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Linkin Park "From Zero"全曲レビュー


はじめに


 ついにリンキンの新作が発表されました…が!まずは、アルバム発売前日にツアーの日程が公表され、なんと2月11日、12日の2日間、さいたまスーパーアリーナで待望の来日公演をしてくれることが決まったのを喜びたい!!!嬉しすぎる…。多分人生初のライブになる!頼むからテスト被らないでくれ~(祈)
 しかも2月11日はメンバーのマイク・シノダの誕生日。これは行くしかないっしょ!っていう感じでなかなか興奮冷めやらない中ではありますが、少し落ち着いて、新作の全曲レビューやっていきましょう。


1. From Zero (Intro)

 20秒ほどの短いイントロ曲ですね。『Meteora』の"Forward"とかでやってきたタイプのやつです。5作目の『Living Things』以降はこの手のやつが無かったので、こういうポイントも原点回帰っぽいですよね。
 最初の10秒は聖歌隊のコーラスっぽい感じ。その後は、エミリーとマイクの会話が。
"From Zero?"
"Yeah"
"Like from nothing?"

と言っているんでしょうか…?
 そして二人の会話をぶち切って、いきなり2曲目が始まります。 

2. The Emptiness Machine

 この曲が「ゼロから」の始まりの序章でしたね。再始動、そして新メンバーお披露目ライブの1曲目で、その当日に配信が開始された新生リンキン・パーク最初の1曲でした。
 イントロから飛ばしてますね。エフェクターが掛けられたギターとドラムで入り、マイクの歌声が。「エミリーが歌い始めるんじゃないんかい!」って最初は思いましたが、ライブで1番のサビ後の間奏で彼女がステージに現れたときの盛り上がりも見越しておそらくこの曲を作っていたんでしょうね。

 様々な人々が、「原点回帰」という言葉を次々に口にしたのも納得の、ヘヴィーでキャッチーなLinkinサウンド。エミリーの強力なボーカル、先代のチェスターを踏襲したような音程のあるシャウト、ブラッドの低く重く響くギター。素晴らしいの一言です。
 でもどちらかと言えば僕はこの曲に関しては、3作目の『Minutes To Midnight』で聞かせてくれたようなシンプルでカッコいいスタイルのロックソングに近いと思いました。基本的な軸は初期2作に置いている感じですが、少しポップで親しみやすい味付けは3作目由来な気がしてます。

 とにかくこれを一発目でぶち込んで来てくれたのは大正解で、リンキン・パーク復活の印象付けには完璧な役割を果たしてくれました。インパクトも含め、個人的に今年のベストソングランキングに入る中の1曲です!ジョー・ハーン監督のMVもかっこいいですよ~。

3. Cut The Bridge

 この曲も恐らく3作目の『Minutes To Midnight』を源流に持っている1曲だと思います。キャッチーなメロディーっていうのは彼らのキャリアでよくありましたが、「キャッチーなリズム」っていうスタイルはあまり記憶にないですね…。
 サビでの
"Cut it down, cut it down, down, cut it, cut it down!"
のコーラスなんて絶対ライブ意識ですよ。ツアーのセットリストに入ってくるんじゃないですかね?絶対盛り上がると思います!

 そして、何よりこの曲を聴いていて驚いたのが、1番と2番でラップをしていたマイクが曲の後半でメロディアスなボーカルを披露していたこと!実はこれ結構珍しいんですよ。"Hands Held High"、ライブ版の"Faint"のこの2曲くらいじゃないですかね?それでも前者はエフェクターを使って声を加工してあるので、加工していないのだと恐らく初めてです。

4. Heavy Is The Crown

 オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」とのタイアップMVが制作された、このアルバムからの2曲目の先行配信曲です。
 
 いやー、これも良かったですね~。2作目『Meteora』収録の傑作ハイテンポハードナンバー"Faint"と映画「トランスフォーマー / リベンジ」の主題歌"New Divide"を混ぜたような感じ。どっちも最高に好きな曲なのですぐにその2曲のエッセンスを感じ取ることが出来ましたし、これも素晴らしい出来でした。
 具体的に言うと、イントロのストリングス的な音・マイクの速いテンポのラップ・エミリーのシャウトが"Faint"、サビのメロディーの感じ・ラストの電子音フィニッシュが"New Divide"ですね。でもこの電子音フィニッシュは4作目『A Thousand Suns』に収録された"Blackout"の音と似ていたりとか、過去の色々な要素が散りばめられているような気がして、聴いていてかなり楽しい1曲です!
 3作目『Minutes To Midnight』収録の"Given Up"を思い出させるようなエミリーのスーパーロングシャウトも必聴です!

5. Over Each Other

 アルバムからの3曲目の先行配信曲ですね。この曲は5作目『Living Things』系の電子音とギターの使い方、7作目『One More Light』のポップスタイルのミックスといった感じです。ギターが少し裏に引っ込みながらも曲の全体を通して鳴っている、みたいなのが5作目の特徴として見られるポイントで、そことの共通点が見出せます。

 全体的にポップな仕上がりで、エミリーもそこまでキツい高音やシャウトを使っているわけでもなく、結構気持ちよさそうに楽に歌えている印象で、彼女のメロディックなボーカルが映える1曲になっていると思います。

6. Casualty

 はい、来ました。このアルバムのNo.1びっくりナンバーです。何にびっくりしたか。まあエミリーがサビを中心に全体的にずっとシャウトしていて激しいメタル風なのは分かります。6作目の『The Hunting Party』のオープニングトラック、"Keys To The Kingdom"でもありましたからね。サウンド面もこのアルバムの踏襲です。

 ただー!!なんか普段シャウトの一方でラップやってたはずのマイクも叫んで歌ってるぞーー!!

 信じられない!これ程までに、がなり声を出しているマイクをリンキンの曲では聴いたことがありません(笑)
 エミリーも叫び、マイクも叫び、サウンドもヘヴィーで、ライブでやったら盛り上がりすぎて死傷者(Casualtyの訳)が出ちゃいそうなのでやらない方が良いでしょう…(本当は聴きたい)

7. Overflow

 これも聴いていて面白かった曲ですね… 個人的にはRadioheadの"Everything In It's Right Place"、そしてEminemの"Sing For The Moment"という全く違う2組の名曲を混ぜた感じです。イントロなんかもろ前者ですよ。リンキンはキャリアを通じて、ヒップホップ系はもちろん、エレクトロニクスを活かす技も手に入れているので違和感は全くないです。

 しかし、前者ほど暗くはなく、後者ほど明るく攻撃性があるわけでもない、という絶妙なラインの気持ち悪さをしてます。血生臭いような雰囲気が漂っていると言いますか… 斬り合いで血が飛び、その斬った刀の刃が刃こぼれを起こしているような情景が浮かぶ曲でした。リンキンには珍しい「グロテスクさ」みたいなものが感じられる1曲です。

8. Two Faced

 アルバム発売前日に4曲目の先行配信曲として発表された曲ですが、これが凄い!1作目の『Hybrid Theory』に収録されている"One Step Closer"、2作目の『Meteora』の隠れ名曲"Figure.09"という2つの曲の要素を中心に混ぜ合わせた最高なハードナンバー!
 特に"Figure.09"に関しては『Meteora』でもトップクラスに大好きなナンバーなのでこういう曲の要素が感じられる点では僕得の楽曲です(笑)

 イントロの「何が始まるんだ?」というフェニックスのベースはThe Rolling Stonesの"2000 Light Years From Home"のイントロにも近しい怪しげなものを感じさせます。マイクのラップ、エミリーのサビ、ブラッドのギターのどれもパワー全開。"One Step Closer"を彷彿とさせるジョー・ハーンの強烈スクラッチとエミリーの全力シャウト。もう、リンキンファンからすれば全員の活躍の様子が1曲で楽しめるたまらないハッピーセットナンバーです!

9. Stained

 この曲は7作目『One More Light』系統の曲ですね。この作品収録の"Sorry For Now"に肌感覚としては似ていて、当時はポップにかなり寄せてロックバンド的なパワーを抑え込んでいた感じでしたが、この曲ではパワーをきっちり入れ込んで来てます。マイクのボーカルも、エミリーのボーカルもGoodです。
 ここまで聴いてきて思ったのが、『Minutes To Midnight』期の要素もそうですが、評論家からは酷評の声が多く聞かれた『One More Light』時代のポップ志向の作品が結構今作多いような気がするんですよね。実際、「こういうポップ系のアルバムを作った上で、次回作はどうなるだろうか…」と考えを巡らせていた矢先のチェスターの訃報だったので、案外こういった方面の楽曲にその後は落ち着いた可能性もあるのかなと思います。

10. IGYEIH

 "I Give You Everything I Have"の頭文字から取ったタイトルですね。エレクトロニクス的なひねりをあまり入れず、6作目の『The Hunting Party』を踏襲したような音作り、あるいはBring Me The Horizonなんかにどちらかと言えばメロディの作り方は近いかもしれません。
 この曲はボーカルがエミリーだからこそ合う曲かもしれないですね。正直僕はこの曲をチェスターが歌っている姿というか、雰囲気、ボーカルがあまり考えられないです。きっちりとボーカルスタイルに合わせて曲作りやプロデュースが出来ていて、バンドとしてもアルバムとしても完成度を高めている要因にもなっているなとこの曲を聴いて感じますね。

11. Good Things To Go

 早いものでこの曲でラストですね。これは強いて言うなら『Living Things』期が近いような気がします。引っ込み過ぎてはいないが前に出過ぎていないギターのパワーとメロディー、マイクの優しめな声の使い方とかはこの時期の影響と考えるのが一番合点が行きますね。
 彼らなりのパワーバラードといった感じの曲調で、ラストに持ってくるのには相応しい1曲かなと思います。
 エミリーの声が消えた後、最後に1曲目の"From Zero (Intro)"のイントロに戻るという形式になっていて、「我々リンキン・パークはゼロからまた新しい1ページを作っていくぞ」という意気込みというかそういうエネルギーをここから感じました!

最後に

 いや、これ普通にいいアルバムじゃないですかね?初期2作に並ぶ傑作とまではいかない気がしますが、聴きこんでいくとより面白く感じてくるアルバムだと思います。
 今回は全曲解説というか前回の真面目路線とはちょっと違って、軽めのタッチの文章で書いてみました!是非これを読んで、他の作品とも比べて聴きつつ、このアルバムを楽しんでもらいたいなと思います。
 最後までご覧いただきありがとうございました!

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