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イワナの氷上釣り (Brook Trout Ice Fishing)

釣りを始めてかれこれ34年ぐらい経ったと思います。最初は小学生の頃にクラスメートに教えてもらって、川でミミズを針に刺してハゼを釣ったのが初めての自力で釣った魚でした。それ以来、色々な魚と出会ってきたけれど、僕の人生で出会った一番の美しい魚はこの氷上にテントを建てて、氷に穴を開けて釣るBrook TroutというChar(イワナ属)の魚だと僕は思います。

この美しい斑点は釣りたての生きている状態でしか見れない。弱っていくにつれて褐色化していく。

アメリカ北西部に位置するワシントン州の冬はとにかく天気が悪い。一日おきに雨が降ると言っても過言ではないほど雨が降る。むしろ晴れているのは夏の間だけ、このIce Fishingと出会う前は冬はほとんど釣りに出かけなかった。雨と風で釣りにはならないからだ。しかし、数年前に僕の釣りの師匠がワシントン州でも氷上釣りが出来るということを見つけてきてくれた。それ以来、夏の終わり頃になると早く東の山の頂上にあるDog Lakeが凍るのがとにかく待ち遠しくなってしまう。11月の半ばを過ぎるとFacebookのIce Fishing グループの投稿をよくチェックするようになって、凍って問題なく湖上の氷の上を歩ける厚さの4インチが張ったと情報を得たら、もう居ても立ってもいられなくなる。あらかじめ用意しておいた道具を再確認して行けそうな仲間に連絡。日程を決めたらホテルを予約して、あとは車に大量の釣り道具とホテルでの宴会の用意満載の車を発車させるのだ!!

Ice Fishing の道具

Ice Auger  これはバッテリーモーターやガソリンエンジン搭載の氷に釣るための穴を開ける機械。手動もあるが電動が圧倒的に便利で速い。

これは電動ドリルを取り付けるタイプ。馬力は弱いが軽くて持ち運びは便利。


こちらはプロ仕様の本格的なアイスアガーとにかく馬力がある。エクステンションをつければ、穴はいくらでも深く掘れる。
バッテリーは寒さには弱いので前日にホテル内で保管。とは言えバッテリーぎれになる程の数の穴は開けないのだ。

テント キャンプで使うテントとは違い強風にも耐えることが出来て、床の部分は無い。そこに穴を開けて釣るため。無くても出来なくはないが無いととにかく寒い。長時間、凍った湖上で釣るためには必要と言える。

ソリ これも無くても出来なくはないが、大量の道具を持って湖上を進む際にはやはりあったほうが無難。実はソリがあっても、重いと感じるのだ。手で全てを抱えて運ぶと思わぬ穴に足を取られた時なのは全て落ちてしまう。

竿とリール 釣りですから、何が無くてもこの二つがなければ始まらない。
竿はIce Fishing用の30cmぐらいの短い竿とリールは1000番以下の小さなスピニングリール

ジグ アイスフィッシング用のジグ重さや色で数種類用意しておくと良い

餌 ミミズを使う。1匹では長いのでそれを1、2cmぐらいに切って針にに引っかける。

服装 湖の水が1m以上に凍る中での釣りなので、防寒対策は重要です。厚手の靴下、スノーブーツ、スノーシュー、タイツ、厚手のズボン、スキーウェア上下。セーター(フリース)、ヒートテックのタイツに長T、毛糸の帽子、ネックワーマーフェイスマスクは必需品。そのほかにもホッカイロなどがあると便利。とにかく寒いだって外はマイナス10℃以下ですからね。

ヒーター テント内は人が2、3人程度入って釣りをしますが、それでも結構寒いんですよね。なので、室内でも使えるポータブルヒーターの有無は大きい。有れば、寒さはかなり防げるしとにかく快適に過ごせる。

魚群探知機 湖底までの水深と魚がどの層にいるかを知らないと全く釣れないのでこれは無くてはならない物の一つ

左が魚群探知機 右がストーブ

椅子 キャンプ用の小型の椅子が便利

バケツ 折りたたみのバケツを一つ用意しておきましょう。そして、水を汲むための小さなカップが有ればさらに便利。釣った魚をそこに入れて血抜きをしたりします。直接氷の上に置くと跳ねて、穴に落ちて逃げてしまったり、凍ってしまいます。

スキマー アガーで穴を開けた後に氷の穴には氷の破片や雪がたくさん浮いているのでとにかくそれらを取り除かないとジグは水に落ちていかないので、これは絶対に忘れてはならない道具と言える。

小型のコンロとヤカン これはあっても無くても良いのですが、お昼ご飯にカップ麺を食べたり、お茶やコーヒーを入れたりと便利です。水筒に熱湯を入れて持って行っても氷の上ではそのお湯も冷めてしまって緩くなります。

雑巾 魚を触ったり、手を洗った後に手が濡れているととても冷たく感じます。もちろん熱も奪われますから、あった方が絶対に良いです。

道具はまだまだ色々と有れば便利だがとりあえず必要な物を乗せておいた。これだけ有ればとりあえず大丈夫というアイテムです。

場所と日程のプラン

シアトル周辺に住んでいるのならば、一泊二日の日程は最低でも必要と思います。日帰りも出来なくもないが、疲れて雪道の運転はとても危険⚠️。

これは僕の行く時のプラン例です。
初日(移動日)
家を昼ごろに出発、片道3時間ほどなのでシアトルやベルビューの渋滞の時間に巻き込まれないように出発時間は気を付け、宿泊はPackwood市のホテルを予約しておく事。ほとんどの場合は予約したホテルにチェックインする前にこの村のブルワリーのPackwood Brewing Co. で生ビールをグラウラーに入れてもらって、ホテルで自炊の形が多い。勿論、Packwoodにもレストランはあるが、田舎の小さな街なので、ほとんどの店は早めに閉まってしまうし、味も期待は出来ないと思う。

いつも、ホテルにチェックインの前にここで生ビールを調達。
このグラウラーに入れてもらう
グラウラーが無くても缶に入れても販売してくれるし、店内でも飲酒は可能でも、飲酒運転はしたく無いので、いつも持ち帰ります。色々な種類があるので、買う前にテイスティングも可能
ホテルでは自炊することがほとんど。鍋料理や自家製レトルトパックなんかが多いです。
この日は鶏団子とタラバガニの鍋。妻と一緒でしたから奮発しました。
ベルビュー、シアトルエリヤからならば休憩入れながら3時間弱

宴会

 チェックインを済ませたら、ほとんどの場合は釣り仲間とは一度、別部屋に分かれて休憩。家族に電話したりシャワーを浴びたり、次の日の用意をしたりと2時間ほど休憩します。その後は再度集まっての宴会となります。最近は自家製のレトルトパックを作ることが多いので、牛丼、カレーやシチュー、パスタなどにスープとサラダをつけます。あとは各自が好きなおつまみなどを持ち込んで、先ほど買った生ビールを飲みながら、釣りの話で大盛り上がりというのが殆どのケースです。

釣り当日と氷上でのセットアップ(二日目)

次の日は大体、朝5時に起床して5:45ぐらいには出発。目的地のDog LakeまではPackwoodから30分ほどです。湖には日の出の30分前に着くようにします。現地に着くとまずは寒く無いようにきっちりと防寒用に着込むんですが、数枚は荷物と一緒に持ち運んだ方が良いです。とにかく氷の上の深雪を歩くのはかなりの重労働で汗をかくので着すぎていると全てが汗で濡れてしまいます。その年に何回か通ってポイントと思える場所の目星はつけてありますが、殆どの場合は歩き回って、穴を開けて魚探で水深を図り12ftから16ftぐらいの水深の場所を見つけたら、上にテントを張り釣りのセティングをします。テント張りと穴あけ、セティングはこれまた一苦労の重労働。殆どの場合は車を降りてから釣りを始めるまでに1時間半はかかってしまいます。そのぐらいの時間は見ておいた方が良いです。

この大荷物を引きずってポイントまで移動。
穴を開けて魚探を突っ込み深さを計る
氷の穴
セットが終わってしまえばあとはのんびり

釣り開始

椅子も穴も、ヒーター、魚探と色々とセットが終わって釣り始めてしまえばこんな優雅で楽しい釣りはほかには無いんでは無いかといつも思います。ヒーターの熱でテント内はポカポカ。水筒に詰めてきた暖かいお茶などを飲みながら、アタリが来るのをじっくり待つのです。釣り方はリールから出ている糸にフロロカーボン6lbのリーダーを6ftほど直結して、その先にジグを連結。餌にはミミズを切ってつけるだけと物凄いシンプル。それをまずは湖底まで下ろし、1ftほど巻き上げて底で魚の当たりを待ちます。とにかく繊細なアタリです。逃さないように注意しながら合わせを行いましょう。釣れる時は一人30匹(二人で60匹)とかも過去に何回もあるので、とにかく手返しよくというのが大切です。釣れてる時に写真撮影などをしているとフィーバータイムはあっという間に終わってしまうので注意です。今までの経験からすると早朝から始めて8時から12時ぐらいまでが良く釣れる。お昼を過ぎてよく釣れたというのは1回のみ。粘ってもいいが、必ず日没までには車に戻ることをお勧めします。暗くなると山の中で真っ暗ですから方向感覚が失われることは間違い無いです。殆どの場合はこの二日目の2時ぐらいに撤収して、3時ぐらいに運転を開始。6時ぐらいには帰宅というプランですが、せっかく遠くに行くのだからともう一日泊って、釣る場合も過去に数回ありました。

釣れない時はコーヒーブレイク

最後に

この釣りは冬の間に平地で雨が降って釣りに行けない時でも、山間部は雪で極寒ですから逆にピークを迎えます。その点から見てもワシントン州では冬にピークを迎える最高のイベントと言えます。ただ、とても危険が伴う釣りでもあります。特に水に落ちるとなかなか這い上がることが大変です。そして、週末であっても湖上には数える程、平日ならば自分のみということもよくあるので誰にも助けてもらえない場合が多いと思います。しかも、目の前の道路からはレイクはそんなに見通しよくはないし、音も雪に吸収されて遠くには届かないです。つまり、必ず二人以上で行くことをお勧めします。そして、湖上を歩く場合は最初に歩いた人の踏んだ場所を必ず踏んで進むこと。あと後方を歩く人は前方の歩く人から少し離れた距離を保ってください。もしどちらかが落ちても一緒に落ちることの無いようにするためです。穴はどこに開いているかわからないというのが現実です。殆どの場合は一晩で凍ってしまうので前日に大きな穴を開けて釣った人がいたとしてもそこに落ちることはほぼ無いとはお思いますし、そんな大きな穴を開けて釣る人は滅多にはいないんですが絶対はないのです。なので、命に関わる釣りですから、本当に気をつけて安全対策は必ずして出かけてください。そうすればとても楽しい釣りとなることは間違いないです。


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