読書感想文#2 52ヘルツのクジラたち 著者:町田そのこ
2021年の本屋大賞受賞作である「52ヘルツのクジラたち」を読んだ。
感想
「人は、誰もが52ヘルツのクジラなのではないかと感じた。」
親から、人間としての扱いを受けてこなかった主人公の女性と、親から虐待を受けている少年、主人公を闇から救い出した恩人
彼女たちのように、辛く苦しい人生の大部分(一生の場合もある)を、誰かに聞いて欲しいと願って、誰にも届かない声を空しく張り上げながら生きている、というほどのスケールではないかもしれないが、人間はみんな、それぞれの悩みを持って、誰にも届かない声で鳴きながら、誰かに気が付いてくれることは期待しながら、生きているのではないかと思う。
でも、必死に鳴いていることに、自分自身も気が付いていないことが多いのではないかと思う。「52ヘルツのクジラたち」は、自分自身を見つめなおさせてくれる本であった。
僕自身も、孤独を感じることがあるし、そんな時は誰かに気がついて欲しいと願ってしまう。
でも、その気持ちをどういうわけか押し殺そうとしてしまうし、自分は一人ではないと強がってしまうのである。
内面では叫んでいるのに、外面では気丈に振舞って、誰にも自分の孤独を悟られないようにしてしまう。
本当は気が付いて欲しいのに...
この瞬間、僕は52ヘルツのクジラになっている。
そして、運よく手を差し伸べてくれる人がいることを願って、孤独を耐え忍んでいる。
僕の場合は、こんな感じであるが、誰にでもこういう瞬間はあるんじゃないかと思う。
今後は、もしも52ヘルツのクジラの存在に気が付いた時には、主人公の女性がそうしたように、主人公の恩人がそうしたように、手を差し伸べたいと思った。