百聞は一見に如かずは人生における最重要テーマ Part.1 学歴と環境格差
あなたは"炎上"という言葉をご存知ですか?
マスコミの報道や週刊誌あるいはSNS(social network service)内での過激な投稿などに対して、人々が指摘し挙句干す行為である。
これを聞いて、あなたはすぐこう思うでしょう。
「はあ?、そいつが悪いんだから仕方ねぇんじゃね…。悪人は責められるべきだろ!てかこいつ何言ってんの?」
でも、悪意のあるものを除いて炎上していることって実はそうでもなかったんじゃないかって思うものがいくつかあると思うんです。
今回はこの件について取り上げたいと思います。
数年前、タレントの福田萌さんがとあるバラエティでこんなことを言っていました。
「私たち夫婦は、自分の力で学歴を掴みとってきたという誇りがあります。親が用意してくれた道を歩んだわけではなくて、努力の証明書として学歴がある」
これを聞いた一部のマスコミはこの発言を、
「私たちは其方らと違って勉強をして、勝ち組の人生を送っている。だからこそ、其方らと私たちは全く違う」
と斜に構えて捉え、あたかも"福田萌=腹黒な毒舌"という構図を商業的に作り出そうとしているように思います。ポイントは、
"親が用意してくれた道ではない"、
ということ。
2006年9月、京都大学大学院博士課程経済学研究科の松浦司氏(現中央大学経済学部准教授)による親の年収と社会的地位と子供の学力及び年収に関する論文によると、子供の最終学歴及び生涯年収は親の年収及び社会的地位によることが分かった。
特に男性は年収が15%増加するという結果である。
また、この研究では家督を受け継ぐという考えの元で年収の増加率について研究を行ったが、家業を受け継いだからと言って高収入かということについては必ずしもそうとは言えないということが導き出された。
参考文献: https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/125620/1/kronso_178_3_302.pdf
つまり、親の収入は子供の学力向上の最も大きな要素であるという事である。
ではなぜ子供の学力水準は親の年収と相関しているのか?
そう、"教育費をどれだけ子供にかけているか"ということです。現に、中高一貫校に送る親御さんの殆どが幼少期より教育に力を入れ、本人たちは当たり前のように塾へ行き、当たり前のように有名進学校へ進み、当たり前のように難関大に受かっていく。
このように、親の教育費が多ければ多いほど子供は学力向上のための情報を得やすい環境に行きやすくなり、結果子供は無理せず進学するということなのです。
また、東京大学の合格者の出身地分布を見てみると
その半数以上が首都圏、しかも多くが東京都という…。
つまり、教育環境が整っているところ=学びをより深めることができるという構図が必然的に出来上がってしまうのだ。
しかし、この図はもう一つの見方をすることが出来る。それが、北海道及び東北地方の志願者数は17分の1ほどであること。つまり、ここから分かることは明らかに難関大学合格者と出身地域に相関があると言える。つまり、地方出身者は試験制度こそ平等であっても、地域格差により本来知ることの出来る情報を手に入れることが出来ないという現象が起こってしまう。また、少子高齢化と若年層の都市部流出により稼ぎがあって学歴の良い地方出身者はいなくなり、その結果地方では教育環境が著しく衰退したことにより、東大合格=神童という風習が生まれてしまったのだ。
その状況の悪い中、都市部に出るため学力を向上させようと自分で調べたり、学校の授業中に内職をしたり、志望校特化型を形成したりし、予備校が珍しいと思うであろう環境で、自分で道を模索し、その上でいざどうするべきかを考える。周りに合わせないで自ら努力すること、どうすれば合格できるかという問題に対して、いかに攻略するか…要は受験期間で問題解決能力を構築させたのである。実際のところ、そう容易なことではない。
これらを踏まえた上で福田萌さんはこの発言を恐らく、こういうことを言いたいのだと思う。
私達夫婦は、都市部の良い家庭のように勉強や情報にも恵まれており、何不自由なく大学入試を突破した方々とは異なり、情報の無い中、自分のやりたいことは何かを理解し、その上でいざ何をやればいいのかを考え、時にくじけたりしたけれど、そうであっても諦めずやり抜いた。それが蓄えとして、勲章として残っているものが学歴なのだと…。
読み解いてみると、大学を出ていない人を罵倒しているようには感じられない。勿論、これを歪んだ捉え方をしている人がいるということは、その人自身がそういったことで悩んでいるのだと想像がつく。まとめると、私は勉強という形で皆さんの下積みを経験しているとおっしゃりたいのだと思います。
このように、本筋を理解した上で相手の言いたいことを一言ずつ汲み取っていくと、「炎上することだったのか?」と感じられることが多くある。マスコミのでっち上げをむやみに信じないで、自らの頭で考えることが本当の意味で重要だと思ってほしい。
Part.2に続く
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