「ブランド」は現代の“焼き印”?
本題に入る前に。
朝のウォーキング中に、決まった時間と場所に行けば必ず見かけるジョギング中の30代くらいのボクサーっぽい人がいます。私たちは時間がマチマチで、同じ場所をウォーキングしていないこともあり、先日は久しぶりに見かけたので「あっ、ボクサーだ」って思わず妻に叫んでしまいました。
ボクサー(職業は絶対にボクサーではない)を見かけると、なんかほっとする今日この頃です。
さて、本題に入ります。
前回は、ブランドの役割について考えてみました。
今回からは「そもそもブランドとは何か?」という本質的な問いについて
踏み込んでいくためにも、まずは、ブランドの歴史を見ていきたいと思います。
現在使われている「ブランド」という言葉は、古ノルド語で「印をつける」という意味の「brandr(ブランドル)」と同じ起源の言葉だと言われています。
※あくまで一説でしかありません。
古ノルド語とは、8世紀~14世紀にかけて、北欧のスカンジナビア人によって使われていたといわれる言葉です。
例えば、放牧している牛などの家畜が自分の所有物であることを示すためや、他人の所有物と紛れてしまわないように、家畜の背中に焼き印をつけたのが始まりと言われています。
※とっても痛そうで可愛そうです。
時代が移り、中世ヨーロッパの「ギルド(職業別の組合)社会」では、品質保証し、信用を得るための表示として、商標の添付を義務付けていました。単に所有物を示すものから、生産者を識別する機能へと、ブランドの意味が変化していったのです。
このように「ブランド」は、古くから生産者を識別し、他の生産者の製品と区別するための手段として用いられてきたのです。
ということで、私は「ブランドを簡単に言うと何ですか?」という質問をもらうと、「シンプルですよ。漢字2文字で表せます。『識別』です」と答えます。もちろん、その後、長々と話しますが・・・(笑)
それと同時に、私が発起人で代表理事をしているブランド・マネージャー認定協会では、このような古ノルド語から生まれた「ブランド」という言葉の
起源から、以下のように牛の形のロゴを採用しました。
※詳しくは → https://www.brand-mgr.org/about/why.html
最近は、あまり言われなくなりましたが、10年前くらいの設立当社は、私のことを全く知らない人からは、「農林水産関係の仕事ですか?」とか、「焼肉屋に関係しているのですか?」など、本当にまじめに言われました。
いずれにしても、名刺交換の際に「?」が浮かぶことが多いので、ここぞとばかりに得意げに「ブランド」の起源のことを話しました。
当時は、本気で「勉強になりました」と言われることもあり、ちょっとうれしかったですが、今では、逆に「知ってる。知ってる」と先にマウントを取られることも時々あります。(汗)
さて、話しは戻りますが、「ブランド」は、古くから生産者を識別してきたわけですが、現在は、消費者の購買時の選択肢が拡大しているのと同時に、購買決定までの情報も増大し、複雑になっているため、購買決定に至るまでの判断がとても難しくなっています。
そのため、消費者はブランドを「本当に信用できるものであるか?」「他と何が違うのか?」と判断し、購買決定する傾向が強まったといえるでしょう。
上記のように「ブランド」はもともとは、単に所有権を表示するものにすぎなかったのが、生産者を識別する機能が中心となり、今では競合との差別化、差異化へと変化し、それが強いブランドと言われるようになりました。
今回は、「そもそもブランドとは何か?」という本質的な問いについてブランドの歴史を振り返るという切り口から、考えてみました。
次回は、「ブランドの定義」について、見ていきたいと思います。