夏を引っ張り出す。

　『ミンミン　ミンミン』
（セミが鳴くなぁ）
（夏が来たなぁ）
（もっと寝てたいなぁ）

わたしは部屋の中。

クーラーの効いた部屋で、セミの声を聴いても
鳴いているのか？泣いているのか？
よくわからない。

外に出てみると嫌な気分。
外に出る＝仕事場へ向かう。
全国の大人たちのほとんどが、この構図の中で安定を求め
不安定な心のまま、仕事場へ向かう。

家の中からは子供のなき声。
こちらはカンゼンに泣き声。

仕事場に着く。
着席。
おもむろにネットで見るのは天気予報。
太陽がいっぱい。

脳内では家族とキャンプをしたあの夏、あの太陽が思い出される。
こんな人工物のカタマリの中でモゾモゾして終わる１日が虚しくなる。

私の夏は7月１日〜8月中頃まで。
その間、いったい何日の休日があるというのか。

大人になると１年が短く感じる？
少し違う。

子育中は１年が短く感じる。

もっと子供と遊びたいのに。
気温が上がると共に私の夏に火が着く。
夏日・猛暑日ドンとこい。

家族みんな、全力で遊んだキャンプ。
暑っちい夏の夜のバーベキュー。
疲れまくって即寝のテント。

同じ様にセミが鳴いている朝なのに
なぜか早起きしないともったいないと感じるのは
思い出を作ることに躍起になっているからなのか？
『日常』から逃れた自分を体感したいからなのか。

どちらにせよ今は仕事場。
パソコンの前で『夏を引っ張り出してみた』。