読書感想文#1 「正欲」 著者:浅井リョウ
今後、読了した書籍に関する感想を、雑に投稿していこうと思う。
第1回目の投稿として、「正欲」(2021年 朝井リョウ著)の読書感想文を書く。
正直、表紙かっこよすぎたことも購入した要素に入る。
「正欲」の大きなテーマである、”多様性”(ダイバーシティ)は、一般的にはいい言葉のように捉えられている。
LGBTQ、人種、障がいをもった人などへの関心が高まり、そうした人々が生きやすい世の中を創っていこうという取り組みが拡大してきている。
しかし、上記で述べたような人々は社会全般的にはマイノリティであるといえ、マイノリティの代表格として取り上げられているのである。マイノリティの中でもマイノリティの人々は、現在社会における”多様性”の、光の届かない深海の中に生きているのである。
「正欲」は、そのようなマイノリティの中のマイノリティの人々に焦点を当てている。
僕は、本著を読む中で、マイノリティの中にも、マジョリティとマイノリティがあることを気付かされた。
同時に、安易に”多様性”という言葉を使うことができなくなった。というか、言葉選びに対しても、慎重に選ぶ必要があると感じた(ただでさえ話すことが苦手なのに更に苦手になりそう)。
一時的に影響を受ける小説はあっても、自分の思考にカタストロフィをもたらし、永続的に価値観を変えてくれるような小説には出会えてこなかったが、「正欲」は、自分の価値観を割と根本的に揺るがしてくれた小説なような気がする。