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【考察】コカ・コーラが生成AI広告を公表する理由:炎上を通じた技術の革新

 最近、コカ・コーラは生成AIを使った新しいCMを発表しました。少し前にご紹介した、クリスマス専用CMですね。しかし、現在の生成AIを用いた広告はしばしばネット上の一部では炎上しています。そして、今回のCMも例外ではなく、インターネット上での炎上を巻き起こしました。なぜ、コカ・コーラはこの動きを選択したのでしょうか?

少し前に、コカ・コーラが生成AIを使ったCMを発表しました。
しかし現在生成AIを使った広告などは、ほぼ漏れなくネットの一部で炎上されています。このためコカ・コーラの今回のCMも例に漏れず、インターネットの一部で炎上しました。

これは炎上商法なのか?
と思いましたが違うでしょう。

炎上商法とは、ある意図的な行動や発言が批判や論争を呼び込み、その結果として商品の認知度や注目を集める手法です。これにより、短期間で話題性を持たせることが可能ですが、信頼性の低下や長期的なブランドリスクを伴うこともあります。

しかし、コカ・コーラは知名度では知らない人が居ないほどの大企業であり、炎上商法を行うメリットがほとんどありません。

コカ・コーラはこれまで何度も生成AIを使用した広告を発表して、その都度ネットで炎上騒ぎが起きています。
なぜ、コカ・コーラがそれでもAI生成である事を公表し続けるのか、を考えてみました。

まず、考えられる理由として以下が挙げられます。

  1. テクノロジーへの適応と革新性のアピール
    生成AIを活用することで、企業は技術革新や新しいトレンドへの適応を示す。特にテクノロジーに積極的なイメージを築くことが、企業文化の拡大に寄与できるとの考えのもと公表している。

  2. 話題性と認知度の向上
    最新技術の活用は注目を集めやすく、生成AIを使った広告は自然と話題になる。これによってブランドへの関心が高まり、認知度の向上につながる可能性があるとして公表している。

  3. 市場調査と消費者理解の深化
    AIを使った広告がどのように受け取られるかは市場調査として機能させている。批判を含め、消費者の声から新たな知見を得ている。

  4. 新しいクリエイティブの追求
    AI技術によって生み出されるユニークな広告によるクリエイティブ追求をしている。

  5. コストと効率性の実験
    AIの運用によって効率的な制作フローを試みたり、コスト削減が可能かを探る戦略を立てている。

  6. AI活用のダイバーシティとインクルージョン
    AI技術の社会的受容を探る一環として、多様性や倫理について議論を促そうとしている。

  7. デジタル時代のブランドエンゲージメント
    AIに対する世代の関心を通じ、ブランドがどう関わっていくかが新たな対話のきっかけを作っている。

  8. 長期的リスクとベネフィットの検証
    炎上を通じてエンゲージメントに与える影響を観察し、長期戦略の一部としている。

  9. グローバルな影響力のテスト
    広告が異なる市場でどのように受取られるかを試験し、国際的戦略の策定に活用している。

  10. 炎上を受けたブランドの頑丈さの実証
    連続した炎上にもかかわらず、ブランドの信頼性を示すことを意図している。

  11. 炎上の規模が小さく気にする規模でもない
    そもそも炎上させている人たちがほんの一部の人たちであり、炎上する規模が小さく、大きな影響を及ぼすものではないため、特段大きなリスクとして捉えていない。

しかし、これらを考察しても違和感が残りました。

コカ・コーラはグローバル大企業であり、知名度を今更知らしめる必要はありません。
CMの費用削減という部分でも、そこまで大きな影響な無いように感じます。
コカ・コーラはすでに確立されたブランドであり、新しいテクノロジーをわざわざ何度もアピールする必要性が少ないように感じます。
市場調査だとしても、これまでのAI広告の回数が多い感じがします(もう十分に調査が出来ているのでは? と言う疑問です)。
時間削減ならまだ理解はできますが、それだけの為でしょうか?
ただ生成AIを使っただけと言う理由での炎上であれば「ネットの一部で炎上しているだけであり、それを受けてもブランドが大きく損なわれることもなく、そもそも炎上規模が小さいから気にしていない」と言う理由がこの中だと一番しっくりきますが、だからと言って、わざわざAI生成ですよ、と言う理由が分かりません。
企業の透明性を示していると言われればそれまでですが、そうであるならAI生成にこだわる理由が少なく感じます。
ただ、それでもこの中からこれだろうと選ぶとしたならば、「単純に時間削減の為と、炎上しても大したことがない為、それよりも透明性を与えている」とも考えられます。
ただ、それでも、いまいち私にはしっくりときませんでした。

そこで、私は考えました。

「もしかすると、コカ・コーラは意図的に炎上を引き起こすことを見越して、生成AIの広告だと公表しているのでは?」と。

私は更に考えました。

「では、そうすることで企業にはどのようなメリットがあるのか?」
「敢えて炎上すると分かったうえで生成AIの広告と公表しているとしたら?」
「もし炎上騒ぎ自体がコカ・コーラの思惑通りであるとしたならば?」
「その炎上がただの炎上商法ではないとしたら?」

そういった事を仮定して考察した結果、以下の企業戦略があるのではないかと推測しました。

  1. 技術のフィードバックループの可能性
    炎上を通じて生成AIの現状技術の限界を明らかにすることで、企業は技術改良のための具体的なフィードバックを得ている。このプロセスは技術の進化を促す強力な手段になり得る。結果として生成AI企業は競争力を高め、コカ・コーラは進化した技術を活用できるようになる。

  2. 長期的なパートナーシップの可能性
    コカ・コーラが生成AI企業を継続的に利用し続けることで、両社は戦略的なパートナーシップを構築している。これにより、技術が成熟するにつれて、その恩恵を最大限に受けることが可能となり、新たなイノベーションを生むことが出来る。

  3. 消費者意識の変化を測定の可能性
    炎上を観察することで、消費者の意識や意見の変化を長期的に把握している。このデータは消費者心理の変化を理解し、将来のマーケティング戦略に役立てるための重要な鍵となり得る。

  4. ブランドのポジショニングと競争優位の可能性
    生成AIが将来的により高い能力を持つようになった場合、コカ・コーラがその最先端技術を優先的に利用できる立場を確保することは、競争優位性を維持するための重要な要素であると考えている。ブランドとしてのポジショニングを強化し、今後の市場で有利に立つことができる。

「コカ・コーラは意図的に炎上を引き起こすことを見越して、生成AIの広告だと公表している」と考えると、その理由が透けて見えた感じがしました。
そしてそれが私なりの仮説になりました。

「つまり、今現在は敢えて生成AIと公表することで、狙い通りの炎上をさせ、そのコメントを収集しているフェーズなのだろう」

そう考えました。
これは私のただの推測であり、実情は分かりません。
なので実際は違うかもしれません。
しかし、コカ・コーラの知名度、資金力、企業の力などを考えると、これが一番納得がいくのです。

この私の仮説は推測の域を出ないものの、もしもこの推測が正しければ、インターネットの炎上自体はコカ・コーラの想定内であり、それを観測していると考えられます。そしてそれは、生成AI技術を通じて企業が未来に備えるための一つの考え方を提示しているのかもしれません。

しかしそこまで考えて、炎上を意図的に引き起こすことは、消費者にとっては不快な体験になる可能性もあるだろう、とも考えました。
ですが、コカ・コーラ側からすれば、「ただAI生成でCMを作っただけですが?」と言われればそれまでですし、下記で考察していますが、炎上しなければしなかったでそれはそれで分析が可能になります。
そして炎上している規模がそもそも小さく、炎上させている消費者がごく一部の一握りでしかないので、仮に意図的だとしても大したことはないのかもしれません。

コカ・コーラがもしもそういう考えで敢えてAI生成を公表しているとすれば、技術進化と企業戦略のダイナミズムが、今後どのように展開していくのかが期待されます。

では、もう一つ考察を続けてみます。
それは「このAI生成で作りましたよ」と公表しても炎上しなかった場合です。
おそらくそれも視野に入れているでしょう。
もしも炎上などせずに普通に受け入れられた場合は、それはそれで成功事例として位置づけられるのだと考えられます。

この場合、この成功事例を積極的に発信し、ブランドイメージの強化に繋げる戦略が考えられます。

つまり炎上しなかった場合でも、同社は必ずしも失敗と捉えるわけではなく、むしろ新たなビジネスチャンスや課題解決のきっかけと捉える可能性が高いと考えられます。

何故これまでの広告では一部で炎上したのに、今回はしなかったのか、と言う分析が出来る訳です。

そこまで考えると、意図的に炎上させている、と言う見方も変わりそうです。
何故ならどちらでも分析結果が得られるからです。

しかし、現時点では生成AIを使った広告などは、ほぼ漏れなくネットの一部では炎上されています。
そういった情報は、おそらく大企業ならばキャッチしている筈です。
ですので、想定として「今回も一部で炎上するだろう」と考えて戦略を立てているのではないかと考えた次第です。

ここまで来ると、先ほどの「意図的に炎上させている」と言う文言が変わってきます。
「多分炎上するだろうけど、それはそれで戦略が立てられる」と言う意味合いになってきます。
炎上させようと思ってAI生成で作成したと公表しているのではなく、その反応を確認しているのだと言えるでしょう。

そういう意味では、良くも悪くも反応している人たちのコメントなどを分析しているのでしょう。
となれば、「AI生成しました」と言う文言は、現時点では公表すればほぼ必ず何かしらの反応を見れると言う事になるので、企業戦略が立てられるのかもしれません。
炎上したという事実だけでなく、炎上の内容や規模、そして炎上させている人々の属性を分析しているとも考えられます。

どちらにせよ、生成AIがここまで普及した今では、生成AIそのものを無くすという事はもう無いでしょう。
それはGPSを無くす、SNSを無くす、スマホを無くす、と言った事に近い事かと考えています。

いや、今挙げたものと、生成AIは全然違う、と言う方もいらっしゃるでしょう。

それはそれで構いません。
十数年後に答え合わせをしましょう、としか言いようがありません。

我々が、例えば「GPSもSNSもスマホも無かった時代でも問題無く生活出来ていた。でも今は便利になったね。便利な分、使うのが怖いけどね」と語る今のお爺ちゃんお婆ちゃんと同じ年になった頃に、我々は何と言っているか、はてさて。

※(多分それより古い世代ならば「スマホとかSNSとかよくわからん」って言いそうですが)

それでは、この考察を終えます。
では、また。

注:この記事はあくまで筆者のただの憶測と考察です。事実と違う可能性も十分にある事に留意してください。


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