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二つの島(その2)
前回の記事に続き、島のお話を。
今回は【焼尻島(やぎしり)】を何故好きなのか?
その辺りをとりとめのない文章で・・・。
天売島の感想は前回の記事の通り、
島が考える目的と私達の旅の目的が違うと言う感想。
夫婦ともにそれなりの年齢ではありますが、ハイカーとして山や自然を歩いていると、観光での目的と私達の目的は違ってくるのだと思います。
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街の近くまで続く森は涼しくて快適。
そんな自分が何故、『天売島より焼尻島が好き』なのか?
明確な答えがある訳ではないですが、
『ただ居るだけになれるから』かもしれません。
焼尻は天売に比べると、観光として謳われているモノが少ないです。
食堂は港に2軒あるものの、船が到着する時間に合わせて開いているかどうか。
カフェも唯一1軒のみ。
島に2軒だけのお店(商店)は、最低限のモノだけしかなく、『朝早く、夜早い』営業時間のよう。
人口150人程度で高齢者の多い島ならではの時間軸で日常が動いている感じです。
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人がまだ少なく各エリアが広いため、ポツンと一軒家状態
・・・因みに、
自動販売機も島には4台のみです。
(確か、港に2台、各商店前に1台ずつ。)
コレがまた売り切れが多くて・・・笑
唯一は宿。
しかし、4軒あるうちの現在は3軒が営業するのみ。
天売島に比べ半分の数です。
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故障多過ぎるよね笑、でも親切なメモが貼り付けてあって天売より優しさを感じるのは自分だけ?
そんな、現実的には不自由な島への旅が、
自分にとって何故良いものになったのか?
まして、自分は3回の来島全て【テント泊(キャンプ)】です。
しっかり準備しなければならないので、荷物も相当な量に。
(毎回各自10キロ程度を背負って島を歩いて移動しています。)
何も無いことを敢えて良さにはしませんが、
『ただ居るだけ』はある意味簡単ではありません。
人の生活や車など日常の音、自然の音さえも限りなく遮るのは難しい。
それがこの島には存在していて、人も車も、波の音さえも聞こえないくらいに静かな場所がこの島の【焼尻島 白浜野営場】なんです。
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島内に数カ所あるがどれも綺麗で島民の方達に感謝。
島を歩けば、外周ぐるりと1周できる道で12キロくらい。
一度だけ島一周してみたら、足の遅い私達夫婦で2~3時間。
生活エリアを見たり、人が住まなくなってきているエリアを見たり、
昭和を感じる少し寂しいエリアを歩いたり、
海の見える学校のグランドで休んでみたりと、
島の【今】を見ながら色んな事を感じ、思いながらのトレイル。
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直ぐ目の前には天売島。(2023年撮影)
森の中を歩けば、鳥の声。
涼しく静かな散策が出来ます。(しかも自転車走行可!)
島内には北海道ならではのキツネや熊、その他害獣なども存在せず、
猫(野良猫?)と海鳥と飼育された羊だけ。
・・・そういえば、キャンプ場ではカラスもあまり見かけなかったです。
ゴミを荒らされる心配があまり無いのもココならでは。(注意は必要です)
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全ての場所が静かにひっそりと存在している。
住む人も、若手も少ないなこの島。
例えが良くないかもしれないけど、
いくら観光に力を注いだとしても、
急に人が大挙して押し寄せる事もないだろうし、
急に夢の国にでもなって有名にもならないでしょう。
何だか割り切れた感じが雰囲気にあって、
『こんな島だけど、良かったら遊んでいって!』と、
どう楽しむかを、自由に任せてくれる空気を感じています。
勿論、
天売島の同様、島の為にと頑張っている若い人達もいます。
でも、良い意味で力みの無さを感じる気がします。
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白浜野営場周辺が放牧地の為、遠くから鳴き声も聞こえる。(2023年撮影)
そんなゆっくりと時間の進むこの島での自分の過ごし方は、
テントを設営したら、ただ寝たり、ビールを飲んだり、
日が沈むのを待ちながら、ひたすら眠っています。
夕日が綺麗なのもこの島の良さ。
日没と共に、島ならではの急激な冷え込み。
ダウンを着込んで外へ出て、
運よく天気が良ければ、真っ暗な場所で綺麗な星空を見て、また眠る。
同じ北海道なのに、【無】になれる時間を過ごします。
そんな焼尻島を多くの人に訪れて欲しいです。
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外にポツンとシャワーあり。
・・・でも一つだけ、私にも悩みがあります。
現在この島には【温浴施設】がありません。
なのでいつも1泊2日しか滞在していません。
宿に泊まれば別ですが、テント泊だと夏はちょっと辛いですよね…。
でも、羽幌町へ戻るとフェリーターミナルから車で3分位の所に温泉があるので、旅の疲れをしっかり取ることができます。
それでも魅力たっぷりの焼尻島。
また来月、ゆっくり眠りに行こうと計画中!!
皆さんも是非一度来島してみては如何でしょうか?