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広告のストライクゾーンを捜す
一昨日、昨日と記載した「ある女性広告人の告白」の著者、小池玲子先生について記載した。先生から伝授いただいき、影響が大きかったことの1つに『クリエィティブ・ブリーフ』がある。
『クリエィティブ・ブリーフ』とは、クりエィティブ発想の刺激となるものである。消費者の共感を得る効果的な広告を制作するためには、その商品ターゲットを理解し、ストライクゾーンを捜しださねばならない。だから、最初にブリーフィングが必要となる。
『クリエィティブ・ブリーフ』は、次のような理由からも必要とされる。
・表現は広告戦略に基づいて作らなければならない。
・戦略を明確にする事で、より良い表現が生まれる。
・プレゼンテーションを行うにあたって、関係部門やクライアントとの意思の確認がスムーズに行える。
・ブリーフィングが間違っていれば最悪であり、効果的なブリーフィングが行えるように練り込む事。ここでの相互の共通理解が必須である。
・クリエィティブ部門が表現を考えるにあたっての指針とできる。
・無駄なアイデア、時間を費やさずに、絞り込んだアイデアが生み出せる。
・表現をチェックするにあたって明確な判断ができる。
などたくさんある。
小池先生が広告担当取締役副社長を務めた大手外資系広告会社 J.Wトンプソンで手に入れ、その他数々の外資系広告会社で試し、ようやく完成したとのこと。
小池先生自身の手によって、40年近くの歳月を費やし、大切なものだけを残し、無駄なものをそぎ落とした結果、最終的に出来上がったのが『クリエィティブ・ブリーフ』。
その貴重な『クリエィティブ・ブリーフ』を紹介する。
1.広告する商品の競合状態
2.競合商品に対する優位性
3.広告の目的
4.ターゲット
5.ターゲットが感じている本音
6.広告の結果、期待するターゲットの反応
7.広告が訴える最も大切な提案
8.トーン&マナー
9.その他の留意事項
驚くほどシンプルであるなのだが、一つ一つに答えていくのは、簡単なことではない。
小池先生曰く、『クリエィティブ・ブリーフ』は、全ての広告表現を創造する前に必ず作っておくもの。
外資系広告会社にとっては、ごくごくあたりまえのことだという。外資系広告会社に長く在籍していたからこそできた賜物でもある。
日本では、「暗黙の了解」や「あうんの呼吸」というものがある。だからこのような『クリエィティブ・ブリーフ』がなくても、比較的伝わってしまうことも多い。
米国などは、他民族国家であり、様々な文化や価値観の人たちが集まっているので「暗黙の了解」や「あうんの呼吸」は通用しない。だからこそ必要となった。
でも、いくら「暗黙の了解」や「あうんの呼吸」という風習がある日本でも、広告表現を創造していくプロセスには、ムダが多い。
的確にクリエイターに伝えるというのは、簡単なことではない。『クリエィティブ・ブリーフ』を一つ一つを言語化するプロセスを通し、相互の共通理解を深めるからこそ、ムダをはぶくことができるわけである。
このように『クリエィティブ・ブリーフ』をまとめることは、多くのメリットがあるのだが、なぜか日本の広告会社では使われない。だから、『クリエィティブ・ブリーフ』に習熟すると、今までよりも格段に広告の効果を高めることができ、日本であれば、トップクラスの広告のプロになれる可能性があるのだ。
ちなみに、この『クリエィティブ・ブリーフ』を参考に、小池先生の許可をいただき、私はレスポンス広告に特化したブリーフを開発した。何度も何度も繰り返し実践し、再現性を確認した。それが「SEDブリーフ」。書籍でも発表した。
この「SEDブリーフ」は、その後、多くの広告の現場や、コンサルティング、研修で活用してきた。
最近は、販促領域を私が卒業してしまったこともあり、今は、「SEDブリーフ」を体に染みつけたコンサルタントに活用していただいている。
発表してから10年以上が経つ間に、既に数千人の方に活用しているだろう。
興味のある人は、こちら↓を参考にされたい。
「確実に販売につなげるレスポンス広告作成術」
この書籍が生み出されたのも、小池先生をはじめ、先人のの知恵があったからこそ。ありがたい。