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夢の延命措置化しつつある留学のリアル

皆さんこんにちは!
本日は、約8ヶ月間、ローカルチームで過ごしてきての、練習環境等の、サッカー関連の事について紹介したいと思います。(サッカー留学生の人なんかも、このような環境でプレーする事になるのではと思うので、多少の参考にはなるかと思われます!)

本題である部分に関しては、
目次の留学等される方、検討されている方へ
まで飛んでください!

練習回数や時間・基本サイクル

まずは、サッカーに直接関係する練習の環境や日程等を。
基本的にトップレベルを除いては、主に週2~3回の練習頻度に、週末試合という感じです(大人の下位リーグ6~10部辺り、育成年代のU15~19の2~4部辺り)
このくらいのレベルが現実的に日本人の留学生がプレーする最初のカテゴリーになると思います。(世代別代表歴や、J下部経験等があれば5部・4部もありますし、育成年代であれば高卒早生まれであれば1部でプレーできるチャンスも)
この辺りのレベルだと、アマチュアなので、各選手大学や学校に通っていたり、働いていたりと、様々な背景があります。(日本で言う県リーグレベルでも週に2-3回の練習をして、年間のリーグ戦を戦っていると思うと、そして、それが全国で行われていると言うのは、ドイツのサッカー大国たる所以であり、サッカーを続ける素晴らしさを物語っているなと。)

(こんな感じの日程です(成人7部))下の方に遅刻したら罰則カタログの罰を与えられる事が書いてあったりします。笑スクリーンショット 2020-01-11 23.08.30

練習時間はおおよそ2時間前後で、U19辺りだと練習が19時開始の21時終了といった感じで、夜にトレーニングを行います(その前の時間に下の年代がトレーニングしている感じです)
成人カテゴリーは19時辺り開始で21時前後終了が一般的なアマチュアのサイクルです(上のカテゴリーになると、午前中や日中の練習になります)
育成年代で言えば、このレベルですと、全然日本の強豪チームの方が強いです。日本の全国レベルの高校がこちらにくると、1部リーグ以外のチームでは相手にならないレベルです。ブンデスの下部組織ともいい勝負になります。

設備やスタッフ


設備に関しては、下位リーグであっても、自前のピッチを持っていますし、練習用と試合用のピッチがあったり、しっかりとロッカールームも備え付けられていたりと、流石と言える充実度です。(ピッチは基本人工芝か天然芝)
チームによっては下位リーグでも練習ウェアはチームが用意してくれます。練習後にはシャワーを浴びて帰るという習慣もこちらでは当たり前です。このレベルですと、トレーナー等は基本居ないので、メンテナンスは自分で行う事になります。監督1人で仕切っている場合も時々ありますし、中にはアシスタントコーチとフィジカルコーチもいる場合がありますが、基本は監督とコーチそれぞれ1名ずつといった感じです。(自分が所属するチームでは監督に自分ともう1人のコーチがいますが、練習の打ち合わせ等は会場にきて5分程ウォームアップ中に監督から聞いて用意するといった感じです)
(ウチでは監督に当日こんな紙を渡されて説明を受けます)


シーズンの流れ

これに関しては、カテゴリーや、地域によって誤差はあるのですが、基本は年間を通してのリーグ戦に、ポカール(カップ戦)です。
リーグ戦は8月末から9月に開幕して、12月の中頃までに前半戦が終了します。
基本的にはそこから1ヶ月程のオフに入ります。(育成年代も、成人カテゴリーもアマチュアはそんな感じです)
そして、1月の中頃にトレーニングが再開し、2月頃から徐々にリーグが再開するといった感じです。
このオフにしっかりとリフレッシュしたりする時間があるので、こちらではサッカーを続けるという事のハードルは日本に比べて低くなっていると感じますし、人生においてもこうした時間は重要だと、こちらに来て改めて感じています。日本はサッカーを途中で辞める理由がそこら中にたくさんありますが、こちらはそれが圧倒的に少ないので、当たり前の様に自分に合ったレベルでみんながサッカーを続けているのが当たり前なんだなと。
日本だとサッカーカテゴリーが上がるにつれて、上手い人がやるスポーツになっていく印象ですが、ドイツには誰しもが何歳でもサッカーを適したレベルで楽しめるサッカーがあります。
話が逸れてしまいましたが、中断期間を終え、後半戦を戦いリーグが終了するのは5月になります(昨シーズン自分の所属チームは、6月に昇格プレーオフを戦いました。)
リーグ戦終了後、次のプレシーズン開始となる7月下旬~8月までオフになります。
現状の日本からは中々考えられないシーズンの流れではありますが、これがドイツのローカルレベルのスタンダードです!

(実際のユース4部のオフ明けの日程)スクリーンショット 2020-01-11 23.07.45

留学等される方・検討されている方へ

留学等される方は上記の様な環境、サイクルで過ごすこととなり、
空いた時間に語学学校に通ったり、アルバイトをしたりというのが大多数です。
個人的には、ドイツ、海外で活躍するために不可欠なのは、サッカースキルは当たり前ですが、それと同等に語学が必要となると考えています。
コーチとして活動するのであれば、話せなければ話になりませんし、言葉を操れる様になって第一歩だと思います(自分もあまり喋れない状態でドイツに来たので、最初は非常に難しかったです。)
喋れない間は分析を翻訳しながら作って監督に提出したり、知っている単語でコーチングしたりと、できる範囲でやってはいましたが、これは何処にいてもできると言えばできるので、高いお金を払ってまでドイツでやる価値は無いのかなと。今ようやくプレーについて説明できたり、練習のセッションを任せてもらえる様になり、多少の進歩がある状況ですが、正直まだまだです。現在渡独後8ヶ月なので、1年間だけの留学だとしたら、ほぼほぼ何もできずに一年を終えた事になると言えます。
自分は5年、10年単位でのチャレンジを想定しているので、この一年は語学メインで覚悟を決めてやっているので大丈夫なのですが、短期で何かを得たいのであれば、事前の語学で勝負が決まるといって間違いないと思います。
本気であればあるほど、語学の必要性は高まります。これはコーチに限った話ではなく、選手でやっていくにしても同じだと考えています。
ただドイツのサッカーを経験してみたいという事であれば、喋れなくても問題ないと思います。
しかし、本気でドイツで上を、海外で上を目指すのであれば、語学に拘って下さい。
喋れなくて困ることはあっても、喋れて困ることは基本的にサッカーでは無いです。

現実的な可能性の期間

基本的に留学される方は、語学ビザで1年、ワーホリで1年の最長2年が与えられた時間だとして、ビザが出してもらえる様なレベル(4部以上)でプレーするには、確実に語学は必要です。
時々語学を蔑ろにして、サッカーさえ上手ければどうとでもなると思っている人が居ますが、はっきり言ってコミュニケーションが出来ない選手はサッカーが上手いとは言えないです。
留学会社等は、サッカーに打ち込める環境!夢がある!と聞こえの良いことを言います。夢もあるし、サッカーに打ち込めます。それ自体は嘘では無いですが、あまりにも甘い考えで海外に来ている人が大量にいるのも事実です。
自分もよくこうした事に関して問い合わせをもらったりしますが、自分は留学会社の人間でも無いので、厳しい現実の方を伝える様にしています(そうすると音信不通になる方が多いです)。
ですが、来てみて、思っていたのと違った。となる人が多く、
サッカー以外でストレスを溜めて、持っている能力云々の前に夢半ばで帰国する人を海外生活の中で本当にたくさん見てきました。
甘い誘い言葉で現実を隠す側も問題ですが、情報を精査せずに都合の良い事だけを鵜呑みにしていては、海外では成功できないでしょう。

個人的に必要だと思う語学能力

個人的にですが、日本にいる間に、最低でも半年は勉強してから望むべきだと思います。(ドイツなんかは英語も通じますが、監督等の話は結局ドイツ語です)
理想としては選手としてやっていくのであれば、多少は自分の意思が伝えられて、相手の話が聞けるB1レベル、
コーチであればB2レベルまではやっておく事を強く薦めます。
その後現地で継続してインプット・アウトプットを続ける事で、いくらでも向上していけますし、ベースを知っているだけで、語学学校等での吸収できるものも段違いです。
そして、どんどんドイツ語を使う事です。インプットだけの一方通行になっては意味がないので、恥を捨ててコミュニケーションを取りましょう。
ここで転ぶ日本人は多いです。自分にも気持ちはわかります。
ですが、自分も恥を捨ててから、かなり上達したと感じています。
本気であればあるだけ、準備に拘りましょう。その準備が自分の夢や目標にダイレクトに繋がります。日本で語学学校に通えればベストですし、そうでなくとも、参考書等もあるので、気持ちさえあれば独学でも学べます!
自分はこちらのサイトの単語を毎日覚えていって、現地でかなり助けられています。(まだ3000〜4000語ですが)
その他にも、スマホのアプリでも毎晩単語帳アプリをやったり、いくつもの教科書を使って今も勉強を続けています。
それでもハッキリ言ってまだまだ十分では無いので、本当にやれるだけやった方が良いです!

よく聞く話

これは本当にスペインでもドイツでもタイでも聞きましたが、
自分としてはやれている、通用しているという謎基準。
そこからのコンボで、エージェントやチームメイト、監督への愚痴。
海外でドロップアウトしていく最も定番のケースです。
まず、通用しているかどうかの判断は自分でするものでは無いですし、その人自身が持っている評価の基準は今までに培ってきたものです。
しかし、挑戦している今いる場所の基準は似て非なるものなんです。
大体が、プレーに関しても、練習で普通にやれているという程度の物。
最低でもそのカテゴリーで頭ひとつ抜けているレベルでないと、海外でやっていくなら難しいです。周りと同等ではダメなんです。それであれば、コミュニケーションに問題の無い自国の選手が選ばれて当然なんです。
そこを勘違いして、通用していると思っている選手をたくさん見てきました。10代の頃の自分も全く同じでした。だからこそ伝えたいです。
その基準自体がずれているので、結局は矢印を自分に向けられず、周りへの愚痴や不満に変わっていきます。気持ちも分かります。慣れない環境での挑戦で、与えられた自由を自分1人で律して過ごしていくのは簡単ではないです。言葉も分からず、文化も違う中での適応は誰だって大変です。自分もそうでした。(だからこそエージェントさんにはしっかりとそうした選手をサポートしてあげて欲しいですが、ハッキリ言ってそれは望めないでしょう)
しかし、それも自分の責任だと言われたらそれまでなんです。その意見も間違っていないんです。自分で決めた、選んだ挑戦です。
そのチームに対する不満も伝えられない語学力では、結局何も変えられません。
伝えたければ、伝えられる様になるしか無いんです。誰も一々まともにコミュニケーションを取れない選手の面倒を全部見てくれません。
確かにドイツ人は打ち解ければ気の良い奴らが多いです。スペイン、タイも同様です。そんな彼らと意思疎通するには、やはり自らコミュニケーションを取らなければなりません。

選ぶべき環境

選ぶべきプレー環境でも、その後は大きく変わっていきます。
自分が代表クラスの選手であれば、言葉等よりもプレーで見てもらえるスタート地点になりますが、留学をする選手というのは、基本的にはプロに引っ掛からなかった選手たちです。大前提そこを理解しておかなければいけません。
そんな中で選ぶべきは、自分と同等レベルのプレー環境や、少しでもレベルの高いところではありません。(短期の体験等であればそれで良いでしょう)
長期でプロを目指してチャレンジするのであれば、まずはコミュニケーション等に問題を抱えていても確実にプレー出来るレベルのチームを選ぶ方がベターです。
仮に能力が4部でプレー出来るものであったとします(語学力なし)
この時点で4部でのプレーは難しいです。助っ人外国人であるのであれば、先に書きましたが、同等では不十分です。確実にベンチを温めることになるでしょう。
それであれば、5部や6部にレベルを落として、確実に居場所を作るべきです。高卒、大卒で来たら試合に出てなんぼです。上を目指すから下のリーグでスタートしたく無いのは分かりますが、結果的にその選択が首を絞めることになるでしょう。
試合に出て、結果を出せば、こちらでは幾らでもチャンスは転がっています。確実に結果を出せる場所で、適応しつつ、語学を磨きましょう。
海外に来てまでベンチを温めるのはかなりしんどいです。
前述の負のサイクル方向にほぼ確実に向かいます。

時間の使い方

本当に時間はめちゃくちゃ余ります。
練習までの時間はフリーですし、練習も試合も毎日じゃ無いです。
ここで求められるのは自分を律する能力です。
多くの選手(かつての自分も)は、夜中まで起きていて、昼頃まで寝る、その後もダラダラ過ごしてロクに勉強もせずに1日が終わる。
それで周りに不満だけは言うし、勝手にストレスを募らせていくなんて、ふざけた話です。
本当にここの時間の使い方は大事です。
サッカーしに来てるから、サッカーだけに集中するとか言う人もいますが、そう言っている人で本当にサッカーに全てを捧げている人、見たことないです。笑
せっかくの海外生活、サッカー以外にも積極的に取り組みましょう。
その国を理解しましょう。たくさん学びましょう。
規則正しい生活をしましょう。友達を作りましょう。
家から出ましょう。スマホに依存しないでください。
一番は学校に行くことでしょう。
語学の向上はもちろん、色々な国の人との出会いがあります。
そこから繋がりが出来て、チームを紹介してもらったりなんて事もあります。自分も今語学を通した出会いでそんな機会に出会っています。

留学は延命ではない

これは、友人であるロービジョンフットサル日本代表のジュオとも話した事なんですが、
高校、大学までサッカーを頑張って来て、プロを目指していたが、残念ながら日本ではそのチャンスに恵まれなかった。それでもサッカーへの情熱はあるし、プロになる夢を諦められない!
そんな人たちが長期留学生の多数を占めると思います。
そんな選手達が主にエージェント会社を通して、大きな志と共に海外にチャレンジします。しかし、多くの選手が上述の様なサイクルに陥っていきます。
決して安くない費用を払って、1~2年夢にチャレンジをする。
悪い事じゃないんです。それほどの熱意があるからこそ、もっと考えて行動するべきなのではと思わずにはいられません。
留学がただの逃げ道に結果なってしまっている事、多々あります。
留学を否定する気は全くないですし、そこからチャンスを掴んだ人も居ます。
無駄な投資にならない様に、事前の語学の準備や、情報収集をしましょう。
そして、それらは準備に過ぎません。
その国で、更に自分を律して過ごしましょう。目標や夢の為のチャレンジであれば、そこに居られる期間、全力で取り組みましょう。
それが一番難しいです。



終わりに


日々、Twitterを通して海外留学に関する問い合わせがある中で、夢を持つ人達からの問い合わせを受ける中で、心配な部分等があり、執筆に至りました。
中々、留学のリアルというのが知られていなかったりするので、自分がしてきたごく小さな経験の範囲でですが、リアルを発信させて頂きました。
安くない費用と、人生における時間を使うチャレンジな訳ですから、良い準備をするに越したことはないですし、上記の話は本当にたくさん見てきました。
同じ轍を踏まない為にも、少しでも多くの夢を持つ選手達に届いて欲しいです。
その他のノートにも海外生活関係のテーマのものがありますので、そちらにも目を通していただけると、他とは違ったリアルな視点からの海外でのチャレンジが垣間見えるかと思います。

また、エージェントに関してですが、素晴らしいエージェントの方も見えますので、全てのエージェントに当てはまる訳ではありません!



ご意見や質問等があれば是非!

可能な範囲でお答えしていければと思います!

サポートして頂いた費用は、現地での練習・試合視察の費用に活用させていただきます!よろしくお願いします!