自分よりひとまわり若い世代:skaai
気付けば34歳で、
その年齢を正しく認識していたいなと思ってる。
例えば自分がハタチの頃ってある程度情熱と目標(もちろんわからない事だらけなんだけど"この矛盾に挑む"程度の抽象度)を持って生きていた記憶がある。
ハタチの人達はもう同年代じゃない。ひとまわり前の世代をしっかり知って具体的な敬意を持って生きていきたいと思ってる。
急に俗っぽい話になるけど、
AbemaTVでラップスタア誕生っていう番組があって、
3年前くらいからの企画みたいなんだけど今年初めて見てやたらとハマった。
前に流行ったフリースタイルバトルではなくて、
楽曲・パフォーマンスを競うコンテストで、
基本的に20代前半までの人達が応募者。つまり自分よりひとまわり若い人達。
社会がラッパーにどんなイメージを持たれてるかわかんないけど
「自分のルーツを背負って仲間達と成り上がる」というのが結果的に多い。
めちゃくちゃ悪だったり、暗い過去があった方がインパクトがあって取っ掛かりになって成立し易いように見える。(過酷な過去や環境に負けずに表現の道に進む事は素晴らしい事だし、結局表現のクオリティで評価される訳だから凄い世界だと思ってる。チープなラッパー像がメディアで出来上がってるような気がして個人的に残念な気持ちになったりする。…脱線)
で、ラップスタア誕生という番組では悪そうな人が結構多い。笑 全然それ自体悪い事じゃないんだけど、
田舎のヤンキーみたいに「俺はセンコーの言いなりにならない」と言いながら独自性の無い"漫画のキャラみたいなヤンキーになって終わり"となるとなんとも言えない気持ちになる。…これも脱線。
番組の中で凄く引き寄せられたラッパーがいた。
skaaiという有名大学の修士課程の23歳、このまま教授を目指す方針で 音楽は好きだけど1年前くらいから自らラップもやってみたと。
彼はラッパー仲間も地元にいない。
というかアメリカ産まれで韓国やら色々転々とした生い立ちで地元自体がまず無い。そのなかで音楽に居場所を見出してる。
そしてストリート感が強いヒップホップ、ストリートからの成り上がり(ラップスター)にはどうも「俺にはコレしか無え!」が着いてくるが、
立派な大学での研究者の安定ルートは芽が出そうなので ラッパーに賭ける客観的必要性は無い。
これらは先述の旧来的なラッパー像の真逆。
地元×仲間×弱者=最強燃料を備えたラッパー という方程式の真逆。
どこをレペゼンするの?
クルーはいないの?
片手間でやってんの?
一見物語として物足りないが、旧来的ラッパー像に見飽きた(リアルを疑う)感が否めないなかで非常に刺激的で等身大だと思った。
うまけりゃ良いって話じゃ済まないアーティストの世界のなかで(彼は上手いと評されて勝ち上がる)
彼は彼の物語を魅せてくれた。
地元が無い事はヒップホップのなかでの劣等感や暗い過去に見えたし、
1つしか選択肢を持たずに「ラップに賭けてる」と言われるよりも「研究を頑張ってるんだけどラップの想いが大きくなって止まらない」と言う方がリアルだと感じた。
結果、準決勝では制作途中で音楽制作に心が大きく動いて泣いてしまう。これこそリアルだろ。現代の日本のストリートだろ。めちゃくちゃ共感したし尊敬した。
生き様を「規定ルート」(="大学教授としての安定ルート"&"地元仲間達と成り上がる的なラッパー")から脱する姿はリアル。
"ストリートの定義"をしようとしている気がする。つまり昔のラッパーが切り拓いてきた事をなぞらずに自分を表現しようとしている気がする。
別の業界でも有る。私が個人でやったリノベも、イメージが出来上がり切ってて既定路線過ぎてサムイ。そういうのを崩さないといけない気にさせられるもの。
あと、ラップや歌は身体性の強い創作だと思うけど、
頭でっかちにならずに身体をついていかせている事に人間的な素晴らしさを感じる。
賢いだけ、理にかなってるからといってそいつが正しいとは限らない。幸福かはもっとわからない。
頭と体を使って自分なりの悦びを見出そうとしている気がする。
出来上がった楽曲としてはネームドロップ多めで、しかも誰でも知ってるような大御所だったりするから見え方的には少し物足りなく感じたんだが、
後から掘ってくと、skaaiはYouTubeで大御所達を結構なガチ解説をしててネームドロップ一個一個 もっと重たい意味だったんだろうなと思う…そこは表現の難しさ、他人との感性の距離感による難しさだと思う。
とにかく物語と作品で非常に感動させてもらいました。
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んーで、
結局優勝したのは、ここまで悪い風に表現してきた"地元の仲間と地元をアゲル・俺は俺のスタイルで"って人なんだけど、
それはめっちゃ等身大だったしクオリティが高かった。
優勝者含め、そういう自分よりひとわまり若いアーティスト達の生き様を見れてとても感動した。
感覚が違う人、見える社会が多分違う人達、そこに素直に敬意を表して、私は私を肯定して
自分より上の世代・下の世代に対して等身大に表現していきたい。