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シャーとニャーのはざまでーチミママのこと(9)

去年の8月2日にそれまで10年地域猫であり通い猫だったチミママを保護してうちのなかに入れて、今日で6ヶ月、半年が経ったことになる。あっという間だった!なんてことはもちろんなくて、ちゃんと6ヶ月分の大変なことも楽しいことも困ったことも嬉しかったことも苦しいことも、ある。

軽やかに木を登り塀を伝い、我が思いのままに自由だったかつてのママンの美しさを知っているから、一日の3分の2くらいをケージのなかで眠り続けるママンの姿を見て「家に入れたことは彼女にとって不幸なことだったんじゃないか」と思い悩んだり、コミュニケーションの難しさに苦労したり、今でも耳の傷がまだ完全に癒えないとか、いろいろあるんだけど、それでも最近(本当にここ3ヶ月くらい)は顔つきが生き生きとしてきて、遊ぶ時間も増えて、特に僕が操るネズミのおもちゃとの攻防はもう子猫なみの夢中さで驚かされる。

何より嬉しいのは「ママン」と声をかけるとハッとこっちのほうを向いてくれることだ。これは保護して最初の頃にはなかったことで、心にシャッターが降りていたのが、もうこの頃は開けっぱなしっていう感じで油断している。まだ抱きかかえたりすることはできないけれど、ヤスリ内蔵爪とぎのおかげで鋭利だった爪も丸くなったし、僕が血を流すことも減った(たまに距離を見誤って怪我することもあるけれども)。チミちゃんは相変わらず反抗期の娘みたいにママンと相対するけれど、確実にその関係は穏やかなものになってきた。気づくと二人並んで窓の外を眺めたりしている。

ママンは多分、外にいたときよりも今のほうが幸せだし楽しいし、毎日何かしら新しい面白さを発見していると思う。目をらんらんとさせて、何もかもを初めて見るような目つきで眺めるときのママンは本当に凛々しく美しい。2月は猫の月、ママンに、そしてもちろんチミにもいつも以上の感謝を捧げたい。

香箱を組んで“遊び”を待っているママン
窓際のママンとチミ「たいてい娘のほうが大きい」というコメントに笑った

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