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紙vsプラスチックの不都合な真実
先週末の6月5日は「環境の日」でした。
1972年6月5日に開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたもので、6月は環境月間(あるいは環境週間)として、環境庁などを中心に様々な行事が行われています。
Twitterでも環境の日を記念したイベントを開催したり、
(https://blog.twitter.com/ja_jp/topics/events/2021/world_environmental_day.html)、様々なところで環境を意識した取組がされているようです。
国連では2021-30年を「環境生態系回復期間」(ECOSYSTEM RESTORATION)と定め、これ以上の環境破壊を止め、生態系を再生させていこうというスローガンを掲げています。
今年はパキスタンがホスト国となり、関連した各種行事を開催する予定となっています。
さて、当社は紙加工の会社で、再三ブログ、その他サイトでも脱プラスチックをテーマに掲げて、様々な商材を提案、紹介をしてまいりました。
環境の日を迎えるという良い機会ですので、当社が掲げる脱プラ(プラスチック→紙)は環境に本当に良いのか?というところを調べてみました。
すると直感的に紙は環境に優しいだろうというイメージでは括れない、不都合な真実が浮かび上がってきました。
そもそもプラスチック環境問題とは
プラスチック環境問題、これは分解されないプラスチックが環境に負荷を与え、生態系に様々な悪影響を及ぼすというものです。
特に海洋プラスチック問題が取りざたされることが多いですが、2050年には魚よりも重い量のプラスチックが海に溜まってしまうと懸念されているようです。
プラスチックは分解されないので海の動物が飲み込むことで窒息する、且つ有毒物質を吸着しやすいため、魚などはもちろんそれを食べる人間にも間接的に蓄積していくことが考えられます。
どう解決する?
プラスチックは分解されない性質ですし、一度マイクロプラスチックが海洋に流れてしまうと回収することはほとんどできません。となると排出量をそもそも減らすことが必要になってきます。
このような理由からプラスチック製品を紙や他の代替素材に置き換えようという動きがでてきているわけですね。
紙にすれば万事解決ではない
紙は無機質なプラスチックと比較すると何となく自然を感じるものですが、それは自然を破壊して作っているからという皮肉でもあります。
紙の原料は木材であり、紙を作るために過去30年で200万ヘクタールの森林が伐採されています。また、エネルギーや水も大量に使うため、データではプラスチック袋と比較して紙袋は4倍エネルギーを使うと言われています。
つまり何でもかんでも紙に置き換えればよいというものではなく、物や使い方に応じて考えたほうが結果的に環境に優しいということが言えるのです。
紙の優れている点
紙はリサイクル率が比較的高く、プラは約9%である一方で、紙は58%(日本は80%)であり、リサイクルをしていくことでかなり環境負荷を低減することができます。プラスチックはリサイクルすると品質が劣化していくこともあって、なかなかリサイクルが進まないのが現状です。
あれ?日本はリサイクル先進国じゃなかった?
日本はかなり昔からプラスチックの分別回収を行っており、世界でもトップクラスの基準を取っています。また、プラスチックのリサイクル率は84%と発表しており、これらだけみると非常に優秀な対策を取っていると勘違いしてしまいます。
しかしこの84%という数字にはからくりがあって、ほとんどはプラスチックを燃やしてエネルギーに変えることをリサイクル(サーマルリサイクル)と呼んでいるだけなのです。世界標準ではモノに生まれ変わるタイプのケミカルリサイクルが主流です。
大事なのは持続可能性
さて、紙もプラスチックもどちらもかなりのエネルギー、資源を使うことが分かりました。環境に一番優しいのは結局リデュース(ゴミ削減)なのですが、経済合理性など環境問題には複雑な要因が絡みます。紙は森を伐採するとはいえ、紙用木材は付加価値が高いので、天然林が無くなったら別の土地に転換するのではなく、再度植林して人工林として再生する誘因になりえるといった良い側面もあるのです。
つまり一番大事なことは持続可能性ということになるのですが、先日の記事でもご紹介したFSC認証はこういった持続可能性を意識した森や製品に与えられるものなので、とても意義のある認証ということが分かりますね。
まとめ
環境問題はいろいろなモノやコトが複雑に絡み合って生じているものです。だから単純に解決する問題ではなく、脱プラにしてもプラスチック→紙で万事解決にはなり得ません。 ただ持続可能性という観点で見れば、紙がプラスチックに比べて優れていることは間違いないので、代替で満足するのではなく、それを更に一歩進めていくことが大事ですね。
当社でもそういった観点での商材やサービス展開を、明日からの環境月間にて改めて考えていきたいと思います。
それでは!