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工場長が見た職場の在り方(2)


平等だと不公平になる事も


職場においては
平等よりも公平を目指さないと
不公平な状態が生まれてしまう事は御存知の事と思う。

単純に労働条件に関する事だけなら分かりやすいのだが 
ここに「男女平等」と言う言葉が入ってくると いきなり難解、屁理屈、こじつけの要素が入ってきて各人の主張が異なり、争う場になる事も御存知の事と思う。

本当に平等でいいの?って問うことは皆さんしておられる様なので、ここでその事を掘り下げる気は無いのだが 生物学的な違いを認識しての対応の違いを差別だといわれてしまい色々とご意見を述べられると
「正直面倒臭い!」
になるのは一般的感覚から仕方の無い事だと思う。
なので職場においては 平等は目指さない。
公平を目指した方が皆偏見なく納得出来る職場に近付けると思う。

ズルはしない

「人のせいにしない」
と同時にもう1つ 毎日セルフチェックしていた項目が
「今日はズルした事は無かったか?」
と言う事だ。

ここで言うズルとは
「自分でやるべき事を人にやらせる」
「言うべき事を言わない」
「作業の手抜きをする」
「1日の仕事の中で手抜きをする」
「1言で済むアドバイスを言わない」

等の項目があると思う。

これは毎日セルフチェックしている様な人間でも、時々やってしまう事がある ゼロを目指しても中々難しい事であったと思う。

工場長なんてやっていると 作業者に仕事を頼む時
「これやっといてな~」
と頼む事があるのだが、作業者がそこでミスを犯してしまった場合
「これこんなふうにやっといてな~」
の「こんなふうに」を言わなかった事が手抜きに当たると考えている。

上司から部下達への
言葉足らず」
「説明不足」

は ズル なのだ。
作業者の状態がいつもと同じであれば
こんなふうに
は省略しても問題ない場合が多いのだが、その日の作業者の内面まで完全に把握する事は不可能なので、
こんなふうに
は必ず言うべきなのだろう。
それを言わないで
こんな事わかってて当たり前だろ
なんて言うのは
部下に責任を投げた
上司の姿勢だ。

簡単なものづくりの作業においては
「言われた事を」
「教わった通りに」

できれば
「失敗する事は殆ど無い」
と言う事が出来る。

「教わった通りに」
出来ないから不具合が発生するのだが
なぜ「教わった通りに」出来なかったのか?
の原因の中には
材料に起因するもの
工法に起因するもの
設計に起因するもの
等「なぜなぜ分析表」に登場しそうな人的要因以外の事も存在するのだが
圧倒的な比率を占めるのが
作業者に起因するもの
と言う人的要因である。
要するに 意識、無意識を問わずに
「手抜き」
をしてしまうと言う 人間の性 の様な物だ。

レーザー加工機を買うと作りたくなる物の代表?


会社と現場の乖離


人的要因で起こるミスは
ズルをしない
と言う事を実行するだけで大半が回避されるのだ。それだけ人間は自分に対して甘いと言う事だと思う。

職場の在り方(1)に登場する「なぜなぜ分析表」を作る為に想像で作り出した「失敗の理由」を書き連ねて 極端に言わせてもらえば、「失敗の原因を捏造」した様な書類を作る事を「仕事」としてしまう会社の構造。
本来それって会社の目的なの?

かつて自動車の会社にも在籍していた事があるが その頃は「なぜなぜ分析」は存在しなくて代わりに課せられていたのが
改善提案
と言う代物だった。

これをこうしたら何分速くなって幾らの利益に繋がった。なんて事を「毎月」提出する事が義務付けられていたが
誰が考えてもわかる事だが何ヶ月かすれば
ネタ切れ
になるのである。
そこで登場するのが
過去の提案書のカンニング
である。
もう「なりふり構わず」である。

内容が過去に提出した物と被るのだから、キチンと審査すれば直ぐに発覚する筈だ。
それでも問題にならなかったのは
「内容は見ていない」か
「見て見ないふりをしている」
のだろう。

労使共に 馴れ合いのぬるま湯状態で動いていた事は明白だった。
どこまで上の立場に行けば会社が決定した事を正直に信じ込んで 部下達もその様にしていると信じていたのだろう?

実際の現場に近い方の職員達は会社の決めた事に真摯に取り組むなんて姿勢からは程遠く
「言われた事を嘘でもいいから体裁を整えて文句を言われないように提出する」
と言う姿勢でまとまっていたのは事実だ。

会社がそんな社員達を本心から信じていたとしたら驚きだ。
今となっては想像もできないが
実行不可能な事
を義務付けて
みんなが正直にやる
なんて本気で考えてるの?
やれと言われたからインチキでもやる」
「形だけ整えておけば文句は言われない

本音はこんな感じなの当たり前じゃん!

引退して考える事


私は昨年の6月で定年退職した人間だが、引退までは現役バリバリの工場長だった。製造業の職人仕事の工場長なんて 現場の作業の監督だけではなく
作業者(職人)としても会社で一番である事が求められる。
20歳若い社員にも技術的にはもちろん体力的にも遅れを取ってはいけないのだ。

更には
使われる側の論理
だけで 会社や組織、経営陣に文句を言うことは出来ない。
経営感覚を含めた意見でないと結論を出すことは難しい立場になる。

要するに 当たり前のことができなくて怒られて、そのことを言われると
ソンな事わかってるよ!うるせーな!」なんて
出来なかったくせに言ってしまえるような超能天気な立場ではないと言う事だ。

私の時代には
バブルあり
バブル崩壊あり
オイルショックあり
リーマンショックあり
日本経済の激動期だったのかもしれない

しかしこれから先の日本経済の未来は昔にも増して不安要素が一杯だ。
起業して人生大逆転大成功とか
海外に転職して日本離れとか
何とかして一攫千金とか
目指すのは自由だが、成功したのは今現在ではほんの少しの人しか居ない事も事実として認識した上で
「社畜」とか言わずに自分の人生には自分で責任を取って夢が実現する様な行動をとって頑張って欲しい。


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