それは無理?
無理と思われることを「できることを前提に」考え、実行してみることがある。
無理なことを、そもそも無理と思うことは、あたりまえのこと。思考の枠を越えないと、無理なままに終わる。だから「できるとしたら?」と考えてみる。
小さな組織ではあるが、2つ組織のリーダーをやっていると、朝令暮改はもとより、無理難題をメンバーに伝えることも少なくない。
だが、無理難題を伝えることは簡単なことではない。とてつもなく躊躇する自分がいる。
なぜなら、必ず抵抗をくらうし、自分はいい人でいたいからだ。
この1年、コロナによって起こった様々な変化で、正解が全く分からなくなってきた。
今までも正解は分からなかったが、今は、正解が分からなくても、考えたり悩んだりしているだけで動かないと会社も自分も潰れる。もしくは化石になる。
最近、今の時代は正解が分からないからこそ、リーダーは自分の立てた仮説を強い意思で突き進み、その仮説自体を正解にするしかないと言われる。
確かにそのとおりだけど、そんなに簡単なことではない。
なぜなら、分からないことを実行して、それを正解にした経験がないからだ。
それなりの施策を打つ際には、必ずといっていいほど、前例に習い、参考にし、よくよく考え、まずは小さく進めて、気がついたら上手くいっているというパターンだ。※ほとんどが失敗だが。
ここで、上手くいく場合を順序立ててみた。
1. 何かからインスパイアされる
2. 仮説を立てる
3. 前例を探す
4. 前例がそのまま使えるか、どの程度の応用が必要かを考える
5. 上手くいくシュミレーションをしてみる
6. 失敗するシュミレーションをし、撤退の判断基準を予め決めておく
7. まず自分で小さく実行してみる
8. ある程度、上手くいったら勝ちパターンとしてメンバーに教える
9. そのメンバーに実行してもらう
これは、あくまでも上手くいった場合のプロセスだが、失敗のパターンを3つほど記しておく。
1つ目。
3の前例を十分に探せていない時。経験がないと、どの程度の前例の量と質があると十分なのかを見定められない。だから、経験がないと失敗しやすい。前例の量と質に関する見定めを可能とする比較的良い方法は、その領域でそれなりに経験している人間からの情報を得ることだ。本やネットの情報だけでは上手くいかないだろう。なぜなら、実践している経験がないと、そもそも情報を探すための感度足りず、偏りがあるからだ。
では、その人間はどのように探すのか?
人脈を作っておくことしかない。普段からそれなりに情報など与えること(GIVE)をしておかないと良い人脈はできない。情報などをもらう(TAKE)ことばかりでは、簡単に良い情報は教えてはくれない。
2つ目。
6の失敗するシュミレーションをし、撤退の判断基準を予め決めておくことは、経験上、絶対に必要だ。よく言われているように、私自身も上手くいっていることより、失敗している方が何倍も多い。
今まで1つの組織は、29年やってきたが、撤退の判断基準を決めておかなかったことにより、3回ほど会社を潰すほどのインパクトを与えていた。今だにそのダメージがホディブローのように残っている。
だが、これには問題がある。
撤退の判断基準を決めていたとしても、自身がリーダーとしてやっていると、「もうちょっとで上手くいくはずだ」「今止めたらかっこ悪い」「やらせているスタッフに申し訳ない」など、様々な感情から揺さぶられる。
特にリーダーの場合は、そもそも全部自分で決められるので、撤退の判断基準を決めていたとしても、簡単に引き伸ばすことすらできる。だから、最初に全ての関係者に共有しておく必要がある。
関係者に共有しておくことによって、撤退の判断基準になっても止めないことが、やることよりも恥ずかしくなる状態を作ることができる。やっと最近になって、少しだけだが、そのようなことができるようになってきた。ここまで時間がとてつもなくかかった。
ダメージが大きい失敗をすると、そもそも、新しいことを始める投資ができなくなることもあるが、それ以上に精神的なダメージとして、ズルズルやってしまった自分に対して、約束を守れない自分を作ってしまうことになる。
それに、次も約束を守れないのではないかという心の動きで、そもそも新しいインスパイアが生まれなくなる。
3つ目。
7~9のプロセスについて触れたい。
メンバーが増え組織が少しずつ大きくなっていく時に起きることとして、まず自分で小さく実行することをしなくなる。
1~6は自分でやるが、7からメンバーに投げる。
以降、確認を怠ることもあるが、多いパターンとして失敗した際に、撤退判断も緩めることとなる。
なぜなら、自分が考えたビジネスアイデアやコンセプトをメンバーに依頼したわけなので、自分の考えことが正しくなことを証明されてしまうからだ。それと、メンバーに成功体験をさせてやりたいと考え、撤退できなくなる。
だから、7以降を任せたとしても、自分が実行している時以上に、向き合っておかないとまず上手くいかない。
そもそも上手くいく場合は、メンバーが1から体験したものを、投資に値するかどうかを判断する方が良いに決まっている。
だが、そんな体験をしてきた人間が、小規模の企業にはいないし、こない。だから育てるしかない。でも育てるには時間がないので9からやらせる。もしくは、7からやらせて失敗しても撤退判断を緩めてダメージをくらう。
私の場合は、ビジネスセンスがないので、経験を積むしかない。どちからと言うと積極的に経験を積み始めたのは40代からだ。
このように上手くいくパターンで考える際に、仮説を立てたあたりから、前例を探すことが必要となる。
いくらコロナ禍といっても、よほどの革命家か予知能力がある人間でないと、前例は必要だ。
だが、コロナ前と比べて明らかに言えることは、
・前例を探すことが複雑になってきているので難易度が高くなった
・あっという間に状況が変わるので、撤退の判断と決断が今まで以上に重要になった
・サイクルを回すスピードに、圧倒的な速さが必要となった
コロナ禍で、昨年はかなりのダメージをくらい、そのリカバリーを今年は必ず果たしたいと考えている。
たが、自分とメンバーにはこれらができるのだろうか?
たぶん、このようなことを悩む時間がないほどのスピード感が必要なのだろう。
とにかく悩むな。動け。動かせ。そして、朝令暮改を恐れるな。いい人と思われたいと思うな。でも責任は取れ。
何よりも目的に向かってワクワクと進もう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?