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パラレル・マザーズより、ペドロ・アルモドバル映画を振り返る


基本初投稿、インスタでもやっているけどコメントが長文になりがちなので、こりゃnoteかなって。

パラレル・マザーズ 
ペドロ・アルモドバル監督

私のアルモドバル映画愛が詰まっとります。

「神経衰弱ぎりぎりの女達」でペドロ・アルモドバル映画の虜になった。

のっけからもう、ラテンな色彩の洪水と洒落乙インテリア。またそれに相応しい血の濃ゆい女達が、神経衰弱ぎりぎの常軌を逸した行動でぶっちぎる。
(一例:高所からの家具投げ捨て、銃撃、ボウルいっぱいの睡眠薬入りガスパチョ)

同時にアルモドバル映画の常連俳優ロッシ・デ・パルマのいちファンとなる。

続き「キカ」や「アタメ」「ハイヒール」と破茶滅茶な登場人物が繰り広げる諸々の非喜劇。どんな奇天烈な行動も全ては愛に原づく、っていうのが彼の作風。

アントニオ・バンデラスやペネロペ・クルスはアルモドバルに見出されなかったら単なる濃いめのラテン俳優に過ぎなかったかもしれない。

そこから転換期、「オール・アバウト・マイ・マザー」を筆頭とする究極の愛「母」に関する幾つかの映画。
奇天烈面は形をひそめ本格的に賞レースに乗るようになった。

ちなみに私は神経衰弱ギリギリ系のアルモドバル映画が好きなのでしばらく寂しかったけど「私が生きる肌」を観た時は帰ってきたアルモドバル節に胸を熱くしたものだった。

そしてこの「パラレル・マザーズ」
2人の母の物語。もはや、アルモドバル映画における性にタブーは存在しない。男性不在でもこの世は成り立つみたい。

そしてこの映画でアルモドバル映画に新たな頁が加わる。スペイン内戦、独裁者に蹂躙された過去をもつ国に生きる表現者として、自身の過去を掘り起こした映画「ペイン・アンド・グローリー」のように、自らの国のルーツをまさに墓穴を掘り起こして表現したのだ。
映画は2021年に完成したが、日本公開は2022年11月。ウクライナ情勢が報じられる昨今、かのシーンは実に生々しく観るものの心に刻まれるだろう。

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