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サーキット・タワーからの点描
年々進化する筑波サーキット
久しぶりに筑波サーキットに行った。今回は大会の役員での訪問である。
サーキットのスタッフも年の経過とともに変わるが、私が筑波サーキットでレース大会を開催していたことを覚えてくれている人も居て、嬉しい。
先ずは1階で、元所長が出迎えてくれた。懐かしい人に会えるのは、まるで郷里に帰ってきたように感じる。
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1階のコース管理室にて
サーキットのコントロールタワーは、その名の通りサーキットの運営進行をつかさどる司令塔で、空港の管制塔とほぼ同じを思えば理解しやすいだろう。
そのような所だから限られた人しか入れないが、スタッフの皆さんに親切にしてもらい、いろんな進化しているものも見せてもらった。
普段見ることが出来ないタワーからの情景を点描をしてみたい。
筑波サーキットは、1970年に2,045mの周回路を持つ歴史あるレース場で、私が好きな理由は、50年以上経た今でも、開設当初のオリジナルコース形状をそのまま保っている点だ。
でもオリジナルコースを保ちながらも、設備はどんどん新しくなっている。
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左手にある楕円(オーバル)のコースがオートレーサー養成設備
みぎの周回コースが筑波サーキット
1階にあるコース管理用のモニターで、全コースをみることができる。コース状況の全把握をここで行い、各所にある監視ポストと瞬時に連絡が取れ、レッカー車や救急者の出動司令もこの1階のコース管理室でおこなっている。
筑波サーキットでは、いち早くこのカメル&モニター設備を取り入れたが、当時で4,000万円はかかった。
カメラは角度も変えられ、ズームアップもできるが、死角がどうしても出た。でもそれがどんどん進化し、今は死角もなく、画質も格段に上がっている。だから動画保存のデータがものすごく増えたとのこと。そりゃそうだろうなぁ~
2階は大会審査室で、3階が大会のアナウンスや管制をおこなう。次のグループのピットロードへの進入待機案内や、走行車両のバトルの状況中継もおこなう。
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左が著者の茶木。右がユニークな語りで人気のレナさん。
ここにも全コースの状況が分かるモニターが設置されている。
私が1980年前半に、筑波で初めての300㎞耐久レースをしたときは、カラス張りの一世代前のタワーで、このような最新モニタ―など全くなかった。すべては目視だった。隔世の感である。
4階は計時室だ。昔は目で車番を追い、コントールラインにある光電管だけ計測していた。
だが時代は全くかわった。今はトランスポンダートいう発信機を各車両に着け、路面に埋め込まれた装置で、車番ごとの電波を拾い、瞬時にタイムがコンピューターに入る。
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写真中央のの面に白黒のゼブラの個所が光電管のライン。
そのすぐ左側にトランスポンダ―の電波受講部が埋め込まれている。
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このトランスポンだーを略してトラポンというが、オランダ製で1個5万円。クラッシュ(衝突)して破損するとその分を弁償しなくてはならないが、4輪の場合はスポンジバリアに衝突しても、トラポンが壊れることはあまりない。
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たばこの箱位の大きさです。
この世界では、誘導車のことをセーフティーカー(SC)と呼ぶ。筑波サーキットには現在4台あるが、そのうちの1台がトヨタ・スープラ。最初私はニッサンのZかと思ったが左ハンドルのスープラだった。
了解を貰って乗り込んでみたが、確かに魅力ある車だ。そしてドアピラーにあるプレートを見て、少々驚いた。この車のエンジンはBMWとは知っていたが、社名はトヨタ・スープラ、エンジンはドイツのBMW、製造国はドイツ隣国のオーストリア。
「へぇ~、自動車業界もブローバルになったものだ」と改めて思った。
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因みにBMWはバイエルン・モトーレン・ワルケの頭文字で、日本語で言えばバイエルン地方エンジン製造会社の意である。パイエルン州はドイツの南の方にあり、オーストリーと国境を接しているから、何ら不思議もないのだが。
今回始めて、こんなスイーパー(路面清掃車)も観た。聞けばイタリア製のもので、ローマなどの路地を綺麗にするために使われているとのこと。私はイタリアには何度かいったことがあるので、その光景が目に浮かぶ。なるほど狭いローマの街中の道にはピッタリと思った。値段は1,000万円をゆうに超えるらしい。
大型特殊免許も持っている私は、ちょっと乗りたい衝動に駆られたが・・・やはり節度はたもたなくてはね。
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全てをやり終え、みんなに親切にしてもらい、久しぶりに我が家に帰ったような嬉しい気分で帰路についた。ふと見上げると燃えるような空が印象的だった。
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今日一日の充実感を祝福してくれているようだった。