見出し画像

『No.1サウンドカンパニーへの挑戦!』エクスターナルブランディングの実践

先日より連続して、昨年12月23日のブランディング事例共有会で発表いただいたヤマハサウンドシステム株式会社の代表取締役社長 武田信次郎さんの発表内容を共有しています。
今回は『No.1サウンドカンパニーへの挑戦!』の最後として、エクスターナルブランディングの実践についてご紹介します。


まず、企業のあるべき姿を外に発信していくこととした。
ちょうど10周年というタイミングでもあり、新しい宣言などをしても受けやすい状態といったタイミングでもあり、企業広告を打ち出した。

画像1

第1弾が左側の広告。
「もっと、音を。」ということで、企業理念としてもっと音にこだわり追求するというメッセージをテキストだけの企業広告で打ち出した。

第2弾が右側の広告。
このテキストは、賛否両論があった。社内からは、「こんなテキストだけの広告を出していいのか?」、社外からは「よく言った!」「こんな広告出しちゃうんだ」などの反響があった。
武田社長としては、この程度では全然言い足りないという。だから、どうせ出た杭になるのだったら、出過ぎた杭になろうということで、サウンドの業界誌に、企画を持ち込んだのが以下の内容だ。

画像2

武田社長は、当社の経営理念を記事にして欲しいと依頼したところ、16ページで2号連載の記事を無料で掲載してもらえるようになった。
その連載を見た、サウンド業界での他の雑誌も、自分の雑誌でも記事にしたいということで、掲載してもらうえることができた。
ヤマハサウンドシステムの経営理念は、これらの誌面を通じて、業界に発信することができた。

次に考えたのが、安心・信頼をどうやって発信するかということだが、BtoCであれば、口コミが使えるが、BtoBはなかなか難しい。そこで、自ら作ろうということで実践したことがある。

10周年のタイミングであったので、業界の第一人者である劇場コンサルタント、音響コンサルタント、音響アドバイザー、業界組合代表など10名以上の方々に、声をかけ、「10周年のお祝いをいただけないでしょうか?」と依頼したところ、ありがたいことに、多くのお祝いメッセージをもらうことができた。

とはいえ、10周年のお祝いメッセージだけでは、賞味期限が短いので、継続策として、その後、業界第一人者とのトップ対談を実施し記事にすることにした。

ヤマハサウンドシステムは、今までの信頼を積み重ねてきたからこそ、業界の第一人者から信頼の言葉をもらえることができたわけだが、それを社内外に発信していくことで、とても良い効果が出ている。

次に、リアルの発信として納入事例を発信していくこととした。
特にBtoBビジネスの場合は、実績が実績を作ることができる。音響の紹介に留まらず、インタビュー形式で、会社の評価もいただきつつ、記事にしWEBサイトで発信している。

画像3

武田社長が一番やりたかった発信とは、社員からの発信だ。
音に対するこだわり、仕事に向き合う姿勢、心意気などの熱い想いを、ノンフィクションのストーリーとして発信していくことにした。
さらには、納入事例に社員が登場して、どのように取り組んできたのか、こだわってきたのかを記事にし、オウンドメディアで発信しようと考えている。

画像4

次に日常業務を切り取って、企業広告にした。同じく、音に対するこだわりや、仕事に向き合う姿勢などを発信した。

ヤマハサウンドシステムでは、社会課題解決にも積極的に取り組んできている。
先程、業界の第一人者とのトップ対談のことに触れたことだが、武田社長は、ライブ会場で音響を提供しているPA会社組合の代表理事と、昨年4月頭にトップ会談を行った。
その際に、昨年2月下旬よりコロナ禍でライブが一切できず売上が0となり、かなり経営が厳しいと聞き、とても胸が傷んだ。何かご支援できることはないかと考えた結果、コロナ禍で厳しい経営をされているPA会社には、レポートの買取りをしたり、音響測定・調整を発注した。

コロナ禍のホール・劇場施設に対しては、ホールを借りる前に、事前に下見に行くわけだが、コロナ禍なので接触を低減する試みとして、オンライン下見支援サイトを企画し、サイトも運営している。
このことで、大きな共感を得ることもでき、サイトのアクセスも大幅に伸びた。

更に、コロナ禍で新しいニーズに応えられるサービスとして音診断、音改修サービスを提供することにした。

コロナ禍によって、設備の診断、改修サービスは縮小される。とはいっても、音を良くしたいというニーズはなくなるわけではない。だから、設備を改修することなく、音響調整で音を刷新するサービスを打ち出した。

これは、ヤマハサウンドシステムのビジョン「いい音、いいサービスをつくる」、バリュー「音をお売りする、音を買っていただく」をまさにそのまま体現しているサービスといえる。

武田社長は、この他にも、様々な施策を打ち出してきた。※ここでは触れられないこともある。


最後にまとめとして、ブランディングの効果として、内向き、外向きの側面で見ていきたいと思う。

内向き(インターナルブランディング)の側面としては、社員からのコメントに表れている。

・社員のみんなの意識が共有され、一体感がさらに上がっていると感じている。
・変わらないものとしては、オンリーワンをつくること。
 いかにお客様にとって良いものを提案するのか。今までにある良いものだけでなく、今までにない良いものも提案・提供していく必要があると思う。
・業界で常に挑戦者であり続けたい。
・新しいものをどんどん採り入れ、革新的なホールづくりを目指していきたい。

などなど、社員からはたくさんのコメントをもらったが、何よりも、ソーシャルグッドな新サービスの開発ができる文化になったと、武田社長は実感している。

一方、外向き(エクスターナルブランディング)の側面としては、認知・共感の増加があった。

・他社と価格を競い合った案件で、競合より高かったが、「品質・音にこだわるYSSに仕事をお願いしたい」ということで、他社よりかなり高額な価格で受注ができた。
・現場の音響エンジニアが欲しいのは音響機材ではなく、「音」。「もっと、音を。」の広告に感動した。

また、新卒・中途採用面接での効果としても次のようなものがある。

・劇場コンサルタントなど業界の第一人者から信頼されているYSSで働きたい
・YSS入社とともに「YSSアカデミー」に入学したい


武田社長は言う。

少なくとも建設業におけるブランディングはやったもん勝ちだ。建設を極め、建設らしくないを追求することで、ユニークなブランディングが可能となる。

インターナルブランディングによって社員は変わる。社員が変わると、会社が変わるという実感がある。そして、死ぬほどうれしい、心震える瞬間がある。

画像5

こちらは、2021年のカレンダーだが、情緒的価値を訴えるようなカレンダーを社員自らが作ってくれるようになった。武田社長にとっては、まさに心震える瞬間だった。


いかがでしたでしょうか?

ヤマハは大手企業だが、ヤマハサウンドシステムは社員170名の中小企業です。

前回から今回にわたり、教育改革~ブランディングについて触れてきましたが、私たち中小企業にとっても、参考になり役に立ことが本当にたくさんあるでしょう。

武田社長の出し惜しみない情報提供は、感謝しかありません。


※この内容は、第1回ブランディング事例共有会の発表の一部をまとめたものです。ブランディング事例共有会では、チャレンジし、試行錯誤し、奮闘している実践事例の発表より、このプロセスから受け取る気づきやアイデアはもとより、元気と勇気をもらえます。

次回は、2月25日(木) 16時~ に開催ですので、
お知り合いの方をお誘い合わせの上、ご参加ください。※参加費無料

■第2回 ブランディング事例共有会 ※参加費無料
https://form.k3r.jp/brand_manager/seminar02

本編終了後には、当日の発表事例を振り返り、発表者を囲み学びを深めるディスカッションとして、オンライン勉強会を1時間ほど予定しています。こちらも、ぜひ、ご参加ください。お目にかかれれば、うれしいです!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?