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香港のテーラーで、失敗しないオーダースーツ。【生地の種類と良い生地の見分け方】

FIVEONE香港店に、イギリスのハダースフィールドより、新しい生地バンチが届きました。それを見て、すごく良い生地が意外と安い、ふと考えた時に、何故オーダースーツの高級ブランド生地を選ぶと高いのか?、高ければよい生地なのか?、という認識は間違っているのかという事も含めて、失敗しないオーダースーツの生地選びについて、作り手としての知識も交えてご説明できればと思います。

まず最初に、生地が高いと本当に良いのかですが、簡単です。生地ブランドには、ミル(工場をもつ生地製造メーカー)と、マーチャント(工場を持たないファブレス生地メーカー)があります。どちらが安くて良い生地を販売できるかですが、コスパについて順位を付けるなら、ミルであるイタリア最大級のCANONICOが№1だとすれば、№2はTALLIA DI DELFINO、№3はDRAGOという順番だと思います。※10年間毎年2回イタリアに出張、その際にミルに出向き工場見学を重ねて熟考して決めました。誤解を招くといけないので、マーチャントには新しい素材を活かす先端素材や、デザイン性の高さがあり、世界の名立たる名門ブランドの御用達となっているのはマーチャントが多いことからも言えます。但し、コスパという点だけで見れば、ミルが有利であることは、周知の事実ではないでしょうか。

本題ですが、TOP写真は、私が長年にわたり最高の生地と位置付けているチョークストライプとペンシルストライプの生地をご紹介致します。先に言っておきますが、何故そのチョイスという事ですが、実は、私がこの仕事についた時に、出会ったお洒落で仕事のできる経営者の方々が、ストライプのジャケットを堂々と着用されいる姿を見て、第一印象で純粋にカッコいいなと思っていたからです。派手で主張が強いストライプを敬遠する方も多いと思いますが、それは自信の無さの裏返しとも言えます!!!。ネイビーベースにペンシルストライプ、そして少し起毛したフランネル(イギリスのフランネルが丈夫です。イタリアのフラノは軽量な分弱いです。)なら派手過ぎず主張しすぎなくて、第一印象でインパクトを与えることが出来ると思ます。大事な場面で着用するジャケットに最適です。

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大柄のグレンチェックといえば、レオナルドディカプリオが映画で着用していたシーンを思い描く方も多いのではないですか、まさしくダンディーな装いにピッタリですので、船上パーティー、オペラ鑑賞、カジノといった場面で着用して頂くと引き立ちます。控えめなネイビーベースもしくは、細かいグレンチェックなら一味違う出来るイメージのビジネスマンを演出することが出来るでしょう。注意点としては、生地のウェイトでグレンチェックの表情が大きく変わります。ヘビーウェイト(320g-360g)は着用する機会が難しいでしょう。お奨めはミディアムウェイト(260g-300g)であればオールシーズン来て頂けて適度な重厚感もあります。これぐらい主張する柄のライトウェイト(230g)は少し物足りなくなるかもしれません。

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クラシックスーツの王道を行くならヘリンボーン柄ですが、注意すべきはこの柄を選ぶなら主張しすぎないのが大事、ジャケットは控えめなクラシックなヘリンボーン柄で、合わせるシャツやスカーフで思いっきり差し色で遊ぶのが粋です。10年に一度流行りがやってくるというのも、王道ならではですので、綾織(ツイル)の260g-320gぐらいのミディアムウェイト以上を選択するのがよいでしょう。一生モノのジャケットを選ぶならこちらがおすすめです。

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無地の生地にも様々な表情があります。右:ツイルのクリアカット、中:サキソニー、左:起毛させたフランネル(フラノ)、左に行くほど生地の表情が冬っぽくなります。すべてウェイトは300g以上ですので冬物ですから、あとは加工の表情で見た目が変わります。未知数ですが空気を持たせるフランネルは確かに暖かいと感じる事がありますが、北イタリア出張で冬の1月に、フランネルスーツとカシミアコート(裏毛皮)で完璧な防寒対策でしたが凍え死にそうになった経験があります。それ以来、真冬の国に行く際は、カシミアコートとダウンのアウターを忘れないようにしてます。少し内容が脱線しましたが、無地の生地選びには、秋冬物は綾織(ツイル)、春夏物は平織(トロピカル)のどちらかから選び、生地の表情は、クリアカット(光沢のある仕上げ)、フランネル(起毛)のどちらにするかは、着ていく場所を考えて、北の方に行く機会があるなら是非、フランネルに挑戦して頂きたいと思います。

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生地バンチではなかなか分かりにくいので、ジャケットの仕上がりサンプルを参考に、ジャケットの生地の仕上がったらどのような表情になるかを、想像してみて下さい。最後に、大事な釦選びについて、生地の色柄がシンプルな場合は、少しメリハリを利かせてメタル釦や、マーブル色の水牛釦を選んでみてはいかがでしょうか、生地の色柄が派手な場合は、反対にシンプルな釦を選ぶことをお奨めします。センスの良さは、色使いは2色というのが原則です。そこに差し色を入れるのは、全体のコーディネート、オーダースーツの生地選びの参考になりましたでしょうか。最後まで読んで頂き有難う御座いました。

写真に使用している生地バンチは、GROVESS&LINDLEY社のNEWバンチ、YORK&WESTMINSTERからです。サビルロウのテーラーが長年使用しているクラシックなコレクションが特徴です。残念ながら、現在こちらの取り扱いは、FIVEONE香港店のみとなります。

FIVEONE/ファイブワン オーダースーツのファクトリーブランド

http://www.fiveone-m.com/

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