。
・Wi-fiが弱い&電源が欲しい。
実証ワーク体験@本庁舎横リバーサイドベンチ
最後は、本庁舎横リバーサイドベンチへ移動。紫川沿いのベンチがワークプレイスです。春らしい気候に恵まれて心地よい風が吹く中、好きな場所に分かれて約1時間の実証ワークに励みました。
(良かった点)
・川沿いで穏やかな雰囲気が心地良い。
・ベンチを利用している人が多く、憩いの場として使いやすそう。
・若者が多く賑わいがある。
・議事録なしのミーティングなら川辺を歩きながらでもできそう。(運動にもなる)
(要検討)
・日差しで画面が見えづらくなった。
・電源&Wi-fiがないので長時間作業が難しい。
実証ワーク体験を終えて
3カ所でのワーキングを終えた後、井筒屋横にあるスペース「船場広場」に移動して、今日1日の体験をワークプレイスごとに振り返りました。
【モノレール車内】
モノレールでの作業については、満場一致で「時間があっという間すぎて、集中スペースとしては使いづらかった」という意見にまとまりました。企救丘駅での乗り換えが一つの要因だったので、もし乗り換えなしで利用できれば、より集中できるワークスペースになりそうだと感じました。
また、集中できないもうひとつの理由として上がったのが「車内の揺れ」です。株式会社インディスタウン代表の長谷川繁さんは、「景色を見ながらほど良い揺れを感じていたら、心地よくて眠くなった」と話し、モノレール車内を最大限に活用する働き方として新しい提案をしてくれました。
その名も「ねむれーる(仮)」。モノレール車内で仮眠ができるというサービスで、「仮眠中に電車の動力を使って携帯やパソコンの充電ができるようになれば」という意見をいただきました。「仕事道具と一緒に、心身ともに充電できるサービス(例えば、マッサージチェアなど)があればぜひ使いたい」という意見は非常にユニークでした。
【平和通駅改札口スペース】
今回実証した3カ所のワークスペースの中では、最も好感触の意見が出た場所です。駅構内という立地で懸念していたのは、モノレールの通過時の揺れや構内アナウンスの音でした。
しかし、実際に作業をしてみるとほとんど気にせず作業に没頭でき、電話を使っても支障はありませんでした。座って作業できる机があるだけで、作業効率は大幅に高まることが立証できたと思います。
また、ワークスペースが駅構内という好立地である点も、参加者の方々には好評でした。フリーランスの坂田賢治さんは、「アポイントがある時は、早めに最寄駅まで移動してそこで約束の時間まで時間を潰すことが多い」そうで、「各駅にこうしたスペースがあれば移動のギリギリまで作業ができる」と貴重な意見を出してくれました。
たしかに、全国的にも駅を拠点としたワークスペースは多く、需要が高いことも確かです。株式会社ホーホゥの橋口敏一さんからは「各駅にワークスペースがあれば、飲み会のギリギリまで仕事ができる」という意見もいただき、大変参考になりました。
【本庁舎横リバーサイドベンチ】
ここでは、「議事録を取る必要のないミーティングやアイデア出しでの活用が適しているのではないか」という意見が上がりました。川沿いという立地なので電源や机がなく、時間によっては日差しが画面に当たって見えづらくなるので、長いテキストを作成する作業や高い集中力が求められる仕事には不向きだったのです。
しかし、開放感があって気持ちが良いことをポジティブに捉えれば、「のびのびと仕事ができる」「じっと座ってパソコンに向かっているよりも、活発なアイデアや意見が飛び交いそう」だと感じました。
さらに、株式会社ディー・サインの山本さんからは「川辺が偶発的な出会いが生まれる場になると楽しそう」だと意見をいただきました。
人が集う場になれば、「川に行けばあの人に会えるかもしれない」「今日はあの人がいるかな?」と、働く場を変える目的が生まれる。そして場に集まり、直接話すことでまた新しいつながりや仕事が生まれるという化学反応が起こりそうです。
終わりに
今回の実証ワーク体験を通じて感じたのは、いずれの場所においても、
■PCを充電できる電源が必要。
■長く居座って仕事をする場所ではないが、小一時間くらいなら仕事ができそう。
ということでした。
普段はオフィスで仕事をすることが当たり前になっている私も、一歩外に出て仕事をしてみると、リフレッシュやリセットなどさまざまな効果が得られることがわかり、働き方について改めて見つめ直すことができました。
全4回の「まちづくりサロン」を通して、小倉の「まちごとワークプレイス」のヒントとなる、まちなかに眠る新たな魅力や可能性を見つけることができたと感じています。これまでに得た成果をうまく生かして、これからも「2050まちづくりビジョン」について考えを深めていきたいと思います。
ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!