ブルームーンキスは百合ソングである。
はじめに
櫻坂46のデビューシングルである「Nobody's fault」。計7曲が収録される同シングルだが、その中でも個人的に注目したい曲がある。ラジオで銀河系初解禁された際に、サビ前の「あ、キスしちゃった」というセリフがあることでも話題を呼んだ「ブルームーンキス」だ。
先日の櫻坂46デビューカウントダウンライブの中で、1期生の渡邉理佐がセンターの森田ひかるを抱きしめる演出があったことから、ブルームーンキスは女性同士の恋愛の歌、俗に言う百合ソングだと解釈する声が多くあがり、ライブ後はTwitterの検索予測でも1番上に「ブルームーンキス 百合」と表示されるほどであった。しかしながら歌詞の内容と絡めて言及しているツイートはほとんど散見されなかった(当社調べ)。そのため、今回は自分なりに歌詞を考察してみたい。
※「手を繋いで帰ろうか」や「僕たちは付き合っている」のライブパフォーマンスのように男女の恋人関係をメンバーで表現しようとした可能性も大いにあるため、「なるほど、そういう解釈もあるか」程度に読んでいただけると幸いである。
歌詞と解釈
"君"は異性愛者であり、"僕"のことを友達だと思っていた。だからこそ、"僕"からの突然のキスに驚いてしまったし、"そんな顔"をしてしまったのだろう。
"そんな顔"が軽蔑的なのか、悲しげなのか、はたまたただ単に驚いているだけなのかは推測することしかできないけれども。また、「驚かせちゃって」という言葉遣いが比較的女性的である。
一人称が"僕"なのは男性なのではなく某氏お得意のソレである可能性も否めない。
想いを告げることで傷つきたくない。そんな歌詞から、私はふとこの言葉を思い出した。
「誰かを大切に思うということは、その人を傷つける覚悟をすることだよ」
(『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』9巻より)
この言葉を肝に銘じたい。
作曲の野村陽一郎氏が手がける楽曲には日向坂46の1stシングルの表題曲「キュン」がある。言わずもがな、キュンのサビ前にも「可愛い」「好きだよ」というセリフがあるのは偶然ではないのだろう。
"僕"は想いを告げれば関係が壊れることを予見していながらも結局実行し後悔している。遠回りせずに帰れば良かった、と。元々2人で帰る仲なら男女よりも女性同士と考える方が自然だろう。
しかし僕はそれよりも「し〜んと静まった」の「〜」が気になって仕方がない。余韻を求めたのだろうか。やめてくれ
フルムーンは直訳するともちろん満月である。少々スピリチュアルな話になるが、満月の夜は気持ちが昂りやすいと言われることもある。そういった点から、計画は練っていたものの、実際に行動に起こしてしまった。どうしよう。という気持ちの現れなのかもしれない。
1番Bメロにもあるように、突然を装いつつもずっと時が来るのを窺っていた"僕"。
「用意周到な案」パートの大園玲ちゃんの声が好きなのでぜひ聴いてください。
プランを練っていたことを悟られたくないくらい、ずっと"君"の「柔らかな感触と温度」を想っていた。
だが実際は歌詞にある通り、「身勝手な想像」であり、都合の良い世迷言に過ぎないのである。
"君"への想いを再認識し胸の鼓動が加速した瞬間、ふと我に帰る。自分の余裕のなさを"君"に悟られたくない。そんな焦りを端的に表現すると「恋人になれるかな」になるのだろう。
ロマンティックな雰囲気に呑み込まれてしまった"僕"は黙り込んでしまう。ブルームーンは不吉なことが起こる予兆とも幸運が訪れるとも言われている。黙っていることがどちらに転ぶのだろうか。
ちなみに、「ブルームーン」というカクテルのカクテル言葉は「叶わぬ恋」「お断り」である。また、バラの種類の「ブルームーン」の花言葉も「決してあり得ないこと」「幸せの瞬間」とあることからキスしたことで"幸せの瞬間"に達することはできても最終的には"僕"と"君"は結ばれなかったのだろうと推測する。
あとがき的なもの
僕にとって初noteになったわけだが、こうやって歌詞を解釈するにあたって感じるのが、最近の坂道楽曲はテーマ悪くないのに歌詞のワードセンスが壊滅的なものが多すぎる、という点だ。
今回の「ブルームーンキス」でいえば、隠しきれなかった想いと後悔というテーマに対して、口語過ぎる上にめちゃくちゃ気持ち悪い歌詞が悪印象である。
乃木坂の新曲「僕は僕を好きになる」は、自意識過剰にならずに自分を好きになろう。というある種の自己啓発がテーマだと思うのだが、「陳腐」「誤解」「些細」などの固めの熟語が多いこと、歌詞が全体的にマイナス的な視点からのアピール(嫌いな人の名前をノートに書くくだりなど)がストレートすぎることが少々気になってしまう。
本当に某氏が作詞しているかは定かではないが、あまりにも時代錯誤であったり、中身が空っぽすぎるとオタク向けにしても、歌番組披露にしてもなかなかしんどいので、せめて総合プロデュースだけにして作詞は別の人に頼んで欲しい(本心)。
話は戻るが遡ること1ヶ月前の櫻坂46のDCDL終了後わりとすぐに書き始めたものの、書き終えるまでにこんなにも時間がかかってしまった。書こうと思ったときのイメージや構想と、1ヶ月後の感覚や捉え方では少し誤差が生じてしまうため、賞味期限が切れないうちに文字に起こすべきだと痛感した。「書きたい」の気持ちを大切にしたい。普段からnoteを書いてる方々すげえ。本当にすごいです。2021年は3ヶ月に1回くらいのペースで書けたらいいなと考えている。
それではまた、そのうちお会いしましょう。
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