「生成AIはAIじゃない」は大誤解? 知らなかったあなたのための徹底解説【学術的解明付き】
まいどです。
最近Xでちょいちょい見かける文章があってちょっと気になってるんですが……。
「生成AIはAI(人工知能)じゃない」ってコメントです。
この生成AIがAIじゃないっていう話、これには大きな誤解があります。これから、それを学術的や科学的な根拠を交えつつ、わかりやすく説明します。
まず、「生成AIはAIじゃない」という主張をロジカルに否定するためには、そもそもAI(人工知能)の定義をしっかり理解することが重要です。AI、つまり人工知能は「人間の知的活動を模倣または補完する能力を持つシステムや技術」を指します。この定義は、「Artificial Intelligence: A Modern Approach」という教科書などで広く使われています。要は、コンピューターに人間みたいに考えさせたり、行動させたりする技術のことです。この中には、見る(画像認識)、聞く(音声認識)、考える(推論)、学ぶ(機械学習)、作る(生成)といったいろんな能力が含まれているんです。
さて、生成AIっていうのは、この中でも特に「作る」能力に特化したAIのことです。例えば、新しい文章を書いたり、絵を描いたり、音楽を作ったりするAIが生成AIに含まれます。大規模言語モデル系(例えばGPT系のモデル)、DALL-E、GAN(Generative Adversarial Network)などが代表例ですね。これらは大量のデータを使って学習し、その結果を元に新しいデータを生成します。
次に、経済産業省が引用している一般社団法人人工知能学会の定義を見てみましょう。「AIについては、明確な定義は存在しないが、『大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの』とされています」という風に述べています。この定義に従うと、生成AIもまさにAIの一部だということがわかります。なぜなら、生成AIも大量のデータを基に学習し、そのデータをもとに新しいものを生成するからです。
具体的に、大規模言語モデル系(例えばGPT系のモデル)を例に挙げると、これらはインターネット上の膨大なテキストデータを使って訓練され、新しい文章を生成します。同様に、GANsも二つのネットワーク(生成器と識別器)が競い合い、お互いに学び合うことで、とてもリアリティーのある画像を生成します。つまり、生成AIは高い推論能力と学習能力を持っており、これは「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行う」という定義に完全に合致します。
さらに、学術的な視点から見ても生成AIがAIの一部であることは明白です。生成AIが利用するニューラルネットワークやディープラーニングといった技術は、他のAI技術と共通の技術基盤を持っています。例えば、画像認識でよく使われるConvolutional Neural Networks(CNN)や音声認識に使われるRecurrent Neural Networks(RNN)なども同じくニューラルネットワークを基盤としています。これにより、生成AIも広範なAIの技術の一部と見なされるべきです。
歴史的な背景を見ても、AIの概念は1956年のダートマス会議で正式に広まり、それ以来、AIの定義や適用範囲はどんどん広がっています。最初期には、アラン・チューリングが提案したターニングテストが、人間の知的活動を模倣する機械の基準として使われていました。ターニングテストでは「機械が人間と区別がつかないほどの応答を生成できる場合、それは知能とみなされる」としています。このテストに基づけば、生成AIも人間らしく新しいデータを生成できるため、十分に知能を持つと評価されるべきです。
また、具体的な用途を見ても、生成AIは私たちの生活に深く関わっています。例えば、AIが自動で テキストを生成する機能を持つ大規模言語モデルは、チャットボットやカスタマーサポートで広く使用されています。同様に、DALLのような画像生成AIはデザイン業界で新しいクリエイティブプロセスを生み出しています。これらの応用例からも、生成AIがAIの一部として重要な役割を果たしていることがわかります。
これまでの書いた文章から鑑みると、「生成AIはAIじゃない」という主張は、AIの定義や技術を正しく理解していないから出てくるものだとわかります。生成AIは、「人間の知的活動を模倣する」という広義のAIの定義に完全に適合しています。科学的な根拠、技術的基盤、歴史的な視点、学術的な定義を踏まえると、生成AIは確実にAIの一部です。
まとめると、生成AIは大量のデータを使って高度な推論を行い、新しいデータを生成する技術です。これは、経済産業省や人工知能学会の定義だけでなく、広く受け入れられているAIの定義にも当てはまります。生成AIがAIの一形態であることは、学術的にも科学的にも確固たる根拠があります。したがって、「生成AIはAIではない」という発言は根拠に乏しく、生成AIはAIの仲間であることが明らかです。
「生成AI」というのは、AIと定義される、人間の知的活動を模倣の「作る」に特化しているだけなのです。
なので、「生成AIはAIじゃない」と主張する方に、「あなたのAI(人工知能)の定義は何ですか?」と聞いてみたくもありますが、多分ロジカルな答えは返ってこないんでしょうね……。
尚、詳しい論文を見たい方はこちらです。
https://www.uni-due.de/imperia/md/content/computerlinguistik/aiama__2ed_2003__chap1
あと、この方も同じ題材を書かれておりますので、併せて読んで頂くと、より理解が深まると思います。
それでは、また。