これからどうなる!?廃校最前線!!
廃校の実態
自治体の公共不動産の中でも、約50%を近くの面積割合を占める学校。この学校が年間400校近く廃校になるフェーズに入ってきています。
令和3年5月1日時点で、平成14年度から令和2年度にかけて発生した廃校で、施設が現存している7,398校のうち、5,481校(74.1%)が社会教育施設や社会体育施設などの公共施設のほか、体験交流施設や福祉施設など様々な用途で活用されているとのこと。
また、近年では地方公共団体と民間事業者が連携し、創業支援のためのオフィスや地元特産品の加工会社の工場として廃校施設が活用されるなど、地域資源を活かし、地域経済の活性化につながるような活用も増えてきています。このあたり、何をもって活用といっているのか、実態も調べてみたいところです。
この数字は今後も右肩上がりに増えていくことが想定されます。廃校の相談もまとめて5校廃校なる、3校まとめて廃校が増えています。中山間地域の廃校は一段落した感があり、今後は中心部の昭和から平成にできた住宅街周辺の廃校など、市街地の廃校が増加していく傾向になっていくと思います。
10月に開催された九州廃校学会inえびのに集まったメンバーの方々とこれからの廃校活用についての体系化や民間事業者視点での廃校ってどうあるべきか?などの議論を交わしているところです。
廃校を買い取り、リノベーションして、カフェ事業とスモールビジネスワーキングスペースとして活用している稀有な事例、MUKASA HUBの村岡社長もメンバーとして、ディスカッションを進めています。
廃校を活用する立場の事業者目線で、今後の廃校活用の在り方についての体系化を進めていこうと思います。
九州廃校学会についてはこちら。
現実は、塩漬けにされる廃校も多い
廃校になるプロセスとして、やはり地域住民の意見が二分されたり、行政主導で進められることも多く、遺恨が残るケースも少なくありません。行政もその廃校にするまでのプロセスでかなりの労力を使い、その後どうするかを議論をあまり踏み込めず、財産処分の段階で、管理する所管が教育委員会から、財政課、管財課など変わってしまい、そのまま塩漬けというケースが多いのが実態ではないかと思います。
宮崎県えびの市での農業インターンとしての廃校活用
先日、九州廃校学会をきっかけに出会った友人であり、株式会社TERAの池内が運営している宮崎県えびの市では、農業(特に高付加価値なキャベツなどの高原野菜)が中心であるエリアにあるおべの分校を活用して、ゼロ高等学院の生徒たちが集まり、農業インターンとしての場として、高校生や大学生を集めた活用を進めていました。
繁忙期の農家さんと連携し、ワーキングホリデーに近い形で、㈱TERAの池内くんが、インターンプログラムを企画コーディネートし、農家さんの実際の作業をがっつりしながら、廃校で美味しいものを食べ、仲間と1週間、2週間過ごすというとても貴重な体験価値を生み出しています。農家さんにとっても常時雇用の形態ではなく、繁忙期の貴重なリソースとしても重宝されるという3方良しの仕組み。
地方から都市部まで、まんべんなく供給制約が当たり前のように発生していくことを考えると、地域産業と連携した活用など、地域の実情に合わせて柔軟な使い方や小さくても意義のある取り組みを各地に増やしていきたいところです。
廃校の終わらせ方、使い方を体系化していきたい
自治体からも、廃校活用については、色々と相談をいただくことが多いですが、実際どのようなプロセスで住民や事業者と話をして活用していくのかが、あまり体系化されておらず、アリバイ作りの検討委員会など、暗中模索となるケースも多く感じます。
良い事例は取り上げられることがありますが、あまりよくない事例は表に出てこない、オーソライズされていない側面もあるように感じます。また、地域においても廃校となった場をどのように閉じるのか、また活用できるのかについての認識も深まっていない側面もあります。このあたりについて、現在、宮崎大学を中心に取り組んでいる九州廃校学会においても、体系化できるような取り組みを今後進めていきたいと思います。
※マガジンの方でも、廃校最前線!マガジンの方でも定期的に記事をアップしていきたいと思います。