
"仙台鉄道"ってどこにあるっちゃ
UH青葉山から脱出して早3か月が経過した。私は、平地に家がある生活をこれでもかというくらいに謳歌していた。
平日夕刻。私は新居までの家路を地理院地図で辿っていた。
授業は終わっていないが、気持ちだけ帰宅中であった。
地理院地図は良いなぁ。どこへでもゆける。そうどんな世界の果てぇーも~、きままーに旅してまわ―ってー!いきd
ふと目についた線形。このヌルっと曲がっていく感じ…これは…きっと
廃線跡…!
1日目
今昔マップで調べたところ、廃線跡で間違いない。仙台市電や秋保電鉄とは異なる場所にあった。


初めて聞いた名前だ。「仙台鉄道」か…とてもじゃないが仙台の鉄道じゃなさそうな感じはしないな!
いつからか"廃"に憑りつかれていた私。家に帰る前に寄ってくか。
~♪

廃線跡といえばこの超不自然な鋭角交差点!

電線が鉄道の架線みたいになっとる…
住宅街にあるけど、元鉄道敷ゆえに道幅が狭いんで、
電柱を家側に、電線は家にかからないようセンター側に配置しているのかな?

東照宮付近から小松島へ抜けるようだ…。というかどこからどこまでの路線なんだ?
え?通町から西古川?営業区間44キロ?んなばかな。仙台をかたっておきながら大部分仙台市外じゃん!
…まあ、今日は帰って寝るか。そういえば、通りがけの仙台浅草の雰囲気が良かったナ

いや制限10キロて
2日目
通町ってどこそもそも。え、なんで実在した駅なのに位置が正確に割れてないんだよう。
しかしそんなこと言ったっていきなりwikipediaが進化したりするわけはない。
しかし!今昔マップならわかる。たすけてこんじゃくえもん~

つまり?

ココか。ここの空き地か!
ふむ。なにものこっておらぬ。
つはものどもがゆめのあと ってね。
さ、起点から辿るか


仙山線東照宮駅の真下を通る。地下化もしない高架化もしない複線化もしないのに幹線ゆえ何本も電車が往来し、完全に道路交通のボトルネックとなってしまっている仙山線。
しかし、ここには車vs電車の駆け引きなど存在しない。人・車は自由に線路下を行き来し、警報機の音に遅刻宣言されることもなく平和に通過できる。鉄輪の奏でる喧騒だけが、頭上を掠めていくだけである。
仙山線沿線ではなかなかないでしょう。いいものを残してくれたぜ
ま!一方通行(自転車を除く)だけどね!(元鉄道敷ゆえ…)
今日はここらでおいとま。残すは小松島あたりから西古川までの区間かな。
…え?いやなに考えてんの。そんな労力どこにーーーーー
4か月後
ちなみに、仙台鉄道にあった駅は、
通町→北仙台→東照宮→八乙女→七北田→山の寺→陸前大沢→黒川小野→富谷→志戸田→吉岡→大童→大衡→本町→王城寺原→加美一ノ関→西四竈→四竈→鳴瀬川→加美中新田→西古川 です。
大体イメージできますかね。
さ、行きますか。
今昔マップと現在位置を重ねながら行きます。
第一次レガシーラインズ




















なおとしけんに「ド田舎」を供給する画像。
この後、廃線跡の線形は田圃の区画整理により消滅し、さらに今昔マップも見切れてしまった。
第二次レガシーラインズ
しかし、吉岡(大和町中心部)の近くで線形が復活するので、地理院地図を頼りにしばらく進んだ。Let's go!


線形がきれいに残りすぎている。こんなことあるのか。とにかく行ってみようか…

なおとしけんにド田舎を(以下略)
…なんと。整備されているではないか!やったね自転車で来て正解~。


なおとしけんに(以下略)

なおとし(以下略)
さて長大な線形現存区間をようやく過ぎると、次のそれは加美町中心部。国道の一本西側に残っていました。

この線形。このカーブ!鉄道のソレだ!!
この旅路もそろそろ畢竟、鳴瀬川を越えたら西古川まで直行だ!
西古川駅到着後

ようやく西古川駅前に到着。廃線跡全区間攻略!今思えば、地理的には松島経由で北上する東北本線と、相対する配線でしたね。

ん~今の時間は?午前9時21分40秒。ふぅ。間に合った。
いい運動だった。朝活で40キロってなかなかないよね。いや~、健康健康。
ついでに、はじめての陸羽東線。やった!
…どこ行くのかって?…これから、川渡に実習へ行ってきます。10時集合なんで急ぎます。それでは。
おまけ(としけん的にはメインかもしれない)

実習が終わり、西古川駅で自転車を回収。そのまま古川まで走らせた。
余力があったので、古川の街並みを見て回ってきました。
国道沿いはがっつりロードサイドが広がっていた。まあ地方都市には当たり前の光景である。ただ、市街地外縁で住宅街とロードサイド街が折り合い、空間を広々と使っている様は独特だなぁと感じた。
とりあえず、中心部に向かいますか。

なんだか、えらく整備されてますな…。城下町時代の街並みを再現したんだろうか。
ここら一帯は非常にきれいに再開発されており、視界に入るものは概ね綺麗な白黒+茶で調和していた。和風!

まったく、おしゃれな市民空間ですこと…。

市役所の、うしろ…

たった今、道の駅は市街地に存在しないという固定観念が砕かれた。
まちなか道の駅確認!ヨシ!
ここから駅前通りへ。

駅前通りには商店が軒を連ねる。しかも、駅に近いほど活況を呈していく。
商店街にはいくつか分岐ができており、古川の経済力を惜しみなく物語っているようである。
しかし、車社会に馴染んでいるところをみると、競合他"車"との闘いはいささか厳しいのではないだろうか。もちろん、対策を講じていないわけではなく、商店街の中に広く場所をとった平面駐車場がそれだろうと思われる。

思うんですよね。ふつう、網羅的に展開しない場合、市街地の鉄路って直角にクロスしないじゃないですか。なんで古川は駅の形が十字キーみたいになっとるんやとか思ったことありませんか?
ま、まあ確かに…秋葉原もそうかもしれない。
平面で展開され、互換性のある在来線どうしについては、電車の本数が少ない以上、直角の交差は必要ない(例:小牛田駅)。通常、主要な在来線に沿う新幹線も、自然にそんなことにならない。
ちなみに、仙台市電は北仙台へ延伸のため、仙台鉄道と交差する見積もりだったが、それは叶わず、仙台鉄道の起点が移設される結果になった。
話を戻して、
在来線に沿わなかった新幹線。
新花巻駅や新高岡駅といった新幹線のルート重視の「新」駅とは明らかに事情が違う。これらと異なり、中心市街地に狙って作られた駅であることは明白である。
すなわち、問題は在来線にある。つまり
…古川までだいぶ遠回りしている在来線。
まあ地図を見れば、古川が東北本線から敬遠されていることなんてすぐわかりますが。しっかし、こんなに立派な街なのに、なぜ?
場所は変わりますが、地図をみたことある人は気付いているかもしれません。
仙台駅より北側って、時空歪んでますよね。

北に行くはずの東北本線の次の駅は「東仙台」。西の山形に向かう仙山線に「北仙台」。東北本線は最初から東に延びている仙石線と重複して塩竈、松島へと進む。あれれー。おっかしいぞー?
時空が、時計回りに90°歪んでいる!
…仙台って、鉄路の南北東西軸の完成が、地下鉄ありきなんですよね。
至極単純な「南北の東北線」「西の仙山線」「東の仙石線」であればとっくのとうにできていたはずなのに。
仙台駅から東に逃げたため、東北本線が担う南北軸さえ東にずれてしまい、古川に直行できなかったと言えますね。丘陵地帯があったので仕方ないと言えばそうですが…。
…そろそろ忘れたころでしょうか?その南北軸を補完していたのが、仙台鉄道だったというわけですよ。わお。
東北本線は本来の南北軸を妥協した結果、古川さえも繋ぐことができなかった。そして、東西に延びる陸羽東線が在来線として単独で乗り入れた結果、
新幹線で繋ぐ「重要都市間」の軸は、依然変わりなく南北方向であるべきで、在来線と垂直に交わった、ということですね。
めでたしめでたし…、
…とは言えませんね。在来線で仙台から古川に行くのに乗り換えなければいけませんから。
…それでは、仙台に帰りますか。もう斜陽さえ消息を絶ちそう。

さて、仙台鉄道+古川をめぐる旅はこれでおしまい。丸亀行って家帰って寝よう。
そして石川は、2時間かけて自転車で帰仙するのであったーーー
おしまい。
文責:石川