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シャーとニャーのはざまでーチミママのこと(11)
2.22、ニャンニャンニャンの猫の日を前に、2月20日は僕にとって「ママンをリビングで初めてなでまわした日」になった。
この半年、我が家のリビングにはママンのための大きな2階建てのケージが“鎮座”して、部屋のレイアウトなんかもずっと“非常事態”みたいな感じになっているんだけど、そここそがママンにとっての安全地帯なので片付けるわけにもいかない。ママンを素手で触ってもいいのはそのケージの中だけという暗黙のルールがあって、ケージの外にいるママンに触れようとするとシャーシャー言われて、逃げられて、警戒されるのが常だった。
それが、である。いつの間にかソファでくたびれて寝てしまった僕がその眠りから覚めたとき、ママンはケージから出て(最近ケージの外で過ごす時間が長くなった)僕の手の届く場所でぼんやり座っていた。ママン、と声をかけて手を伸ばす。ママンは大きな目をこっちに向けている。僕が瞬きのコミュニケーションをするとママンも目をパチパチとさせて、そうこうしているうちに僕の指がママンの額に当たった。ママンはよけない。額を指の先でくすぐると自分から耳を差し出してきて、とても気持ちよさそうにするから、「ええ?」と僕は体を起こして、ママンのうなじのところを親指と人差指でくすぐる。これも気持ちよさそう。「こんなことしていいの?」と今度は喉元をなでてあげた。そう、普通に飼い猫の喉をなでるように。ママンの喉はグルグルと低い響きをたたえている。
すると、コテンとママンは身を投げだしてしまう。僕は背中からおしり、また頭と耳と喉元を、それこそここぞとばかりになでまわした。こんなことするのは初めてだ。ママン、ママン、と名前を呼びながらめちゃくちゃなでまわす。ママンはそのまま体を横たえて伸びをしたりしてぐにゃぐにゃ。なに、これ、飼い猫みたいじゃん、ママン。ママン、と声をかけたところでママンはハッ!と我に返ったようにケージに飛んで戻った。そしてこっちをその大きな瞳で眺めている。
2月20日は「ママンをリビングで初めてなでまわした日」になった。僕は静かに感動している。
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